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足りない召喚士の戦い方  作者: トリバード
異常個体:骨鳥

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115/135

115:共鳴

本日もよろしくお願いします。

ジャラ……


音が鳴る。

今度は近い。

木々の向こうで枝葉が揺れる。


だが、姿は見えない。


「来るぞ」


ゼインが戦斧を構える。


誰も返事はしない。

全員が理解していた。

骨鳥はまだ本気ではない。


こちらの消耗を待っている。


狩りだ。


獲物が弱るのを待つ、捕食者のそれだった。


ジャラ――


今度は右。


シエラが視線を向ける。


だが、違う。


「上だ!!」


ドルガが叫んだ。


次の瞬間。


骨鳥が落ちてきた。


轟音。


地面が爆ぜる。


土砂が舞う。

巨大な翼。

骨。

肉。

無数の遺品。


ジャラジャラと金属音を鳴らしながら、

異形が森へ降り立つ。


そして。


一直線。


狙いはシエラだった。


「チッ!!」


シエラが飛び退く。


一拍動きに間ができ、回避が僅かに遅れる。


骨鳥の嘴が迫る。


その瞬間。


黒い霧が噴き上がった。


ヴァイスだった。


「視界阻害」


低い声と共に闇が骨鳥の顔面を覆う。

骨鳥の動きが僅かに鈍る。


だが。


止まらない。


異常個体は闇の中を突っ切った。


「やはり無視ですか......!!」


ヴァイスが叫ぶ。


その手から黒い鎖が伸びる。


闇魔術。


魔力循環の阻害。


骨鳥の脚へ巻き付く。


骨鳥の速度が一瞬だけ落ちた。


「今です!!」


ドルガが前へ出る。


大盾。


轟音。


骨鳥の突進を無理矢理受け止める。


盾へ亀裂が走る。


ドルガの足が地面へ沈む。


だが。


止めた。


一瞬だけ。


その瞬間。


レオンは見た。


骨鳥。


異常個体。


その体内を流れる魔力。


黒い奔流。

濁流。

荒れ狂う川のような流れ。


ヴァイスの言葉が蘇る。



君の魔力は、

あれに少し似ているんですよ。



その瞬間だった。


ぞわりと、レオンの魔力が震えた。


何かが噛み合う。


骨鳥から漏れる魔力。

自分の魔力。

妖精鳥との繋がり。


その全てが。


一瞬だけ重なった。


「……え?」


赤い妖精鳥が現れる。


いつもと違う。


翼を広げた姿がいつもよりも大きい。

輪郭が濃い。

鮮明だった。


まるで。


今まで薄い糸で繋がっていたものが、

太い縄へ変わったような。


そんな感覚。


「レオン!?」


カイルが叫ぶ。


レオン自身も理解出来ない。


だが。


分かった。


今なら届く。


今なら。


もっと流せる。


もっと繋げられる。


「ゼインさん!!」


妖精鳥が飛ぶ。


鋭く、赤い光が一直線にゼインの元へ飛ぶ。


その瞬間。


ゼインの身体が沈んだ。


踏み込み。


いや、違う。


地面が砕けた。


轟音。


ゼイン自身が目を見開く。


「なっ――」


速い。


今までとは比べ物にならない。


筋力。

反応。

瞬発力。


全てが跳ね上がる。


戦斧が唸る。


雷鉄鉱が悲鳴を上げる。


そして。


ゼインが消えた。


骨鳥の眼孔が見開かれる。


間に合わない。

骨鳥が避け切れなかった。


轟ッ!!!


戦斧が振り抜かれる。


巨大な翼のその根元。


骨。

肉。

黒い触手。


全てをまとめて両断した。


無数の遺品が宙へ舞う。


指輪。

鎖。

短剣。

冒険者証。


そして。


巨大な翼そのものが、両断された。


骨鳥はもがき苦しみながら森の奥へと退いていく。


「……なんだ今のは......?」


カイルが呟く。


だが。


次の瞬間。


骨鳥が絶叫した。


ギィィィィィィィィッ!!!


裂けた断面。


そこから黒い触手が溢れ出す。


蠢き、絡み合う。

骨を引き寄せ、肉を繋ぐ。


再生?


いや、違う。


変質、異形化。

そう呼ぶに相応しい変化だった。


切断面から、

さらに歪な骨格が生え始めていた。



ヴァイスの魔眼が見開かれる。


「素晴らしい!!!」


歓喜と、狂気。

研究者の顔だった。


「やはりそうですかァ!!!」


その時だった。


レオンの視界が揺れた。


ぐらり。


膝が崩れる。


「……あ」


息が、出来ない。

魔力が、抜けていく。


身体が重い。


妖精鳥との繋がり。

無理矢理流し込んだ魔力。


反動。


今まで経験した事の無い消耗だった。


「レオン!!」


カイルが支える。


だが。


ヴァイスは見ていた。


骨鳥ではない。


レオンを。


その体内を流れる魔力。


妖精鳥との繋がり。

拡張された魔力経路。

異常個体との共鳴。


全てを。


魔眼が捉えていた。


そして。


ヴァイスが笑う。


乾いた笑いだった。


「ハ……」


小さく。


そして。


次第に大きく。


「ハハ……!!」


興奮。


紫色の魔眼が輝く。


「やはり……!!」


その視線は。


骨鳥ではない。


倒れかけているレオンだけを見ていた。


「実に興味深い……!!!」



ジャラ……


森の奥。


翼を失った骨鳥が、

初めて警戒するようにこちらを見ていた。


その視線の先には、レオンがいた。

ここまで読んでいただき、ありがとうございます。

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