17:番外編:あいつの厄介なところ
初作品です。
誤字脱字、矛盾などあるかもしれませんが、
生暖かい目で見ていただけますと幸いです。
番外編
『あいつの厄介なところ』
――リオ・ヴァレット視点
⸻
昇格試験。
正直に言えば、最初は興味なかった。
やることやればいい、それだけで俺は合格するだろう。
集合場所に集まった面子を見て、ざっと評価する。
槍の女――悪くない。安定型。
弓のやつ――普通。
で――
「……あれが例の」
少し離れたところにいた、銀髪の男。
レオン・アルバーン。
“支援のやつ”。
⸻
噂は聞いてた。
「地味だけど崩れない」
「どこにでも入れる」
便利枠、ってやつだ。
(まあ、いて困るタイプじゃない)
それくらいの認識だった。
⸻
最初の戦闘。
いつも通り前に出る。
一体、二体といつも通り普通に落とす。
(……あれ?)
ふと気づく。
“ちょっと軽い”
別に、劇的に変わるわけじゃない。
でも、ほんの少し。
動きやすい。
振り返ると、あいつがいた。
本を開いて、いつの間にか支援を飛ばしてる。
(……なるほどね)
派手じゃないが、確実に効いてる。
ただ、問題もすぐ分かった。
遅い。
正確には、“遅れてる”。
俺が崩した後に来る。
だから意味が薄い。
(惜しいな)
これ、タイミング合えばかなり強い。
でも、今はズレてる。
何戦かやるうちに、もう一つ気づく。
あいつ、“ずっと見てる”。
敵じゃなく、俺たちを。
誰がどう動くか。
どこで崩れるか。
(ああ、そういうタイプか)
支援専門。
だから“人を見る”。
悪くない。
むしろ正解。
でも――
(見すぎだな)
判断がワンテンポ遅れる理由、それだ。
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あいつが初めて口を出した時、正直、ちょっと驚いた。
(あ、言うんだ)
もっと黙ってるタイプかと思ってた。
内容はシンプル。
順番と役割の整理。
(まともだな)
だから、すぐ乗った。
こういうのは、試した方が早い。
結果は――
(いいじゃん)
ちゃんと回る。
むしろやりやすい。
ただし、
“ギリギリで回してる”
余裕がない。
誰かが崩れたら、そのまま崩壊する形。
数が来た時、
あいつは迷わなかった。
(あ、選んだな)
支援を一点集中。
俺に全部乗せた。
その時点で分かる。
(他は捨てた)
結果は正解。
俺は押し切れる。
でも、その代わりに――
一人、間に合わなかった。
(……そりゃそうだ)
全員は無理。
問題はそこじゃない。
“選べる”こと。
そして“実行できる”こと。
Dランクでこれやるやつ、あんまりいない。
普通は迷う。
全員助けようとする。
結果、全滅なんてことになるのが普通だ。
あいつは違った。
(割り切ってるな)
でも、足りない。
それでも、結論は変わらない。
あいつは落ちる。
理由は簡単。
“待ってるから”。
状況を見て、
最適解を探して、
一番いい支援を選ぶ。
それ自体は強い。
かなり強い。
でも――“始めてない”
流れを作る側じゃない。
あくまで、整える側。
(だから惜しい)
あと一歩で、別物になるのにな。
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■試験後
結果は予想通り。
「不合格」
あいつ、あんまり動じなかったな。
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(まあ、分かってた顔だ)
外に出たところで声かける。
「残念だったな」
振り返る顔。
悔しさはある。
でも折れてない。
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(いいな、このタイプ)
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だから、少しだけ言う。
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「一番惜しいの、あんただったと思うよ」
⸻
俺以外の奴は全員不合格だった。
あいつにかけたこの言葉は、本音だ。
俺は通る。
今のままで。
でもあいつは――“まだ伸びる余地がある”
しかも、かなり大きく。
「支えるだけじゃなくて、“動かせる側”になったら」
⸻
想像してみる。
⸻
あいつが前提で組まれたパーティ。
あいつが流れを作る戦場。
(……面倒くせえな、それ)
正直、やりたくない相手になる。
レオン・アルバーン。
強くはない。
でも――
“強くなる場所にいるやつ”。
ああいうのは、大体化ける。
だからまあ、
またどっかで会うだろ。
その時が、少し楽しみだ。
こいつのことは覚えておこう。
その価値があるかもしれない。
番外編として、リオの視点から見たレオンを書いてみました。




