33:珍しい休日
本日もよろしくお願いします。
翌日、レオンは珍しく、
朝から依頼を受けていなかった。
宿屋の窓から差し込む日差し。
静かな空気。
妖精鳥たちがふわふわ漂っている。
「……落ち着かないな」
思わず呟く。
いつもなら、朝には依頼を探している時間だった。
だが今日は違う。
武器の手入れをする。
小剣の刃を磨く。
杖の魔石を確認。
その程度しかやることがない。
「……平和ですね」
妖精鳥が肩へ止まる。
まるで同意するみたいに。
昼頃、レオンは町を歩いていた。
すると、
「あ」
通りの冒険者と目が合う。
「……この前の」
小声。
さらに別方向。
「あいつだよ」
「異常個体の……」
噂になっていた。
レオンは少し居心地悪そうに視線を逸らす。
別に英雄扱いされたいわけじゃない。
だが、以前と比べて周囲の目が変わっている。
それだけは分かった。
⸻
昼食を摂った後、レオンは治療院へ向かった。
「よー」
ベッドの上。
腕を固定されて窮屈そうなリオが手を上げる。
全身包帯だらけ。
「思ったより元気ですね」
「死ぬほど痛いけどな」
笑いながら言う。
その時。
「お、来たか」
別のベッド側から声。
雑に身体中に包帯のようなものを巻いたダグラスだった。
「……なんでいるんですか?」
「昇級辞令から逃げてる」
堂々と言った。
「怪我人に紛れれば捕まらねえと思ってな」
「ギルド長、さっき大通りで探してましたよ」
「マジかよ……」
リオが吹き出す。
治療院に笑い声が響いた。
その光景を見ながら、レオンは少しだけ思う。
悪くない。
こういう時間も。
⸻
戦って、
傷ついて、
それでも生きて帰ってきたからこそある時間。
⸻
だが同時に、
町の空気はどこか落ち着かなかった。
増え始めた異常報告に、慌ただしいギルド。
静かな日常の裏で、何かが確実に動き始めている。
その予感だけは、
消えずに残り続けていた。
ここまで読んでいただき、ありがとうございます。
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