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足りない召喚士の戦い方  作者: トリバード
異常個体:骨鳥

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123/138

123:軋む骨

本日もよろしくお願いします。

森の空気が変わった。


ジャラァァァァッ!!!


骨鳥が絶叫する。


胸を守っていた触手が暴れ狂う。


骨。

肉。

遺品。


全てが蠢く。


まるで何かへ急き立てられているように。


「なんだ……?」


カイルが思わず呟いた。


その時だった。


骨鳥の身体が、不自然に膨れ上がる。


ギチッ。


骨が軋む。


ギギギギギ――――


嫌な音だった。


翼の付け根。

そこから新たな骨格が生える。


いや、生えているのではない。


無理矢理突き破って出てきているようだ。


肉が裂け、羽根が千切れる。

黒い触手が骨と肉同士を繋ぎ止める。


本来の生物なら死んでいると思われるような状態。

そんな変形だった。


「おいおい……」


ゼインですら眉を顰めた。


「まだ変わるのかよ」


ヴァイスの魔眼が見開かれる。


興奮。

驚愕。


そして僅かな恐怖。

その全てが混ざっていた。


「過剰な魔力循環による、自壊、ですねぇ……!!」


血を吐きながら笑う。


「このままでは魔獣としての姿形を保てない!!」


魔眼が骨鳥を捉える。


「にも関わらず、意図的に繋ぎ止めているかのようだ!!」


骨鳥が再び絶叫した。


ギィィィィィィィィィッ!!


明らかに苦しんでいる。

だが止まらない。

止められない。


胸を守る為に。

生き残る為に。


異形はさらに歪んでいく。


その瞬間、翼の一部が裂けた。


そこから現れたのは腕のような物だった。

骨で出来た巨大な腕。

関節が幾重にも連なる異形の腕。


それが左右へ一本ずつ、翼から生えていた。


「はぁ!?」


シエラが叫ぶ。


「今度は腕!?」


ジャラァッ!!


骨鳥が動いた。


速い。

今までよりも明らかに速い。


「上だ!!」


レオンが叫ぶ。


だが、間に合わない。


骨の腕が振り下ろされる。


轟音。


地面が爆ぜた。


ドルガが迎え撃つ。


スレッジハンマーを振り抜き、激突。


轟ッ!!!


衝撃。


ドルガの身体が後退する。


地面へ深い溝が刻まれる。


「ッ……!!」


口元から血が流れる。


それでも踏み止まった。


だが、今までのようにはいかない。


重い。


あまりにも。


「ドルガ!!」


マークが叫ぶ。


補助術式。

強化。

防御。


一気に飛ぶ。


その瞬間、骨鳥が消えた。


「シエラさん!!」


レオンが叫ぶ。


遅い。


骨の腕が木々を薙ぎ払う。

シエラが飛び退く。


だが、完全には避け切れない。

骨の指先が肩を掠めた。


鮮血。


シエラの身体が吹き飛び、地面へ投げ出される。


「ッ……!!」


苦悶の声。


右肩だった。


唯一まともに使えていた腕。


剣が地面へ落ちる。


レオンの顔色が変わった。


まずい。


前衛が崩れる。


その瞬間。


ジャラァァッ!!


骨鳥の眼孔が向く。


レオンへ。


殺意。


明確な。


揺るがない。


捕食者の視線。


「来るぞ!!」


ゼインが叫ぶ。


レオンは妖精鳥を飛ばそうとする。


だが、魔力が暴れる。

妖精鳥が勝手に魔力を吸い上げる。

制御が追いつかない。


「くっ……!」


視界が揺れる。

骨鳥が迫る。


速い。


今までで最速。


ドルガは遠い。

シエラは倒れている。

カイルも間に合わない。


その時だった。


轟ッ!!


雷光。


ゼインだった。


身体強化。


全力。


戦斧が骨鳥へ叩き付けられる。


激突。


骨が砕ける。


触手が千切れる。


だが。


止まらない。


骨鳥はゼインを無視していた。


狙いは最初から一つ。


レオン。


黒い眼孔だけが、

真っ直ぐレオンを見ていた。


そして。


レオンも理解した。


骨鳥は本気だ。

自分を殺す為だけに、この異形へ変わった。


ジャラァァァァッ!!!


異形の腕が大きく振り上げられる。

森の空気が凍った。


その光景を見ながら、ヴァイスだけが笑っていた。


興奮と狂気を滲ませながら。


「なるほど……」


魔眼が細まる。


「そういう進化ですかァ……!!」


骨鳥の異形化は、

まだ終わっていなかった。

ここまで読んでいただき、ありがとうございます。

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