↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
豪商生まれのただの平民士官【帝国改革記】  作者: 橘秀斗
帝都・改革編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
109/116

第108話 改革への布石

 和平条約の締結から、一ヶ月が過ぎていた。


 帝都には、これまでにない、落ち着いた、しかし、確かな、新たな熱気が、漂い始めていた。


「皇帝陛下より、正式な、勅令が、発布される」


 宮廷内に、その知らせが、広まったのは、ある日の朝のことだった。


「帝国の、統治制度全般にわたる、大規模な、改革を、進める」


 その勅令の内容は、これまでの、帝国の歴史において、類を見ない、大胆なものだった。


「皇帝権力の、一定の、制限」


「議会の、権限拡大」


「軍部の、政治的な、独立性の、強化」


「軍需契約の、透明化」


「平民出身者の、登用拡大」


「戦争開始に関する、手続きの、厳格化」


 これらの項目が、次々と、正式な、改革方針として、示されていった。


「これは、本当に、陛下ご自身の、お考えなのか」


 宮廷内でも、驚きと、様々な、憶測が、入り混じっていた。


 レオンとアレクシスは、改めて、皇帝への、謁見の機会を、得ることになった。


「此度の、改革方針——すべて、陛下の、お考えに、基づくものでしょうか」アレクシスが、慎重に、尋ねた。


「私一人の、考えでは、ない」皇帝は、静かに、答えた。「お前たちとの、対話。そして、これまでの、帝国の、長い歴史を、改めて、振り返った結果だ」


「具体的には、どのように、進められるのでしょうか」レオンが、尋ねた。


「一度に、すべてを、変えることは、できない」皇帝は、慎重に、言った。「段階的に、着実に、進めていく必要がある」


 皇帝は、レオンとアレクシスに、改めて、この改革における、重要な役割を、託すことになった。


「レオン、お前には、軍需関連の、透明性の確保——これまでの、お前の経験を、帝国全体に、広げる役割を、担ってもらいたい」皇帝は、言った。「そして、アレクシス、お前には、議会制度の、拡充——貴族社会と、新たな制度との、橋渡し役を」


「光栄です」二人は、揃って、深く、頭を下げた。


 この日から、レオンとアレクシスは、これまでの、局所的な改革とは、比較にならない、帝国全体を、巻き込む、大規模な、改革作業に、取り組み始めることになった。


「まずは、軍需契約の、透明化から、始めよう」レオンは、これまでの、局での経験を、基に、新たな、制度の設計に、取りかかった。「デルモン子爵の件、グラーツ商会の件——それらで、見えてきた、問題点を、帝国全体の、制度として、反映させる」


「軍務省だけでなく、他の省庁にも、同様の改革が、必要になるだろうな」アレクシスも、慎重に、分析を進めていった。


 この、大規模な改革には、当然ながら、強い反発も、予想された。


「これまでの、既得権益を、失うことになる、貴族や、商人たちが、黙っているとは、思えない」


 ある日、ヴェルニエが、そう、懸念を示した。


「分かっています」レオンは、頷いた。「ですが、これまでの、戦いと、同じです。一つずつ、丁寧に、進めていくしかありません」


 数週間後、レオンとアレクシスは、改めて、ミハイルとコレットにも、この、新たな任務について、伝えることになった。


「帝国全体の、改革——本当に、大きな、挑戦ですね」ミハイルは、感慨深げに、言った。


「お前たちの、協力が、また、必要になる」レオンは、言った。「局での経験——それを、より大きな、舞台で、活かしてほしい」


「もちろんです」コレットも、力強く、頷いた。


 帝都での、新たな、長い戦いが、こうして、本格的に、始まろうとしていた。


 東方との、戦争という、最大の試練を、乗り越えた、今——レオンにとって、この、帝国そのものの、根本的な、改革こそが、これまでの、すべての経験の、集大成となる、新たな、挑戦だった。


 (士官学校で、正しい作戦を、考えることを、学んだ。南方戦線で、兵士を生かす、判断力を、学んだ。そして——)


 レオンは、帝都の空を、見上げながら、静かに、これまでの、自分の歩みを、振り返っていた。


 (今、俺は、組織、そして、国そのものを、変える力を、学ぼうとしている)


 皇帝から投げかけられた、あの重い問い——その答えを、具体的な、制度として、形にしていく、長い道のりが、今、始まろうとしていた。


 帝都の空に、これまでとは違う、確かな、希望に満ちた、新たな、日々が、広がり始めていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。