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足りない召喚士の戦い方  作者: トリバード
異常個体:骨鳥

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110/138

110:見えない敵

本日もよろしくお願いします。

ジャラ……


すぐ近くで鳴った金属音に、

レオンの背筋が粟立つ。


近い。


さっきまでより、明らかに。


だが、見えない。


木々の隙間。

枝葉の揺れ。

朝靄。


そのどこにも、骨鳥の姿は無かった。


「動け!!」


ゼインの低い声。


一行が再び走り出す。


ドルガは、盾へ突き刺さった巨大骨を無理矢理引き抜いた。


それを少し離れたところへ投げ捨てる。


大盾には、深い亀裂が走っていた。


地面の骨を見ながらヴァイスは目を輝かせている。


「できればこの骨も持ち帰りたいんですがねぇ!!」


「無茶言ってんじゃねぇ!!」


ゼインは警戒を解かずに言い放つ。


レオンは息を呑む。


ドルガの盾。


あれは、普通の装備じゃない。


大型魔獣戦を前提とした重装盾だ。


それが、一撃でここまで。


「……マジかよ」


カイルも顔を引き攣らせていた。


その時。


ジャラ――


今度は左。

シエラが即座に方向を変える。


「こっち!」


ゼインも迷わない。

ドルガが最後尾を維持したまま移動。

マークの補助術式が展開される。


速い。

判断が。


レオンは必死に付いていく。


だが。

追いつかない。


「っ……」


一瞬。


足場へ意識を取られる。


その間にも、黒狼の牙は次の動きを終えていた。


森での大型魔獣戦。


その経験値の差が、嫌というほど分かる。


レオンは、これまで後方支援として動く事が多かった。


全体を見る。


位置を把握する。


四羽目で索敵し、

仲間へ情報を流す。


それが、

いつもの戦い方だった。


特にここ最近は、

四羽目の視覚共有を使ってから動きを決めていた。


だが。


今回は違う。


見えない。


骨鳥は速過ぎる。


木々の上や横など、

こちらからは死角になる場所を移動し、位置を変え続けている。


四羽目を展開する余裕が無い。


索敵しなければ。


そう思う。


だが。


意識を割いた瞬間、

死角から攻撃が飛んでくる。


さっきがそうだった。


あと少し反応が遅れていたら、あの骨槍は自分へ直撃していた。


「……クソ」


小さく漏れる。


自分の得意な戦い方が、完全に封じられていた。


ジャラ……


また音。


今度は右後方。


ゼインが即座に口を開く。


「来るぞ!!」


全員が散開。


直後。


ヒュッ――!!


空気を裂く音。


骨槍。


木々を貫通しながら飛来する。


ドルガが盾を構え、

シエラが木陰へ滑り込む。


マークの土壁が一瞬だけ展開。


轟音。


骨が地面へ突き刺さった。


「……速ぇ」


カイルが舌打ちする。


その横で。


レオンは、

何も出来なかった。


見えてからでは遅い。


黒狼の牙は、

音だけで動いている。


位置。

気配。

枝葉の揺れ。


そういう僅かな情報から、

攻撃を読んでいる。


だが、

レオンにはまだそこまで分からない。


その時。


「レオンさん」


低い声。


ヴァイスだった。


走りながら、こちらを見ている。


「見ようとし過ぎていますねぇ」


レオンが目を向ける。


ヴァイスは続けた。


「骨鳥の位置を、完全に把握しようとしている」


魔眼が細まる。


「ですが、今の君には無理です」


即答だった。


少しだけ、胸が痛む。


だが。


ヴァイスは淡々と続ける。


「だから見るべきは、骨鳥ではない」


「……え?」


「仲間です」


短い返答。


「黒狼の牙は、既に骨鳥への対処を始めている」


「ならば君は、骨鳥を見るより先に、仲間の動きを見るべきでしょう」


レオンは一瞬言葉を失う。


仲間の動き。


その瞬間。


ジャラ――


音。


シエラが、

僅かに視線を上へ向けた。


ゼインの足が止まる。


ドルガが盾を傾ける。


マークの術式が展開される。


その全てが、

ほぼ同時だった。


レオンの背筋へ、

電流のような感覚が走る。


「……左上ッ!!」


叫ぶ。


直後。


骨槍が木々を貫いて飛来した。


ドルガの盾が間に合う。


轟音。


火花。


だが今度は、

レオンも動けていた。


「強化飛ばします!!」


妖精鳥が飛ぶ。


赤い光。


ゼインとシエラの身体能力が跳ね上がる。


ゼインが笑った。


「ようやく付いて来たか!!」


その瞬間。


ジャラ――!!


今までで一番近い金属音が、頭上で鳴った。

ここまで読んでいただき、ありがとうございます。

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緊張感があって実に面白い!
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