20:場を回す
初作品です。
誤字脱字、矛盾などあるかもしれませんが、
生暖かい目で見ていただけますと幸いです。
「……聞いてください!」
声を張る。
戦闘中。
それでも三人は反応した。
「このままだと消耗で崩れます!」
ガドが叫ぶ。
「じゃあどうする!」
レオンは即座に答える。
「役割を固定します!」
⸻
「ガドさんは前だけ見てください!」
「フィナさんは抜けた敵だけ処理!」
「エルトさんは撃破じゃなく足止め優先!」
一気に言い切る。
沈黙は、ほんの一瞬。
「……分かった!」
ガドが返した。
レオンは支援の配分を変える。
ガドへ耐久。
フィナへ加速。
エルトへ集中補助。
役割が固定される。
だから、迷いが減る。
「前、押せるぞ!」
ガドが叫ぶ。
フィナも動きやすくなる。
エルトの魔法が、敵の流れを止める。
レオンは全体を見る。
(左が薄い)
「ガドさん、一歩左!」
「了解!」
修正が回る。
初めてだった。
“戦線が自分を中心に回っている”
昇格試験の時の指示とはまた違った、その感覚。
だが、楽ではない。
遠くで爆発。
別パーティの一角が崩れる。
「撤退!撤退しろ!」
負傷者が運ばれる。
血の匂い。
そして――
布を被せられた衛兵。
死者も出ていた。
(……これが現実か)
今まで死人が出るような任務には参加したことがなかった。
自分もいつこうなってもおかしくない状況。
これまでより、ずっと、重い。
それでも、止まれない。
大型の猿型魔獣が現れる。
「来るぞ!」
全員が疲弊している。
だが、レオンは冷静だった。
「フィナさん、右誘導!」
「エルトさん、視界止めてください!」
「ガドさん、正面固定!」
即座に指示。
全員が動く。
大型個体が孤立する。
「今!」
ガドの一撃。
フィナの追撃。
最後に、エルトの風刃が首を裂いた。
静寂。
戦闘終了だった。
誰もしばらく立てなかった。
「……終わったのか」
遠くではまだ救護活動が続いている。
負傷者は多い。
死者も出た。
だが――
「お前ら、大した怪我はないのか……?」
救護班の男が目を見開く。
確かに。
消耗は激しい。
だが、四人とも生きている。
大きな負傷もない。
他の組と比べれば、明らかに損耗が少なかった。
フィナがぽつりと呟く。
「……レオンが回してたからだ」
エルトも静かに頷く。
「途中から、戦いやすさが全然違った」
ガドが笑う。
「お前、“支援役”じゃねえなもう」
レオンは少しだけ目を見開いた。
“支援役”。
その言葉が、今までと少し違って聞こえた。
⸻
ギルド内は騒然としていた。
⸻
負傷者。
治療。
報告。
その中で、
レオンたちの報告にざわめきが走る。
「損耗なし……?」
「Dランク寄せ集めで?」
ガドが親指でレオンを指す。
「こいつの指示が良かったんだ」
視線が集まる。
レオンは少しだけ困ったように視線を逸らした。
肩の妖精鳥が、静かに光る。
昇格試験には落ちた。
足りないと言われた。
でも――今日、
確かに一つ、
前へ進めた気がした。
“支える”だけではなく、
“導く”側へ。
その小さな変化は、
まだ始まったばかりだった。
成長を書くのって難しいですね。




