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足りない召喚士の戦い方  作者: トリバード
異常個体:骨鳥

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116/135

116:反撃の狼煙

本日もよろしくお願いします。

森の奥でまた金属音が鳴る。


遠く。


だが。


確実にこちらを見ている。


誰も動かない。


先程までの激戦で、

全員が少なからず消耗していた。


その中心で、レオンは自分の掌を見つめていた。


まだ震えている。


だが、魔力切れではない。


それは分かる。


体内にはまだ魔力が残っている。


問題は別だった。


「……何だったんだ」


小さく呟く。


先程の感覚。

妖精鳥へ魔力を流した瞬間。


今までとは比較にならない量の魔力を、

一気に持っていかれたような感覚。


無理矢理太い水路を開き、

そこへ濁流を流し込んだような。


そんな感覚だった。


そして。


妖精鳥。


あれも変だった。


明らかに姿が違った。


大きく、濃く。

存在感そのものが増していた。


原因は分からない。


だが、一つだけ確かな事がある。


あの力は、

骨鳥へ通用した。


今まで押され続けていた戦況を、

初めて押し返した。


その事実だけは変わらない。


「おい」


ゼインが口を開いた。


戦斧を肩へ担いでいる。


「今のは何だ」


率直な問いだった。


全員の視線が集まる。


レオンは少しだけ考える。


そして、首を横へ振った。


「……分かりません」


正直な答えだった。


「本当に、何が起きたのか分からないんです」


ヴァイスの魔眼が細くなる。


何か言いたそうだった。


だが、レオンは続ける。


「でも」


静かな声。


「今の力が有効だった事だけは分かります」


沈黙。


森の奥で。


ジャラ……


また音が鳴る。


骨鳥はまだいる。

逃げていない。

終わっていない。


「このまま退いても」


レオンが言う。


「多分、追って来ます」


マークが頷いた。


「私もそう思います。向こうは空から追うこともできます」


ドルガも低く言う。


「こちらだけが消耗するな」


シエラが肩を押さえながら笑った。


「正直、もう追いかけっこは勘弁して欲しいんだけどね」


誰も否定しない。


レオンは一度息を吐いた。


そして、仲間達を見る。


皆、生き残ろうとしている。


だったら。


答えは一つだった。


「戦いましょう」


静かな声。


だが。


全員へ届く声だった。


「ここで」


ジャラ……


森の奥。


金属音が鳴る。


まるで、それを聞いているかのように。


「後ろを取られ続ける方が危険です」


レオンは続ける。


「このまま逃げても、向こうの有利な状況が続くだけです」


「なら」


一度だけ拳を握る。


「迎え撃った方がいい」


静寂。

数秒。


その後。


ゼインが笑った。


「はっ」


短い笑い。


「ようやく前向きな事言うようになったじゃねぇか」


戦斧を担ぎ直す。


「嫌いじゃねぇ」


シエラも肩を竦める。


「どのみち逃げられるような相手じゃなさそうだしね」


ドルガが頷く。


「異論は無い」


マークも静かに笑った。


「では迎撃準備ですね」


カイルは苦笑する。


「今更逃げる気もねぇよ」


全員の意見がまとまる。


その時だった。


「素晴らしいですねぇ!!」


ヴァイスが突然割り込んだ。


目が輝いている。

危険な輝きだった。


「先程の現象ですが、恐らく君の魔力が異常個体の魔力へ――」


「後で聞きます」


レオンが即座に言った。

ヴァイスが止まる。


珍しい事だった。


「……はい?」


「帰ってから聞きます」


レオンが真顔で言う。


「生き残ってから」


静寂。


ゼインが吹き出した。

シエラも肩を震わせている。

マークは苦笑。

ドルガは無言。

カイルは露骨に笑っていた。


数秒後。


ヴァイスが小さく咳払いする。


「……えぇ」


少し不満そうだった。


「それも、そうですねぇ」


完全に納得はしていなかった。



レオンは改めて手を前へ出す。


魔力を流す。


一羽目。


赤い妖精鳥。


現れる。


そして、レオンは目を見開いた。


大きい。

明らかに。

以前よりも。


翼を広げた姿が、一回り以上大きくなっている。


続いて二羽目、三羽目。


やはり同じだった。


光が濃く、存在感が強い。


だが、四羽目だけは変わらない。


いつも通り。


静かに宙を漂っていた。


「……やっぱり」


レオンが呟く。


何かが変わっている。


確実に。


妖精鳥との繋がりが。



ゼインが前へ出る。

ドルガが盾を構える。

マークが術式を準備する。

シエラが片腕で剣を握り直す。


カイルが槍を回した。


ヴァイスの足元から、

黒い闇が静かに広がる。


そして。


森の奥。


ジャラ……ジャラ……


金属音。


今度は隠そうともしていない。


まるで。


向こうも準備を終えたかのように。


朝の森へ。


緊張が満ちる。


第二ラウンドが、

始まろうとしていた。

ここまで読んでいただき、ありがとうございます。

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