28:狩られる側からの脱却
本日もよろしくお願いします。
今までは追われていた。
だが、隊列を崩さない。
それだけで狼の動きが鈍る。
「当たれっ!」
矢が脚を掠める。
わずかに体勢が崩れる。
「今だ!」
リオが踏み込む。
斬撃。
今度は浅くない。
黒い血が飛ぶ。
狼が唸る。
怒った。
次の瞬間。
一直線にリオへ。
「来るぞ!」
だが、今度は孤立していない。
「止める!」
ダグラスがすかさず割り込む。
轟音。
盾が悲鳴を上げる。
「っ……!」
膝が沈む。
だが耐えた。
その背後でレオンが支援を重ねる。
身体強化。
疲労軽減。
反応補助。
妖精鳥が高速で舞う。
「右、空きます!」
「分かってる!」
リオが動く。
狼がダグラスへ噛みつくその瞬間。
側面。
リオの剣閃。
深い。
狼が咆哮を上げる。
だが、終わらない。
まだ動く。
異常な生命力。
「高威力の魔術士が居れば楽なんだけどな……!」
弓手が悪態をついたその時だった。
レオンが気づく。
(魔力が集中してる)
狼の胸部。
赤黒い光。
まるで、魔力が“核”みたいに集まっている。
「リオさん!」
「胸です!」
リオが即座に反応する。
「ダグラス!」
「おう!」
盾が前へ出る。
そこに狼が飛びかかる。
受ける。
その刹那、レオンが妖精鳥をリオへ集中。
加速。
強化。
反応補助。
リオの姿が消えた。
黒狼の懐に一気に切り込んだ。
「――はあッ!!」
渾身の刺突。
剣が胸部へ突き刺さる。
赤黒い光が、そこに集まる。
直後。
狼が絶叫する。
そして。
巨体が、崩れ落ちた。
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