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足りない召喚士の戦い方  作者: トリバード
異常個体:骨鳥

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130/135

130:嫌な一致

本日もよろしくお願いします。

諸事情で更新が滞り申し訳ありません。

本日から改めて投稿致します。

「最初から聞こう」


エドガーが言う。

部屋の空気が張り詰めた。


だが、その直後だった。


「その前に」


シエラが手を上げる。

全員の視線が集まった。


シエラは盛大にため息を吐く。


「長くなる?」


エドガーが眉を上げる。


「内容次第だな」


「なら多分長くなるわね」


即答だった。


そして両肩を指差す。

包帯は巻かれている。

だが既に血が滲んでいた。


「応急処置しかしてないのよ」


今度はドルガを見る。

ドルガも黙って頷いた。

鎧の隙間から血が滲んでいる。


「こっちもだ」


低い声。


「特に俺とシエラは奴の攻撃を正面から受けている」


エドガーが眉を顰めた。


「何故先に治療を受けなかった」


「先に報告しろって言われたからよ」


シエラが肩を竦める。


その瞬間、ギルド長が露骨に目を逸らした。


誰も何も言わない。


数秒後。


エドガーが深く息を吐く。


「治療を優先しろ」


「そうさせてもらうわ」


シエラが立ち上がる。


だが扉へ向かう前に振り返った。


「ただ一つだけ」


真面目な顔になる。


珍しかった。


ゼインを見る。

カイルを見る。

マークを見る。


そしてレオンを見る。


「手短にお願い」


部屋に小さな笑いが漏れる。


エドガーも僅かに口元を緩めた。


「善処しよう」


シエラとドルガが立ち上がった。


「先に失礼する」


短く頭を下げる。

二人は治療室へ向かった。


扉が閉まる。


静寂。


そして。


エドガーの視線が荷車へ向いた。


「では改めて」


低い声。


「見せてもらおう」



ヴァイスが待ってましたと言わんばかりに立ち上がった。


布を外す。


異形の下半身が姿を現す。


骨。

肉。

黒い触手。

焼け焦げた断面。


そして無数の遺品。


ギルド長が息を呑む。


レオンも改めて見ると異様だった。

討伐直後は興奮していた。


今は違う。


冷静な目で見られる。

だからこそ分かる。


気持ちが悪い。


生物として何かがおかしい。


エドガーは無言だった。


立ち上がり、荷車へ近付く。


触手を見る。

骨を見る。

焼け焦げた断面を見る。


そして。


胸部付近で足を止めた。


「ここか」


ヴァイスの目が細くなる。


「流石ですねェ」


「魔石があった場所だな」


「正確には魔力循環の中枢です」


ヴァイスが答える。


「魔石そのものは元々半壊していたんでしょうねェ」


「にも関わらず」


エドガーの視線が断面をなぞる。


「活動を継続した」


「その通りです」


静寂。


ギルド長の顔色が変わった。


「それは……」


あり得ない。


そう言いたかったのだろう。


だが言葉にならない。


エドガーは何も言わない。


代わりに周囲へ散らばる遺品を見る。


冒険者証。


剣の欠片。


指輪。


鎧の破片。


無数だった。


そして再び骨鳥を見る。


数秒。


沈黙。


やがて。


「ギルド長」


低い声だった。


「記録官を呼べ」


部屋の空気が変わる。

ギルド長が目を見開いた。


「それは……正式案件として、ですか?」


「そうだ」


即答だった。


「今回の件は通常の討伐報告ではない」


ギルド長が立ち上がる。


慌ただしく部屋を出ていった。


レオンは思わずゼインを見る。

ゼインも僅かに眉を顰めていた。


どうやら予想外らしい。


エドガーは荷車から目を離さない。


そして、ぽつりと呟いた。


「嫌な一致だな」


誰へ向けた言葉でもなかった。


だが、ヴァイスだけが反応した。


「一致?」


エドガーは答えない。

代わりに振り返る。


その目は先程までとは違っていた。


英雄の目ではない。

王国魔境対策局顧問としての目だった。


「報告を始めてくれ」


静かな声。


「発見から戦闘終了まで」


「一つも省略せずに」


その言葉に、レオンは無意識に背筋を伸ばした。


骨鳥との戦いは終わった。


そう思っていた。


だが違う。


今、自分達は、もっと大きな何かの入り口へ立たされている。


そんな気がした。

ここまで読んでいただき、ありがとうございます。

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