39:鉱山村グランディア
本日もよろしくお願いします。
鉱山村グランディア。
リスベルから馬車で二日。
岩肌に囲まれた灰色の村だった。
周囲には掘削場。
資材置き場。
煤けた建物。
そして。
村外周を囲む簡易防壁。
「……思ったより物々しいですね」
レオン・アルバーンは小さく呟いた。
門前には槍を持った兵士。
見張り塔にも人影がある。
最近の魔物被害増加。
それを聞いてはいた。
だが実際に見ると、空気が違う。
「お前もそう思うか」
横から声。
振り向く。
長槍を背負った男がいた。
年齢は二十代後半。
鋭い目。
日に焼けた肌。
「カイルだ。Dランク」
「あ、レオン・アルバーンです」
「ああ、知ってる」
少し意外だった。
「町防衛戦で動いてた召喚士だろ」
どうやら名前は多少広まっているらしい。
だがカイルの態度は自然だった。
過度な評価も軽視もない。
その時。
「へー、あんたがレオン?」
軽い声。
短髪の少女が馬車から飛び降りてくる。
双剣使い。
「ミナ! Eランク!」
元気が良い。
「もうすぐDなんだけどね!」
「自分で言うんだ……」
さらに後方。
「……騒がしいな」
弓を抱えた男がゆっくり歩いてくる。
細身。
眠そうな目。
「セス。Dランク」
必要最低限だけ名乗る。
どこか淡白な男だった。
ただ、レオンへ向ける視線は、少し観察するようだった。
⸻
案内されたのは、
村外れの防衛基地だった。
石造り。
規模は小さい。
だが内部は慌ただしい。
兵士たちが忙しく動いている。
「思ったよりちゃんとしてるな」
ミナが感心する。
「最近、本気で被害増えてるらしいからな」
カイルが低く返す。
すると。
「冒険者諸君だな」
低い声が響いた。
現れたのは、大柄な男。
短く刈った黒髪。
鋭い眼光。
鎧には古傷が多い。
「基地防衛責任者、バルクだ」
空気が少し引き締まる。
現場慣れした人間の声だった。
「今回は防衛支援感謝する」
「こちらこそ」
カイルが代表して返す。
バルクは全員を見回す。
そして。
「……お前がレオン・アルバーンか」
「はい」
数秒。
バルクは静かに頷いた。
「話は聞いている」
「町防衛戦」
「異常個体戦」
「支援指揮」
「Dランクにしては妙な経歴してるな」
ミナが少し驚く。
「え、そんな有名だったの?」
「一部じゃな」
バルクが返す。
「特に今回みたいな防衛任務では、
“現場を回せる支援役”は貴重だ」
だがその後。
「……とはいえ」
バルクはレオンを真っ直ぐ見る。
「実際の力量は、この目で確認させてもらう」
その言葉には、
現場責任者としての厳しさがあった。
ここまで読んでいただき、ありがとうございます。
続きが気になると思っていただけたら、ブックマークや評価をいただけると励みになります。




