表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
足りない召喚士の戦い方  作者: トリバード
異常個体:骨鳥

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
120/137

120:勝ち筋

本日もよろしくお願いします。

ジャラ……


骨鳥が翼を広げる。


木々の上。

枝から枝へ。


飛ぶというより、森へ溶け込むような移動だった。


その度に、羽へ埋め込まれた遺品同士が擦れ合い、

不快な金属音を響かせる。


だが、骨鳥は飛び込んで来ない。


一定距離を保ちながら、こちらを観察していた。


「チッ……」


ゼインが舌打ちする。

戦斧を肩へ担ぎながら、骨鳥を睨み付ける。


「分かってはいたがやりづらいな...」


ジャラ――


返事のように音が鳴る。


次の瞬間。


ヒュッ!!


木々の上から何かが飛んだ。


骨片、続けて、金属片。


折れた剣の一部。

砕けた鎧の留め具。

誰かの遺品だった物。


それらが矢のように降り注ぐ。


「来るぞ!!」


ドルガが前へ出る。


盾。

轟音。


金属片が弾け飛ぶ。


だが、飛んで来る数が多い。


「カイル!!」


ゼインが叫ぶ。


「牽制しろ!!」


「言われなくても!!」


カイルが落ちていた骨の槍を拾う。


反転。


「投げ槍も、得意なんでなァ!!」


投擲。


轟ッ!!


飛び交う骨片や金属片の隙間を縫って、骨の槍が骨鳥の翼を掠める。


骨鳥が飛び退いた。


ジャラァッ!!


金属音。


直後。


ゼインが戦斧を振るう。


飛来した金属片へ叩き付ける。


ガギィン!!


金属片が弾き返され、

逆に骨鳥へ飛んでいく。


骨鳥が首を傾ける。

回避に移る為に攻撃の手が緩まる。


十分牽制になる。


「ドルガ!!」


「分かっている」


盾が上がる。


飛来物を受ける。


叩き落とす。


受け流す。


三人だけで。


骨鳥の攻撃をなんとか凌いでいた。


そして。


ゼインが振り返る。


「マーク!!」


怒鳴る。


「レオン!!」


さらに。


「ヴァイス!!」


戦斧を構え直す。


「打つ手を考えろ!!」


轟音。


飛来した骨片を叩き落としながら。


「時間は稼いでやる!!」



後方。


レオンが息を呑む。

マークも骨鳥から視線を外さない。


ヴァイスだけは、

妙に楽しそうだった。


「さて」


魔眼が細まる。


「考察の時間ですねぇ」


レオンは骨鳥を見る。


そして、仲間を見る。


シエラ。

カイル。

ドルガ。

ゼイン。


今までの戦闘で骨鳥に攻撃を与えた面々を思い浮かべ、頭の中で繋げていく。


「……おかしい」


小さく呟く。


マークが反応した。


「何がです?」


「攻撃です」


レオンは言う。


「シエラさん、カイル、マークさんの攻撃だって当たっている」


ヴァイスが頷く。


「ええ」


「......効いていると、思いたいですがねぇ」


だが、決定打にならない。


明確に効いているとわかるのは、

翼を切り落としたゼインの一撃だけだ。


何故か。


レオンは目を閉じる。


思い返す。


骨鳥。

異形化。

再生。

切断。

翼。

黒い触手。


そして。


ゼインの一撃。


その瞬間、レオンの中で何かが繋がった。


「……違う」


マークが振り向く。


「レオンさん?」


レオンは顔を上げた。


「ゼインさんの攻撃が強いんじゃない」


静かな声だった。


だが。


確信があった。


「ゼインさんの攻撃だけが」


拳を握る。


「深い上に、異形化より速いんです」


静寂。


ヴァイスの魔眼が細まる。

マークも言葉を失う。

レオンは続けた。


「シエラさんの攻撃は速いけど浅い」

「カイルさんの攻撃は深いけど再生速度よりも遅い」


骨鳥を見る。


黒い触手。

骨と肉を無理やり繋げているかのような異形。


「全部、再生が間に合う」


ヴァイスの口元が、僅かに歪んだ。


「ほぉ?」


興味深そうだった。


レオンは続ける。


「でもゼインさんだけは違う」


「速度も、威力も、再生できる範囲を超えている」


「だから骨鳥は嫌がるし、避ける」


その瞬間、マークが息を呑んだ。


理解した。


「つまり……」


レオンが頷く。


「勝ち筋は一つです」


ジャラ……


骨鳥の金属音。


まるで。


こちらの会話を聞いているみたいだった。


レオンは真っ直ぐ前を見る。


「ゼインさんの一撃を」


そして。


静かに言い切った。


「確実に通す状況を作る」


森の空気が張り詰める。


「それも、翼を落とす程度では無く、確実に再生を断てる所に」


ヴァイスが笑った。


静かに、それでいて楽しそうに。


「なるほど、つまりは魔力の源ですか」


魔眼が細くなる。


「納得できる結論ですねぇ」


マークも頷いた。


「いえ」


小さく笑う。


「恐らく正解です」


そして、三人の視線が重なる。

次にやるべき事は決まった。


後は、どうやって骨鳥に確実に当てるか。

その方法だけだった。


ジャラァ――


まるで急かすように。


森の奥から、

再び大きな金属音が響いた。

ここまで読んでいただき、ありがとうございます。

続きが気になると思っていただけたら、ブックマークや評価をいただけると励みになります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ