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足りない召喚士の戦い方  作者: トリバード


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23/61

23:経験の値段

本日もよろしくお願いします。


「また行くのか?」


朝、ギルドの受付前。

ガド・バレインが呆れたように言った。


レオン・アルバーンは依頼書を手にしたまま頷く。


「……空いてる依頼が多いので」



町襲撃から数日経ったが、リスベル周辺はまだ不安定だった。

魔物の出現数も増えている。


結果として、依頼は山積み。


「若いなあ……」


ガドは苦笑した。


ここ数日、レオンは異様なペースで依頼を受けていた。


護衛。

採取。

討伐。

探索。


規模は様々。


まるで“止まるのを嫌がる”みたいに。


「無理すんなよ」


ガドが言う。


「……大丈夫です」


だが、ガドは鼻を鳴らした。


「大丈夫って言うやつほど危ねえんだよ」


レオンは少しだけ困った顔をした。



「座れ」


ガドが椅子を引く。

昼前のギルドは比較的空いていた。


「……はい」


レオンも腰を下ろす。


ガドはしばらく黙ってから口を開いた。


「お前、“急いでる”だろ」


レオンの手が止まる。


「昇格試験落ちたからか?」


否定できなかった。


ガドはため息を吐く。


「気持ちは分かる」


「俺も昔、無茶した」


酒臭い笑い。


「若い頃は、“数こなせば強くなる”って思うんだよ」


「……違うんですか?」


「半分正解、半分間違いだ」


ガドは指を立てる。


「経験は必要だし、場数も踏まなきゃ話にならねえ。

そこは否定しない。」


「でもな」


視線が真っ直ぐ向く。


「経験ってのは、“考えて残した経験”じゃねえと意味がねえ」


レオンは黙って聞く。


「死にかけました〜だの、ギリギリ勝ちました〜だの」


ガドは肩をすくめならが言った。


「そんなんだけ積み重ねても、ただ消耗するだけだ」


「……」


「ちゃんと、“何が良かったか”を残せ」


一拍。


「お前、最近ちょっと視野狭くなってるぞ」


その言葉に、レオンは少しだけ目を見開いた。


図星だった。


昇格試験。

町防衛。

足りないと言われたこと。


それが頭から離れない。

だから、とにかく前へ進もうとしていた。


「焦るなとは言わねえ」


ガドが言う。


「でも、“急ぐ”と“雑になる”は違うからな」


レオンは静かに頷いた。


「……ありがとう、ございます」



その日の午後。

掲示板前で依頼を探していた時だった。


「お、いたいた」


聞き覚えのある声に振り返る。


赤髪。

軽い笑み。


リオ・ヴァレット。


「久しぶり」


Cランクへ昇格したばかりの剣士。


レオンは少し驚く。


「……リオさん」


「今から任務?」


「はい」


リオは掲示板を見る。


「じゃあ一緒だわ」


指差した依頼。



《山岳地帯における調査・護衛任務》



「俺もそれ受ける」


ここまで読んでいただき、ありがとうございます。

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