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足りない召喚士の戦い方  作者: トリバード
異常個体:骨鳥

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128/137

128:ギルドへの道

本日もよろしくお願いします。

王都の門を潜った瞬間、レオンはようやく肩の力を抜いた。


石畳。

行き交う人々。

露店の呼び込み。


日常の景色。


数日ぶりのはずなのに、随分長く離れていたような気がする。


「帰ってきたなぁ……」


思わず漏れた言葉だった。


「そうねぇ」


シエラも同意する。


だが次の瞬間、両肩へ痛みが走ったらしい。


「痛っ」


「大丈夫か?」


カイルが苦笑する。


「大丈夫じゃない」


即答だった。


「帰ったら最低でも三日は寝る」


「この前の時も聞いたぞ」


「今回は本気よ」


そんなやり取りを聞きながら、ゼインが鼻を鳴らす。


「まずはギルドだ」


戦斧を肩へ担ぐ。


「報告終わるまで終わりじゃねぇ」


「鬼か」


シエラが即座に返した。



その後ろで、ヴァイスだけは全く別の意味で落ち着きが無かった。


「早く研究室へ持ち込みたいですねぇ」


荷車を見る。


「まず触手組織を分解して〜魔力循環経路を解析して〜再生機構の検証も必要ですねぇ......あと異形化前後の組織比較も――」


誰も聞いていない。


聞いていないが、ヴァイスは止まらない。


「特にあの個体は素晴らしい」


目が輝いていた。


「魔石を半壊させても活動を継続したんですよ?普通なら有り得ません。実に興味深い!最高ですねぇ!!」


「うるせぇ」


ゼインが即座に切り捨てた。


ヴァイスは不満そうだった。



王都中央区へ近付くにつれ、人通りが増えていく。


当然、黒狼の牙へ気付く者もいた。


「あれ、黒狼の牙じゃないか?」

「本当だ」

「戻ってきたのか」

「シエラさん、ボロボロじゃねぇか?」


視線が集まる。


そして、荷車へも。


「なんだあれ」


「魔獣素材か?」

「でかいな……」


ざわめきが広がる。


骨鳥の下半身。

異形の骨。

大量の遺品。


目立たない訳がない。


レオンは少しだけ居心地の悪さを感じた。


だが、ゼイン達は気にしていない。


慣れているのだろう。

堂々と歩いている。



「レオン君」


不意に声を掛けられた。


ヴァイスだった。


珍しく興奮を抑えた声だった。


「はい?」


レオンが振り向く。


ヴァイスは少しだけ考えるような顔をする。


その後。


「後日、少し時間を頂けませんか?」


レオンが首を傾げる。


「俺ですか?」


「君です」


即答だった。


魔眼が細くなる。


「骨鳥も非常に興味深い存在でした」


「ですが」


そこで一度言葉を切る。


そして。


「私は君に対しても非常に興味があります」


異常個体の素材を眺めている時のような目に、レオンが固まった。


なんだか言い方が怖い。


シエラが吹き出す。


「言い方」


「私にその気はありませんよォ」


ヴァイスは不満そうだった。


「真面目な話です」


そして再びレオンを見る。


「召喚獣との繋がり」


レオンは背筋を伸ばした。


「骨鳥との共鳴や、魔力経路の変化、そして急激な活性化」


紫色の魔眼が細まる。


「あくまで仮説ですが、君の身に起きた変化について、少し見えてきた物があります」


レオンの表情が変わる。


「本当ですか?」


「ええ」


ヴァイスが頷く。


「まだ確証はありません。ですが調べる価値は大いにある」


ヴァイスはレオンの反応を伺うように問いかける。


「君自身も、気になっているでしょう?」


それは否定出来なかった。


骨鳥との戦いで起きた変化。

妖精鳥との繋がり。

以前とは明らかに違う感覚。

理由が分かるなら知りたい。


そう思う自分がいる。


「まぁ」


その時。


ゼインが横から口を挟んだ。


「気になるなら聞いてみりゃいい」


戦斧を肩へ担ぐ。


「お前の事だ」


それだけだった。

止めもしない。

勧めもしない。


ただ選択を委ねる。


レオンは少しだけ笑った。


「そうですね」


その時だった。


「ただし」


シエラが割り込む。


「研究室に閉じ込められそうになったら逃げなさいよ」


「失礼ですねぇ」


ヴァイスが抗議する。


「失礼じゃないわ」


即答だった。


カイルが吹き出す。


「それは俺も思う」


マークも苦笑した。


「否定し切れないのが問題ですね」


ドルガは何も言わない。


だが、小さく頷いていた。


ヴァイスだけが不満そうだった。


「皆さん、私を何だと思っているんですかねぇ……」


誰も答えなかった。



やがて、巨大な建物が見えてくる。


冒険者ギルド王都本部。

リスベルのギルドの3倍以上の大きさはある。


ゼインが歩みを止めた。


「さて」


口元が歪む。


「面倒な時間だ」


カイルが露骨に嫌そうな顔をした。


「報告かぁ……」


シエラもため息を吐く。


「絶対長くなるわよね」


マークは苦笑。

ドルガは無言。


そして、ヴァイスだけが笑った。


「楽しみですねぇ」


その笑顔を見て、レオンは何となく確信する。


恐らく、本当に面倒な事になる。


骨鳥との戦いは終わった。


だが。


骨鳥が残したものは、まだ終わっていなかった。


一行は冒険者ギルドの扉を押し開けた。

ここまで読んでいただき、ありがとうございます。

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