表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
足りない召喚士の戦い方  作者: トリバード
異常個体:骨鳥

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
127/138

127:帰路

本日もよろしくお願いします。

遺品の回収は思った以上に時間が掛かった。


骨鳥の翼へ埋め込まれていた物だけではない。


戦闘中に散乱した物。

土へ埋もれた物。

木々へ引っ掛かっている物。


探せば探すほど出てくる。


「こっちにもあるぞ」


カイルが木の根元から短剣を拾い上げる。

刃は半ばから折れていた。

だが、柄は残っている。


「袋寄越せ」


ドルガが言う。

カイルが放り投げる。


無言の連携だった。


その少し離れた場所では、シエラが片手だけで回収作業を続けていた。


「ったく……」


地面へ落ちていた指輪を拾う。


「帰ったら絶対休む」


「毎回言ってますよね」


マークが苦笑した。


その手は止まらない。


ゼインは冒険者証を優先して仕分けている。


「......チッ、知ってる名前が結構ありやがるな......」


遺品と素材を分けながら整理している。

既に回収袋はかなりの重量になっていた。



遺品の整理がひと段落ついた頃。


「素晴らしいですねぇ……」


ヴァイスは骨鳥の残骸へ張り付いていた。

完全に別世界だった。


触手を切り取る。

骨を採取する。

焼け焦げた肉片を保存容器へ入れる。


時折。


「おや?」


などと言いながら何かを書き留めている。


楽しそうだった。


実に。


レオンは少し離れた場所からその様子を眺める。


そして自分の掌を見る。

魔力の状態は戻りつつある。


だが。


骨鳥との戦いで起きた変化は消えていない。

そっと魔力を流す。


赤い妖精鳥が現れた。


やはり大きい。


戦闘前とは明らかに違う。


以前よりも輪郭が濃い。

存在感が強い。

より生き物に近付いたような感覚すらある。


「……」


レオンは黙って見つめる。


あの時、何が起きたのか。

正確には分からない。


だが一つだけ確かな事がある。


以前の自分には出来なかった。


あの強化は、骨鳥との接触がなければ辿り着けなかった。


そう思うと少し複雑だった。


「何か分かりましたか?」


マークだった。


いつの間にか隣へ来ている。


レオンは苦笑した。


「全然です」


正直な答えだった。


マークも笑う。


「でしょうね」


その反応が少しだけ可笑しい。

レオンもつられて笑った。


「でも」


マークが続ける。


「強くなった事だけは確かでしょう」


レオンは妖精鳥を見る。


そして静かに頷いた。



回収作業が終わる頃には、既に陽は傾き始めていた。


骨鳥の下半身。

大量の素材。

無数の遺品。


それら全てを荷車へ詰め込む。


ゼインが確認する。


「これで全部だな?」


「ええ」


「問題ありません」


「大丈夫だ」


「よし」


短い確認。


そして一行は森を後にした。



帰路は静かだった。

戦闘が終わり、全員が疲弊している。


興奮気味のヴァイスを除き、誰もが無理に喋らない。


ヴァイスの独り言と足音だけが響く。


それで良かった。


レオンも黙って歩いていた。


身体は重い。


だが、不思議と気分は悪くない。


何度も死にかけた。

何度も助けられた。

情けない思いもした。


だが、確かに前へ進めた気がする。


そんな感覚があった。



そして。


翌日。


王都の城壁が見えた。


高く。


大きく。


見慣れた景色。


レオンは思わず息を吐く。


ようやく実感した。


帰ってきたのだと。


「終わったな」


ゼインが呟く。


その言葉へ誰も返事をしない。


だが、誰もが同じ事を思っていた。


骨鳥との戦いは一先ず終わった。


王都の門がゆっくりと近付いてくる。


その向こうでは。


今回持ち帰った物、そして骨鳥という存在が、思わぬ波紋を広げる事になるのだが。


今の彼らはまだ知らない。


ただ、生きて帰れた事だけを噛み締めながら。


王都への道を歩いていた。

ここまで読んでいただき、ありがとうございます。

続きが気になると思っていただけたら、ブックマークや評価をいただけると励みになります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ