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足りない召喚士の戦い方  作者: トリバード


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21:番外編:落ちた男から見た背中

本日もよろしくお願いします。

『落ちた男から見た背中』

――ガド視点



昔は、Cランクだった。


一応。


別に自慢するほどじゃない。


上には上がいたし、Aランクなんて化け物みたいな連中も見てきた。


それでも、


最低限“前線”には立っていた。



Cランクの大盾使い、ガド・バレイン。

それが昔の俺だ。


だが、今はDランク。


理由は単純。


怪我と、年齢。


左脚は古傷で踏ん張りが甘い。

肩も長時間の受けに耐えなくなった。

若い頃みたいに、無茶が効かねえ。


無理をすれば死ぬ。


だから落ちた。

それだけだ。


まあ、受け入れてはいる。


「いつまで前線気分だよ」


なんて、自分でも思うしな。



あの日、ギルドの空気を見た瞬間。

「ああ、こりゃ最悪だな」と思った。


主力がいねえ。


Cランク連中は遠征中。

衛兵も数が少ない。

残ってるのは寄せ集め。


その時点で分かる。


“消耗戦になる”。


嫌な予感しかしなかった。


俺と組まされたのは、

槍の嬢ちゃん、魔術師の兄ちゃん。


で――


銀髪の召喚士。


(ああ、噂の)


レオン・アルバーン。

名前くらいは聞いてた。

“便利な支援屋”。

その程度。


正直、最初はそこまで期待してなかった。


始まってすぐ理解した。


数が終わってる。

しかも質も悪い。


「ちっ……!」


盾越しに衝撃が来る。


重い。


若い頃なら耐えられた。

でも今は違う。


(長引いたら持たねえ)


それがすぐ分かった。


後ろじゃ別パーティが崩れてる。

悲鳴も聞こえる。

衛兵も押されてる。


現実は厳しい。


“頑張れば何とかなる”段階じゃない。


この中じゃあ俺が1番の古株だ。

だから俺も焦ってた。

前を抑えながら、

横も見て、

後ろも気にして、

全体も考える。


結果、全部中途半端になる。


一番駄目なやつだ。



「……聞いてください!」


正直、最初は驚いた。

レオンが声を張ったからだ。

ああいうタイプは、

後ろで静かに補助してるもんだと思ってた。


でも違った。


「役割を固定します!」


言い切った。

迷いながらじゃない。

ちゃんと腹を括って。


(……へえ)


少し感心した。



不思議なもんだ。


“前だけ見ろ”


そう言われた瞬間、楽になった。

今まで無意識に抱えてた負担が減る。


俺は受ける。

抜けた敵は槍娘。

止めは魔術師。


単純。

でも、それがいい。


しかもあいつ、

ちゃんと見てる。


「左、一歩!」

「今押せます!」

「下がらなくて大丈夫です!」


必要な声が、必要な時に飛んでくる。


(ああ……)


これ、


“前衛経験あるやつの見方”だ。


支援専門のやつとは違う。


“前が何を嫌がるか”を分かってる。

だから動きやすい。



戦ってる最中、ふと思った。


(こいつ、自分で気づいてねえな)


自分が“戦場回してる”ことに。


支援してるつもりなんだろう。


でも実際は違う。


全員の動きを整理して、

戦線そのものを安定させてる。


それはもう、


半分“指揮”だ。


しかも面白いのは、

押し付けがましくないこと。


「こうしろ!」じゃない。


“動きやすい形”を作ってる。


だから自然と従える。


ああいうのは、珍しい。



戦いが終わった後、


周りを見て少し黙った。


負傷者。

担架。

血。


知ってる顔もいた。

昨日はバカみたいに酒場で飲んでたやつ、

一緒に任務に行った事のあるやつも、

みんな負傷、疲弊している。


そして、動かないやつも。



……これが現実だ。



若い頃は、


「俺が守る」


とか思ってた。


でも実際は違う。



一人じゃ守れねえ。


戦場ってのは、

“崩れないこと”の方が大事だ。



その点で言えば、

今回一番仕事してたのは、多分。


あの銀髪だ。


■ギルド帰還後


「こいつの指示が良かったんだ」


俺がそう言った時、レオンは妙な顔してた。


褒められ慣れてねえ顔。


笑っちまう。


でもまあ、分かる。


あいつ、自分を過小評価してる。


多分、周りにもっと凄いのを見てきたんだろう。


実際いるしな。

化け物みてえな才能持ちは。


でも。


才能だけで戦場は回らねえ。


長く生き残るやつには、

別の強さがいる。


レオン・アルバーンってやつは、

多分そっち側だ。


派手じゃない。

強引でもない。


でも、


“いると崩れない”。


そういうやつは、

気づけば一番前線に残ってたりする。


帰る背中を見ながら、ふと思った。


(あいつ、そのうち化けるな)


しかも多分、


本人が思ってるよりずっと厄介な方向に。


俺みたいな“落ちた側”だからこそ、

それが何となく分かった。


ここまで読んでいただき、ありがとうございます。

今回はガドの視点で書いてみました。

続きが気になると思っていただけたら、ブックマークや評価をいただけると励みになります。

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