両親との会話
ソファーに座って約5分。気持ちが固まった俺は、とりあえず妹に頼んで2階に上がってもらう。
「えっと、お父さん、お母さん、大事な話があるんだけど今ちょっといいですか?」
意を決して話しかけると、2人は俺の様子に何かを感じたのか真剣な目でこちらを見た。
「あー、その、実は、だいたい三ヶ月ぐらい前からネットの『君も今すぐ小説家!』っていうサイトで小説書いてるんだけど、さっき花咲文庫から書籍化のお話がきてですね…えっと、お金の話とかも絡んでくるんで一応お伝えしとこうかなーと思いましてですね」
自分でも変な口調になっているなーと思いながらも、何とか言えた。
2人は俺の話に最初は戸惑っていたが、少しずつかみしめていき、俺に証拠を見せて欲しいと言ってきた。
投稿している作品の中で、今回いち早く書籍化が決まった作品は「異界で嗤う獣たち」というタイトルで、喧嘩をして家を勢いで飛び出した主人公が、公園で不思議な穴をみつけ入ってしまう。そこは、主人公が暮らす世界の裏の世界であり、獣たちが住まう世界。ふと我に返り穴を出る。その日から主人公は重複した裏世界の住人である獣が見えるようになった。その頃、世界では表と裏の融合が着々と進んでいた。融合してしまえば獣は人間の住まう世界に来てしまう。そんなことになれば、人間は獣たちに食い尽くされてしまうだろう。主人公は世界の融合を止め、無事人々を救えるのか!?という内容だ。
これなら、両親もまだ引かないだろうと思うような硬派?な内容なので安心して見せられらるな。
「ちょっと待ってね。えーっと、はい、これが証拠ね」
自身のマイページに届いているメッセージを見せる。
「確かに届いてるね。あと、マイページにある「爵位の低い悪役令嬢、何故か国で一番人気の公爵に告白される」とか「異世界転移、自由気ままな豪遊生活~ハーレムを添えて~」とかもゆうくんの作品?」
母親の発言に俺は一瞬頭が真っ白になった。のーんっ、なにみてくれとんねん、おかーちゃん。やべぇよ、恋愛系の小説やガッチガチのファンタジー小説のタイトルも見られちゃったよ。しかもハーレム添えてなんか書いちゃってるやつ。
あー終わったー。めっちゃ引かれてる。最悪だー。
「あー、まあ、どんなタイトルであれ、書籍化の話がくるっていうことは、それだけいい作品ってことだ。そして、それを書いた裕也には小説家としての才能があると思う。それに、幾らになるかは知らんが、お金を稼ぐということは大変な事だ。この年でお金を稼ぐのは立派な事だと思う。だからまあ、その、父さんは応援するよ」
「私も応援するね」
父さん、母さん、ありがとう。でも、お願いだからハーレム添えの部分を繰り返して笑ったりしないで。恥ずかしくて死にたくなるから。




