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足りない召喚士の戦い方  作者: トリバード
異常個体:骨鳥

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118/135

118:認識

本日もよろしくお願いします。

ジャラァ――


今までで一番大きな金属音が、

森へ響いた。


その直後だった。


木々の上。


枝葉の隙間から、

巨大な影が姿を現す。


骨鳥。


切断された翼。


その断面からは、黒い触手が幾重にも伸びていた。

骨を繋ぎ、肉を引き寄せ、無理矢理形を作っている。

完全な再生には程遠い。


だが、それでも飛んでいる。


異常だった。


ジャラ……


翼へ埋め込まれた遺品が揺れる。


骨鳥は距離を保っている。


襲ってこない。


ただ。


じっと見ていた。


レオンを。


レオンの背筋へ、

冷たいものが走る。


あの視線。


間違いない。


見られている。

観察されている。


ゼインが小さく鼻を鳴らした。


「……なるほどな」


低い声。


戦斧を肩へ担ぐ。


シエラが眉を寄せる。


「何がよ」


ゼインは骨鳥から目を離さない。


そして、僅かに口元を歪めた。


「分かったぜ」


静かな声。


「あのクソ鳥」


戦斧の柄を握る手へ力が入る。


「レオンを殺したいらしい」


空気が変わる。


その瞬間だった。


骨鳥の首が、僅かに傾く。


まるで、その言葉へ反応したかのように。


レオンの喉が鳴った。


カイルが露骨に顔を顰める。


「全然嬉しくねぇな、それ」


マークが小さく息を吐いた。


「先程の強化ですね」


静かな声。


「あの一撃で理解されたのでしょう」


ヴァイスも頷く。


魔眼が細まる。


「恐らく」


低い声。


「骨鳥は原因を認識しています」


「原因?」


シエラが聞き返す。


ヴァイスは骨鳥を見たまま答えた。


「翼を切断したのはゼインさんですが......」


魔眼が僅かに光る。


「その結果を生み出したのは、レオン君だ」


静寂。


「つまり彼にとって」


ヴァイスが小さく笑う。


「最優先で狙うべき対象が決まったのでしょうねぇ」


レオンの胃が重くなる。


全く嬉しくない。


だが。


否定も出来ない。


あの視線は、

確かに自分へ向いていた。


ドルガが一歩前へ出た。


重い足音。


大盾が持ち上がる。


その背中が、

自然とレオンの前へ来る。


「なら話は簡単だ」


低い声。


落ち着いていた。


まるで何でもない事を言うみたいに。


「狙いが分かっているなら」


盾を構える。


森の空気が張り詰める。


「受けるのも容易い」


レオンが目を見開く。


ドルガは振り返らない。


ただ。


盾を構えたまま立っている。


ゼインが笑った。


「違ぇねぇ」


戦斧を肩から下ろす。


重い鉄塊が地面を叩く。


「だったら後は」


シエラが双剣を握り直す。


左肩はまだ動かない。


それでも構える。


マークが術式を展開する。


足元へ魔法陣。


カイルが槍を回した。


「レオン」


短い声。


「今度も頼むぜ?」


レオンは小さく息を吐いた。


そして頷く。


「はい」


もう迷わない。


敵を見るな。


仲間を見ろ。


崩れそうな場所を繋げ。


それが今の自分に出来る事だ。


ジャラ……


骨鳥が動いた。


ゆっくりと翼を広げる。


骨。

肉。

黒い触手。


そして無数の遺品。


それら全てが擦れ合い、不気味な音を奏でる。


喉が蠢く。


裂けた肉の奥。


人間へ似始めた発声器官が震える。


そして、掠れた声が漏れた。


「……ニ……ゲ……ロ……」


誰かの断末魔。

誰かの最期の願い。


だが、今の骨鳥にとっては。


ただ、こちらの動揺を誘う為の動作に過ぎない。


次の瞬間。


轟ッ!!


骨鳥が空を裂いた。


一直線。


今度は迷いなく。


レオンへ向かって。

ここまで読んでいただき、ありがとうございます。

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