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足りない召喚士の戦い方  作者: トリバード
異常個体:骨鳥

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111/135

111:異形の翼

本日もよろしくお願いします。

ジャラ――!!


頭上。


あまりにも近い金属音。


次の瞬間。


「散れッ!!」


ゼインの怒声が森へ響いた。


全員が反射的に飛ぶ。


直後。


轟音。


木々の上から、巨大な影が落下してきた。


地面が爆ぜる。


土砂。

砕けた枝。

舞い散る羽。


骨鳥だった。


骨が露出した頭部。

裂けた喉。

翼へ埋め込まれた無数の金属片。


ジャラジャラと鳴る音の正体が、

目の前にあった。


そして。


骨鳥の黒い眼孔が、こちらを見ている。


「ギッ……」


喉が軋む。


その瞬間。


ゼインが踏み込んだ。


速い。


雷鉄鉱の戦斧が、

横薙ぎに振り抜かれる。


轟ッ!!


骨鳥が飛び退く。


だが完全には避け切れない。


翼の一部が吹き飛んだ。


骨片。

黒い肉。

羽根。


それらが宙へ散る。


シエラが木々を蹴る。


「右取るわ!!」


高速移動。


双剣が、

骨鳥の脚部へ斬り込んだ。


金属を叩いたように硬い。


だが、浅く血肉を裂く。


その瞬間だった。


骨鳥の裂けた翼が、不自然に蠢く。


レオンの目が見開かれる。


「……え?」


肉が裂ける。


いや。


自分から裂けた。


羽根の奥。


露出した骨格が、軋みながら伸びていく。


「ギギィィィ!!!!」


それに合わせて苦しんでいるかのように鳴き声を上げている。


関節が増える。


裂けた肉の間から黒い触手が伸び、

骨同士を無理矢理繋ぎ止める。


本来の翼の構造を、完全に無視した変形。


まるで。


巨大な骨の腕だった。


「下がれシエラ!!」


マークの叫び。


次の瞬間。


その骨でできたものが、鞭のように振り抜かれた。


轟音。


空気が弾ける。


シエラが咄嗟に後ろへ跳ぶが、

完全には避け切れない。


双剣で受け流す。


ガギィィィッ!!


凄まじい衝撃。


シエラの身体が木へ叩き付けられた。


「ッ……!!」


ゼインの目が細まる。


「おいおい……」


低い声。


「鳥がやる動きじゃねぇぞ」


ヴァイスだけが、

異様な熱量を帯びた目をしていた。


魔眼が輝く。


「素晴らしい!!!なんという魔力の奔流!!!」


興奮した声。


「まさに“異形化”と呼ぶに相応しい!!!生物としての範囲を完全に逸脱している!!!」


狂った目だった。


カイルが怒鳴る。


「感動してる場合か!!」


その瞬間、骨鳥が消えた。


速い。


木々の間を、

異常な速度で滑空する。


ジャラジャラと、

金属音だけが移動する。


位置が掴めない。


「上だ!!」


ゼインが叫ぶ。


直後。


ヒュッ――!!


骨の槍が飛んでくる。


それも三本同時に。


ドルガが前へ出た。


大盾。


轟音。


二本を受け流す。


だが。


残り一本が、

レオンへ飛んだ。


速い。


避け切れない。


その瞬間。


「伏せろ!!」


カイルだった。


槍が振るわれる。


骨の槍を横から弾く。


軌道が逸れる。


レオンの頬を掠め、

後方の木へ突き刺さった。


「……ッ!!」


冷や汗が流れる。


カイルが舌打ちした。


「考え込むな!!今は動け!!」


その直後。


ジャラ――!!


今度は右。


ゼインが即座に反応する。


だが。


骨鳥は来ない。


フェイント。


次の瞬間。


左上。


「チッ!!」


シエラが木を蹴る。


骨鳥が、

真横から突っ込んできた。


嘴。


ではない。


伸びた骨の翼だった。


槍のように尖った先端が、

一直線にゼインを貫こうとしていた。


ドルガは間に合わない。


マークも位置が悪い。


だが。


レオンの視線が、

ゼインの足を捉える。


踏み込み。


方向。


狙われる位置。


「いけっ!!」


赤い妖精鳥が飛ぶ。


強化。


ゼインの身体が加速した。


紙一重。


骨槍が頬を掠める。


そのままゼインが踏み込む。


戦斧が唸った。


轟ッ!!


骨の翼が、途中からまとめて吹き飛ぶ。


ジャラァァッ!!


埋め込まれていた数々の物が散らばる。


だが。


止まらない。


吹き飛んだ骨が、

空中で蠢く。


黒い触手。


骨同士を繋ぎ合わせながら、

再び翼を形成していく。


レオンの呼吸が止まる。


「……再生してる」


「違いますねぇ」


ヴァイスの声。


魔眼が細まる。


「これは修復ではない」


狂気じみた笑み。


「より戦闘に適した形へ、

変質しているんですよ!!!」


その瞬間。


骨鳥の翼が、

さらに異形へ変わった。


羽根が抜け落ちる。


代わりに。


無数の骨が密集し、

巨大な斧のような形状を作り上げていく。

その形はゼインの斧に近い。


森の空気が、張り詰めた。


そして。


骨鳥が、ゆっくりと喉を鳴らす。


裂けた喉の奥から。


掠れた声が漏れた。


「……ニ、ゲ……ロ……」


その場の空気が、

凍り付いた。

ここまで読んでいただき、ありがとうございます。

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