44:群れ
本日もよろしくお願いします。
■四日目
「……数が多すぎるな」
朝。
防衛基地内は、普段より明らかに慌ただしかった。
兵士たちが矢束を運び、防壁補強を進めている。
昨夜、レオン・アルバーンが視界共有で確認した、森奥の大規模な魔物群。
その報告はすぐにエリスへ共有され、
さらにバルクへ上げられた。
結果、本日は警戒態勢強化。
巡回数を増やし、戦力を固めた。
基地全体が、普段とは違う緊張感に包まれていた。
「本当に来ると思うか?」
槍の穂先を点検しながら、
カイルが聞く。
「来ると思います」
レオンは即答した。
昨夜見た群れ。
あれはただの移動じゃない。
何かに“押し出されている”。
そんな違和感があった。
「ま、来たら返り討ちでしょ」
ミナが気楽に笑う。
「あたしたち結構やれてるし」
「油断するな」
セスが淡々と言う。
だが、誰の顔にも少し自信があった。
レオン達が到着してから、防衛はかなり安定していた。
兵士側被害も少ない上に、連携も噛み合っている。
それは事実だった。
⸻
昼過ぎ。
――ウォオオオオォッ!!
山側から咆哮が響いた。
空気が変わる。
「来たぞ!!」
⸻
警鐘。
⸻
兵士たちが一斉に持ち場へ走る。
レオンも防壁上へ駆け上がった。
その瞬間、森が揺れた。
狼型と猪型、猿型も混ざった混成の群れが迫ってきている。
しかも。
「……多い」
エリスが息を呑む。
想定以上だった。
見えているだけでも三十、いや、四十近い。
しかも後方からまだ出て来ているようだ。
「全班迎撃配置!」
エリスが即座に指示を飛ばす。
兵士たちが槍列を形成。
冒険者組も展開する。
だが、最初の激突で空気が変わった。
多すぎる。
「第二列押されてます!」
「持ち場維持!」
エリスは規範通り、
防衛線維持を優先する。
これまでの小規模な群れであれば、それ自体は正しい。
だが今回は、敵数が想定を超えていた。
一体一体は決してそこまで強い訳ではない。
しかし、それが物量で攻めてくるとしたら、まさしく脅威であった。
「うわっ!?」
左翼兵士が押し倒され、陣形が詰まり始める。
対応が遅れる。
その瞬間。
「エリスさん!」
レオンが叫んだ。
「東側密集しすぎです!」
「っ!第三班半歩後退!槍列縮めてください!」
エリスが即座に修正指示を出すと、それに呼応し兵士たちが動く。
すると。
崩れかけた防衛線が、
僅かに持ち直した。
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