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足りない召喚士の戦い方  作者: トリバード


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36/53

36:4羽目

本日もよろしくお願いします。

宿の窓から差し込む柔らかな光。

机の上には開きっぱなしの魔導書。


そして。


ふわり。


「……おはようございます」


レオン・アルバーンの肩へ、一羽の妖精鳥が降り立った。


淡い橙色の羽。

小さな光を纏う鳥型召喚獣。


さらに。


窓辺に本棚、

三羽の妖精鳥がそれぞれ好き勝手に漂っている。


「……朝から元気ですね」


ぴ、と一羽が鳴いた。


妖精鳥。


低位召喚獣。

戦闘力はほとんどない。


だが、

身体強化に疲労軽減、治癒補助や感覚補正。

強力ではないが、様々な支援能力を持つ。


そして何より。


長時間維持が可能。


本来、召喚術とは高負荷だ。

強力な召喚獣ほど、

膨大な魔力と制御能力を要求される。


だから一般的な召喚士は、


“短時間で強力な一体を呼ぶ”。


だがレオンは違った。

高位召喚適性が低い代わりに、

低負荷召喚の維持能力が異常に高い。


複数制御。

長時間運用。

細かな補助。


一見地味。

だが、実戦では非常に厄介な才能。


「お前たちも、随分長いですね」


最初の一羽と契約したのは、冒険者登録直後だった。


そこから少しずつ増え、

今は三羽。


召喚獣は使い捨てではない。


契約し、共に過ごし、少しずつ馴染ませる。


特に妖精鳥系は、召喚士の精神状態へ強く影響される。


焦れば乱れ、

傷つけば怯え、

落ち着けば穏やかになる。


だから、最近のレオンは、少し変わっていた。


ぴぃ。


一羽が額へ頭を擦りつけてくる。

以前より距離が近い。

どこか安心しているような。


そんな感覚。



召喚士は珍しい職だ。

理由は単純。


難しい割に、成果が安定しない。


契約相性。

魔力適性。

精神制御。


どれか一つ欠けても成立しない。


さらに。


“召喚獣に好かれるかどうか”。


これが意外と致命的だった。


高圧的な召喚士ほど、契約が不安定になる。


逆に、召喚獣との関係構築が上手い者は、

制御精度が大きく上がる。


「……だから、変な職なんですよね」


レオンが苦笑する。


剣士みたいに、鍛えれば単純に強くなる職ではない。


どちらかと言えば、


“積み重ねる職”。


それが召喚士だった。



昼頃、レオンは一人で訓練場へ来ていた。


軽い魔力循環訓練。

妖精鳥の維持確認。


その時だった。


「……?」


違和感。


魔力が余る。


いや、“流れが増えている”。


普段なら三羽維持で安定する魔力循環。

だが今日は違う。


まだ余裕がある。


しかも、三羽の妖精鳥が妙に落ち着かない。


くるくる飛び回る。


「どうしたんですか?」


返事の代わりに、三羽が同時に空を見る。


その瞬間、空気が震えた。


淡い光。


レオンの魔力が自然に流れる。


召喚陣。


「……え?」


無意識だった。


なのに、術式が形成されていく。


そして。


ふわり。


四つ目の光が現れた。


小さい。


既存の妖精鳥よりさらに細身。


羽色は淡銀。


そして、“目”が印象的だった。


静かな青。


その妖精鳥は、現れた瞬間、レオンを見た。


まるで、観察するみたいに。


「……新しい、契約?」


通常、召喚契約は儀式を伴う。

だが稀にある。


召喚獣側から近づいてくるケース。


特に、精神状態や適性変化が大きい時。



ぴ。



四羽目が飛ぶ。


次の瞬間、視界が揺れた。


「――っ!?」


見えた。


上空。


訓練場全体。

自分自身。

俯瞰視点。


「これ……!」


感覚共有。


四羽目の視界が流れ込んできている。

情報量の多さに視界が揺れる。


これは、慣れるまでは扱いが難しいだろうな。


驚きつつも、不思議と混乱はなく、冷静であった。


戦場を見る。

配置を見る。

全体を見る。


最近のレオンが、ずっと意識していたこと。


その在り方に呼応するみたいに。


新しい妖精鳥は、

静かに肩へ降り立った。



ぴぃ。



既存の三羽も、

どこか嬉しそうに周囲を飛ぶ。


レオンは少しだけ笑った。


「……賑やかになりますね」


窓から風が吹く。


遠くでは、まだ世界が不穏に揺れている。



けれど今この瞬間だけは、

どこか穏やかだった。


そしてレオンはまだ知らない。


この“四羽目”が、


今後の戦い方そのものを変えていくことを。


ここまで読んでいただき、ありがとうございます。

今回は召喚士の中身と、レオンの成長を書きました。

続きが気になると思っていただけたら、ブックマークや評価をいただけると励みになります。

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