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足りない召喚士の戦い方  作者: トリバード
異常個体:骨鳥

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122/135

122:総力戦

本日もよろしくお願いします。

ヴァイスによって狙うべき場所は判明した。

問題はどうやってそこに辿り着くかだった。


骨鳥が翼を広げる。

今までとは違う。


骨と肉を繋ぐ黒い触手。

その全てが胸部へ集まり始めていた。


明らかだった。


守っている。


「当たりだな!!」


ゼインが笑う。

獰猛な笑みだった。


「狙わせてもらうぞ!!」


一瞬の溜めの後、自身の魔力による身体強化を発動した。


地面が爆ぜると共に、ゼインが途轍もない速さで飛び出した。


骨鳥も動く。

異常な速度で位置を変える。


だが、その瞬間。


ズッ......


走り出そうとしたその時、骨鳥の脚が地面に沈んだ。


泥。


マークの泥沼だった。


「今です!!」


マークが叫ぶ。


レオンは攻撃に合わせて妖精鳥を飛ばす準備に入る。


骨鳥が無理矢理飛び上がる。


だが、一瞬遅れる。


その僅かな遅れ。

ゼインには十分だった。


轟ッ!!


戦斧。

雷光。


骨鳥が慌てて翼を前へ出す。


激突。

骨が砕ける。


だが、胸までは届かない。


「チッ!!」


ゼインが舌打ちする。


受け切った骨鳥がゼインに向けて骨の槍を放とうとする、その瞬間。


横からカイルが飛び込んだ。


「こっちだよォッ!!」


槍。

突撃。


骨鳥の翼へ突き刺さる。


深くは入らない。


だが。


翼の向きが変わり、骨の槍の狙いが外れる。


カイルの一撃を受け、体勢がブレた結果、胴体に隙が出来た。


「シエラさん!!」


レオンが叫ぶと共にシエラに向けて妖精鳥を飛ばす。


シエラの踏み込む速度が上がる。


片腕。


それでも速い。

木を蹴る。

骨鳥の視界を横切る。


双剣が閃き、嘴を掠める。

傷は浅い。


だが、狙いは傷ではない。


注意を奪う事。


骨鳥の眼孔がシエラへ向く。


その隙。


ゼインが踏み込む。


轟ッ!!


二撃目。


今度こそ届く。


そう見えた。


だが、骨鳥の胸が蠢いた。


黒い触手。

肉。

骨。

遺品。


全てが集まる。


冒険者証に剣の破片、鎖や指輪。


食ってきた全て。


それらが壁のように重なった結果、

ゼインに向けて妖精鳥を飛ばすための射線が完全に塞がれた。

強化は飛ばせない。


激突。

轟音。


ゼインの戦斧がその肉壁と激突する。


だが、止まる。


胸の手前。


あと僅か。


届かない。


「ッ……!!」


ゼインの顔が歪む。


その瞬間。


骨鳥の嘴が開いた。


「……タス……ケ……」


掠れた声。

誰かの最期。


だが、今は違う。


骨鳥は笑っていた。


そんな錯覚すら覚える。


次の瞬間。


骨が露出した禍々しい翼が振り抜かれた。


「ゼイン!!」


ドルガが飛び込む。


盾。


轟音。


ガギィィィィンッ!!!


嫌な音だった。


誰もが理解した。


限界だ。


ドルガの盾へ走っていた亀裂が一斉に広がる。


砕ける。


粉々に。


長年使い続けた大盾が崩壊した。


「ドルガ!!」


カイルが叫ぶ。


だが、ドルガは下がらない。


砕けた盾を捨てる。


代わりに、背中へ手を回した。


引き抜く。


巨大な鉄塊。


スレッジハンマー。


重く、無骨。


戦場向きではない武器。


だが、ドルガには似合っていた。


骨鳥が迫る。

異形の翼。


骨の槍。

触手。


全てをまとめて振り下ろす。


ドルガは構えた。


そして。


振り抜く。


轟ッ!!!


鉄塊と骨が激突する。


衝撃波。


木々が揺れる。


骨鳥の身体が僅かに浮いた。


完全には止められない。


だが、相殺した。


ドルガの足が地面へ沈む。


血が流れる。


それでも立っている。


「盾は......壊れた......!!」


低い声。


「だが、腕は残っている......!!!」


ゼインが笑った。


「上等だ!!」


その後方。


レオンは妖精鳥を飛ばしていた。


ドルガ。


カイル。


ゼイン。


次々に支援を送る。


だが、制御が追いつかない。


魔力が吸われる。

持っていかれる。


妖精鳥が大きくなる。

赤い光が濃くなる。


「ッ……!」


視界が揺れる。


それでも止めない。

止められない。


今、全員が繋がっている。


その感覚だけは確かだった。


そして、骨鳥もまた理解していた。


このままでは危険だと。


黒い眼孔がレオンを見る。


今まで以上に、強い殺意を込めて。


ジャラァァァァッ!!!


骨鳥が絶叫する。


胸を守っていた触手が一斉に暴れ始める。


骨。

肉。

遺品。


それらが融合するように蠢く。


異形化の、さらにその先。


森の空気が変わった。


呼吸を整えていたヴァイスの魔眼が見開かれる。


血を吐きながら、それでも笑う。


「おやおや……」


興奮した声。


「これはまた、とんでも、ない......!!!」

ここまで読んでいただき、ありがとうございます。

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