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足りない召喚士の戦い方  作者: トリバード
異常個体:骨鳥

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109/135

109:追跡の音

本日もよろしくお願いします。

ジャラ……


金属音が、

再び森へ響いた。


一行の空気が張り詰める。


背後。


まだ距離はある。


だが。


確実に近付いてきていた。


「急ぐぞ」


ゼインが低く言う。


その瞬間、黒狼の牙が一斉に動いた。


速い。


シエラが先行し、

木々の隙間を滑るように進む。


ドルガは最後尾へ。


マークは移動しながら術式を展開。


ゼインは周囲警戒。


まるで最初から決まっていたかのような配置だった。


レオンが一瞬遅れる。


「……ッ」


カイルが舌打ちした。


「流石に判断早ぇな……!!」


「森での大型魔獣戦に慣れてるんですよ」


マークが短く返す。


「立ち止まる方が危険です」


ジャラ……


また音が近付く。


だが、奇妙だった。


あの巨体にも関わらず、

木々を薙ぎ倒す音が、ほとんどしない。


枝葉が微かに揺れるだけ。


まるで。


森そのものへ溶け込んでいるかのようだった。


レオンの背筋へ、

冷たいものが走る。


「……森での移動に、慣れてる」


思わず漏れた呟き。


ヴァイスが頷く。


「ええ」


魔眼が細まる。


「長期間生存型でほぼ間違いありませんねぇ。

この規模の異形化で、森林機動を維持しているのは異常です」


ジャラ……


また近付く。


姿は見えない。


だが、居る。


ずっと。


一定距離を保ちながら、追ってきている。


攻撃は無い。


それが逆に不気味だった。


ゼインが苛立ったように言う。


「……なんで仕掛けて来ねぇ」


低い声。


「昨夜みてぇに突っ込んでくりゃいいだろうが」


ヴァイスが静かに答える。


「分かりません」


珍しく即答ではなかった。


「追い詰めようとしているのか」


魔眼が、

暗い森を見つめる。


「あるいは」


一瞬、

言葉が止まる。


「……我々で遊んでいるのか」


空気が冷えた。


シエラが、

嫌そうに顔を歪める。


「冗談やめてよね」


そのまま前方を睨む。


「とにかく、今攻撃されてないなら好都合よ」


「森の入口まで一気に行きましょう」


だが、マークが首を横へ振った。


「そのまま農村方面へ抜けるのは危険です」


「骨鳥が追って来た場合、村を巻き込む可能性があります」


カイルが眉を寄せる。


「じゃあ、どうする?」


「途中で迂回します」


マークが即答した。


「農村から離れた位置で森を抜けたい」


ドルガが周囲を見回す。


「地形的には東側か」


「ええ」


マークが頷く。


「崖地帯がありますが、

飛行型相手でも多少動きを制限出来るはずです」


逃げながら、短く会話が飛ぶ。


誰も止まらない。


その間にも。


ジャラ……


ジャラ……


金属音だけが、徐々に近付いていた。


レオンは息を切らしながら、周囲へ意識を張る。


見えない。


四羽目を使うべきか。

索敵出来れば。


そう思い、意識を伸ばしかけた瞬間。


「レオン!!」


シエラの鋭い声。


反射的に顔を上げる。


遅い。


四羽目展開の意識へ集中しかけた、その一瞬。


空気を裂く音。


ヒュッ――!!


「ッ!!」


何か黒いものが、

凄まじい速度で木々の間を貫いてきた。


見えない。


速過ぎる。


レオンが反応出来なかったその瞬間。


前へ、壁のような大盾が割り込む。


ドルガだった。


轟音。


ガギィィィンッ!!!


凄まじい衝撃。


ドルガの身体が、

地面を滑る。


盾へ突き刺さっていたのは。


骨。


巨大な羽骨だった。


いや。


槍に近い形状をしており、

盾表面へ深々と食い込んでいる。


そこには亀裂が走っている。


ドルガの目が細まった。


「……重いな。長くは保たんぞ......」


低い声。


その直後。


森の奥から。


ジャラ……


金属音が、

すぐ近くで鳴った。

ここまで読んでいただき、ありがとうございます。

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