6話
「おい、お前!そこで何をしている!」
路渋谷さんに車から下ろされ、門の前で棒立ちしていると門の中にある建物から警備員らしき男が拳銃を向けながらこちらに歩いて来ていた。
「あ、いや……怪しい者では…、あ、!これ、リベラトルの身分証です。」
慌ててズボンのポケットから身分証を出して、警備員らしき男に見せると身分証と俺の顔を交互に見ながら、拳銃を下ろしてくれた。
「なるほど、お前さんが例の……もっとイカちいのが来るもんだと思ってたが、弱っちいな。」
初見で弱っちいって言われたのは初めてだ。一応これでも鍛えているんですけどね?そこらの一般男性よりは筋肉質だと思うんですけどね?そりゃ、あんたは俺より肩幅も腹も大きくてがたいが良いけども!初めて会った相手に弱っちいって言うか普通?悪かったな弱っちくて!
「まぁいい。お前さんは路渋谷が案内するはずだが……見当たらんな。」
「ええ、と……ここでのルールとかを説明して、"せいぜい頑張れ"って言い残してそのまま駐車場に車を停めに行っちゃいました。」
男はただでさえしかめっ面だというのに、さらに顔をしかめて言う。
「ったくよぉ、路渋谷め!ここで降ろしたって事は俺に丸投げするつもりだなぁ?」
俺の全身を頭から爪先へゆっくりと見て男は手を差し出してくる。
「荒山だ。ここの門の警備を任されている白銀ランクだ。」
「古矢です。本日からこちらに配属されることになった金ランクの古矢です。よろしくお願いします。」
この人も路渋谷さんと同じく白銀ランク。いくら重要施設とはいえ、白銀ランクを門番に使うとは……やはりここが最高戦力が集う"最前線"なのだな。
「古矢、着いてこい。今からお前を支部長んとこに連れて行く。」
「ありがとうございます」
俺は荒山さんに言われるがまま着いて行き、先程までいた正門からだだっ広い広場を通り、支部長がいる支部長室があるA棟に向かっている。
「今はもう21時だ。殆どの隊員が隊舎に戻っている。だから俺みたいな警備員しかいない。」
「確か21時には完全就寝でしたよね。」
「そうだ。」
現在A棟と呼ばれている建物は三階建てとなっている。一応防衛省時代の建物をそのまま使っているという話だが、余分な部分を取り壊したり、訓練場や研究施設の増設に伴い一部はとりこわされてしまっている。今なおそのまま残っているのは隊舎のみだ。
A棟に入ると豪華な装飾と受付。受付は時間的にもう閉じてしまっているので受付嬢は見当たらない。
「いつもはここにべっぴんさん達が座って受付してくれんだよ。」
荒山さんがフヒヒと笑いながらそう言う。旧防衛省基地の受付嬢が可愛いのはリベラトルの人間なら誰でも知っている。なにせ受付嬢のためにこの支部を目指す者もいるという程人気だ。
エレベーターに乗り込み、3のボタンを押す。この建物は建て替えてからまだそう経っていないはずだが、エレベーターはとても長かった。
エレベーターがやっと3階での点滅を止め、扉が重々しく開く。やはり内装は下と同じように豪華だ。
「おい、行くぞ」
「は、はい!」
内装を見ているうちに荒山さんは廊下の中程にある扉の前に立って扉をノックしていた。
「荒山です。古矢柳を連れてきました。」
「入れ」
「ほら行け、俺はもう戻る。」
「ありがとうございました」
「おう」
ノックをして扉を開く。
「失礼します」
「やぁ、古矢君。私が旧防衛省基地支部長の鷹宮だ。よろしく。」
女性だ。支部長が女性だ。




