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足りない召喚士の戦い方  作者: トリバード
指名依頼:グランディア防衛

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38/143

38:指名依頼

本日もよろしくお願いします。

「……増えてるな」


掲示板前で、レオン・アルバーンは小さく呟いた。


依頼ではない。


視線だ。


ギルドへ入った瞬間から、妙に周囲がこちらを見ている。


「あれだろ」

「異常個体の……」

「リオと一緒にいた」


小声。

以前より露骨だった。

レオン自身は、あまり慣れていない。

なので普通に居心地が悪い。


「お、いたいた」


受付側から声。


見れば受付嬢がこちらへ手を振っていた。


「ギルド長から呼び出しです」


「……何かやりましたか?」


「その反応、心当たりある人のやつですよ」


「ないです」


少しだけ笑われた。


⸻


ギルド長室。


「座れ」


レオンは素直に椅子へ座る。

ギルド長は書類を見ながら言った。


「お前、“指名依頼”入ったぞ」


「……はい?」


予想外だった。


指名依頼。

特定の冒険者を名指しで要請する依頼。

普通はCランク以上にされることが多いもので、Dランク個人への指名は珍しい。


「町外れの鉱山村だ」


ギルド長が地図を広げる。


「最近、夜間の魔物襲撃が増えてる」


「防衛依頼ですか?」


「ああ。だが、少し違う。向こうの要望は、“支援役を含めた防衛指揮補助”」


レオンは少し黙った。


支援。


そして。


“指揮補助”。


異常個体戦。

町防衛。


そこでの動きを見た者がいたのだろう。


「……僕ですか?」


「お前だ」


ギルド長は腕を組む。


「正直、まだDランクに来る依頼じゃねえ」


「だが向こうが指名してる」


さらに。


「あと、お前以外にも寄せ集めだ」


資料が渡される。


⸻

•Eランク双剣使い

•Dランク槍士

•Dランク弓手

⸻


固定パーティではない。

レオンは少しだけ息を吐いた。

最近こういう形が増えている。


そして多分。


“だからこそ”呼ばれている。


⸻


訓練場。


リオは面白そうに笑った。


「へぇ、指名依頼か。出世したじゃん」


「そういう感じじゃないですよ」


「いや結構すごいぞ?」


リオは普通に評価している。


「支援役の指名って、上の連中ほど慎重だからな」


単純な火力職なら分かりやすい。

だが支援役は違う。


相性。

判断。

継続力。


“実際に組んだ評価”がかなり重要。


だからこそ。


「あー……」


リオがニヤニヤする。


「ちゃんと見られてたんだな」


レオンは少しだけ困った顔をした。


⸻


「で、視界共有は?」


「まだ十数秒です」


「いや、前数秒だっただろ。十分おかしい」


リオが笑う。


実際、かなり慣れてきていた。

もちろん酔うから長時間は無理。

だが以前ほど酷くない。


そして何より。


“必要な情報を選ぶ”という感覚が少し分かり始めていた。


例えば。


•人数

•配置

•死角

•動線


そういうものだけ抜き出す。

すると脳への負荷が減る。


まだ実戦投入には危険だが、確実に前へ進んでいた。


⸻


「ほーん」


後ろから声。

木盾を抱えたガドだった。


「指名依頼か」


「情報早いですね」


「ギルド内で噂になってる」


当然だった。

Dランク召喚士への指名依頼。

しかも防衛案件。

珍しい。


ガドは少し真面目な顔になる。


「で、受けるのか?」


「……はい」


迷いはなかった。


するとガドは頷く。


「なら一個だけ覚えとけ」


「?」


「“お前が全部やる必要はねえ”」


レオンは少し黙る。


「支援役ってのはな、時々、“全員支えなきゃ”って考えすぎる」


ガドは木盾を肩へ担ぐ。


「でも実際は違う。

 戦えるやつは、自分でも戦うんだよ。

 お前は“回す”こと考えろ」


その言葉は、

妙に今のレオンへ刺さった。


全部を見ようとして潰れかけた経験はいくつか思い当たる。


でも、


必要なものを選べば、戦場は整理できる。


多分それは、視界共有も同じだ。


⸻


夜。


宿部屋。

レオンは荷物を整理していた。


杖。

小剣。

魔導書。

保存食。


そして、四羽の妖精鳥。


ふわふわ漂う小さな光。

以前より賑やかだ。


淡銀の四羽目が、

机の上からこちらを見ている。


「……今度は実戦ですね」


少し不安はある。


だが。


不思議と、

以前ほど焦ってはいなかった。


積み重ねる。


少しずつ。


それでいい。

一気に飛び越えていくような才能は、

自分にはないのだから。


窓の外。


夜風が町を抜けていく。


その先。


魔境側の空は、

静かに黒く沈んでいた。


ここまで読んでいただき、ありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
XのRT企画から伺わせていただきました! 伝わるか分からないですが、序盤の主人公のやっていることが「黒子のバスケ」みたいだなぁと思いつつ読んでいましたが、だんだんと指揮能力だったりその補助周りの能力…
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