26:赤い眼光
本日もよろしくお願いします。
リオが地面を滑る。
砂利が散る。
「っ……!」
左腕。
浅くはない。
斬られたように血が流れていた。
異常個体の狼は、静かにこちらを見ている。
低い唸り声。
赤い双眸。
その場にいる全員が理解していた。
“今までの相手とは違う”。
空気そのものが張り詰める。
「ダグラス!」
リオが叫ぶ。
「前固定!」
重戦士ダグラスが即座に前へ出る。
大盾を構える。
その瞬間。
⸻
黒狼が消えた。
⸻
「速――」
衝撃。
轟音と共にダグラスの巨体が後退する。
「ぐっ……!」
盾越しですら止め切れない。
地面に靴跡が深く刻まれる。
(重い……!)
レオンは息を呑む。
速さだけじゃない。
単純な膂力も異常だった。
「来るぞ!」
狼が再び跳ぶ。
今度は横の弓手へ。
「っ!」
レオンが杖を振る。
妖精鳥が飛ぶ。
身体強化。
弓手がギリギリで回避。
狼の爪が岩を抉る。
「助かった!」
だが、休む暇はない。
狼が即座に反転。
再加速。
「チッ!」
リオが踏み込む。
剣閃。
だが狼は空中で軌道を変えた。
速い。
異常な反応速度。
「避け――」
間に合わない。
狼の爪がリオを捉える。
金属音。
火花。
ギリギリで剣を差し込んでいた。
だが完全には殺せない。
「ぐっ……!」
再び押し込まれる。
(押されてる)
リオですら。
レオンは戦況を見る。
ダグラスは耐えられる。
だが長くない。
弓手は近づかれると危険。
回復術師は今、リオの治療優先。
そして狼は、
明らかに“前衛を嫌っている”。
弱い場所を狙っている。
(賢い……!)
ただ強いだけじゃない。
戦い慣れている。
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