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足りない召喚士の戦い方  作者: トリバード
知識の探究

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100/135

100:派遣要請

本日もよろしくお願いします。

リスベル冒険者ギルド。


昼前。


依頼確認を終えたレオンへ、

受付嬢が少し真面目な表情で声を掛けてきた。


「レオンさん、ギルド長がお呼びです」


「……ギルド長、ですか?」


レオンが少し目を瞬かせる。


普段なら、こういった連絡は受付経由で済む事が多い。


ギルド長直々。

しかも、会議室呼び出し。


少し嫌な予感がした。


受付嬢は、小さく苦笑する。


「奥の会議室でお待ちです」


「分かりました」


レオンは軽く頭を下げ、ギルド奥へ向かった。



重い扉を開いたその瞬間。


「おう」


聞き覚えのある声。


室内には、ギルド長。


そして、カイルが居た。


「カイルさん?」


レオンが少し驚く。


カイルも片手を上げた。


「よう」


「急に呼ばれてな」


カイルは以前の戦闘で大怪我を負っていたはずだ。


「怪我の方はもう大丈夫なんですか?」


「おう、昔から身体だけは丈夫だからな。もうバッチリだ」


レオンは、

そこでようやく察する。


自分だけじゃなく、カイルまで呼ばれている、ということは。


嫌な予感が少し強くなった。


ギルド長が椅子へ深く座り直す。


「二人とも座れ」


低い声。

レオンとカイルが向かい側へ腰掛けた。


短い沈黙。


その後、

ギルド長が口を開く。


「王都から派遣要請が来ている」


レオンが僅かに目を見開く。


王都。


その単語だけで依頼の重さが分かる。


カイルが腕を組む。


「……俺ら2人ってことは...、四つ腕絡みか」


「そうだ」


ギルド長が頷く。


「グランディアで回収された、異常個体の腕。

あれが王国異常個体研究施設へ運び込まれた」


「現在、王都の研究所で解析が進められている」


レオンの表情が少し硬くなる。


自然と、あの戦いを思い出していた。


森。


血の臭い。

四本腕の異形。


そして。


人間みたいな動き。


ギルド長は続ける。


「研究所の連中が、現場情報の追加収集を希望していてな。その中で、黒狼の牙からの推薦があったらしく、お前達二人へ要請が来た」


レオンが、

少し困惑したように顔を上げる。


「……僕ですか?」


「カイルさんは分かりますけど。

あの時、一番近くで戦ってましたし」


カイルが鼻を鳴らす。


「お前もだろ」


「いや、僕は後ろでしたし……」


すると。


ギルド長が、机へ肘を置いた。


「交戦の情報も必要だが、異常個体が“何を見ていたか”を知りたいらしい」


「カイルは1番近くで接敵してる。

そんでレオンは後方から詳しく見てただろ?

報告書の内容が1番詳しかったのはお前だよ」


レオンが黙る。


カイルが横を見る。


「まぁ、確かに見てた量はお前の方が多かったな」


「……そんな大した事じゃ」


「いや、大した事だろ」


珍しく、

カイルが真顔だった。


「俺は前線で動くので精一杯だった。

でもお前は、全体見ながら動いてただろ」


短い言葉。


だが、レオンは返せなかった。


ギルド長が咳払いする。


「それと」


「王都の連中はかなり急いでるらしい」


その直後。


窓の外から、重い駆動音が聞こえた。


レオンが視線を向ける。


ギルド前。


そこには。


通常の馬車より細長い、

黒塗りの大型高速馬車が停まっていた。


車体側面には、王国の紋章。


馬も普通ではない。

魔力強化された大型軍馬。


カイルが眉を上げる。


「……随分な歓迎だな」


「ああ」


ギルド長が頷く。


「既に迎えが来てる」


「準備が出来次第、そのまま王都へ向かってもらう」


レオンは、静かに馬車を見る。


王都。

異常個体研究施設。

四つ腕。


そして、何故か、自分への派遣要請。


嫌な予感は、まだ消えない。


だが、断れる空気でもなかった。


レオンは小さく息を吐く。


「……分かりました」


カイルも立ち上がる。


「ま、行くしかねぇか」


ギルド長が頷いた。


「詳細は向こうで直接聞け。詳しい内容は俺も知らん」



レオンとカイルは、会議室を後にする。


そのまま、荷物をまとめ、ギルド正面へ。


高速馬車の扉が開く。


中には既に、王都側の護衛らしき人物の姿も見えた。


レオンは一度だけ、振り返る。


見慣れたリスベルの街並み。

自分がずっと活動していた場所。

ついこの間は、灰爪と駆け回っていた場所。

その景色を目へ焼き付けるように見た後。


静かに馬車へ乗り込んだ。


扉が閉まる。


直後。


魔力駆動音と共に、高速馬車が走り出した。


王都へ向けて。

ここまで読んでいただき、ありがとうございます。

100話目になります。

ようやく王都編に突入です。

続きが気になると思っていただけたら、ブックマークや評価をいただけると励みになります。

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