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赤鬼アイリス

神さまが引き起こした事故によって死亡した私たちは、別の世界に転生することになった。

小さな(体格の)女の子になりたいって要望を伝えたのに、一寸法師なみに(サイズの)小さな女の子に転生させられてしまった。

次々と襲いかかって来る虫や小動物を撃退し、苦労の末に手にした打出の小槌は、呪いと引き換えに一時的に願いが叶うという、質の悪いレプリカだった。ぴえん。

せっかく助けた小梅という少女に再度降りかかる災厄をキャッチしてしまい、その渦中へ飛び込んで行くことになった。

不意打ちで倒したはずの鬼の里の長アイリスが闘争心全開で私たちの前に立ち塞がった。


絶対に転生やり直してもらうんだから!


------------------------------------------


オオオオオオオオオオオオオオォォォォォォ!


赤鬼アイリスの咆哮が響き渡る。

レオナルドは肌にビリビリとアイリスの気合を感じていた。


アイリスはレオナルドを認識して叫んだ!


「レオナルドォォォ! お前、裏切ったのかぁぁ! 今なら許してやるから、生贄つれて戻ってこい!」


「うるせぇだ! 小梅を渡すわけねぇだろ! ババァに用はねぇだよ!」


「ババァとはなんだ!クソ餓鬼が! 里で育てて貰った恩を忘れたか!」


「全員グルで騙してただけでねぇか! ババァが若作りして男を誘惑とか気持ち悪いだよ!」


「仕方ねぇだろが! 女の子産まれねぇんだから! 私が産むしかねぇだろ!」


「だからって、おいを騙していいことにはならねぇだ! おいはババァはごめんだ」


烈しい言い合いに見切りをつけて、アイリスがレオナルドを殴りにいく。

レオナルドはアイリスの拳を躱してはいけないと判断して、真っ直ぐに額で受けた。

殴るか、もしくは躱されたら頭を掴もうとしていたアイリスはアテが外れた形だ。一瞬の虚を突かれて逆に殴りにいった手を掴まれ、一本背負いに入られてしまう。


(しまった!)


レオナルドがアイリスを一本背負いで投げた。

途中から引き手を引かずに、アイリスの回転を意図的に止めて、脳天から地面に落とした。地面に突き刺さったアイリスを蹴飛ばして仰向けに傾いて倒れたところで、顔面をかかとで踏み抜いた。


レオナルドの圧勝である。


「はあぁっ!」


勝利して、レオナルドが声をあげた。


しかしすぐに、アイリスがうっすらと光に包まれて、陥没していた顔面が徐々に戻って行く。

アイリスはピクっと動いた。

アイリスは意識を取り戻して、起き上がろうとしている。


「回復魔法?!」


ユイはレイジの回復魔法とよく似ていると感じた。

術者は誰だ?アイリス自身か?

いや致命傷だった。近くに術者がいるはず

致命傷に近いところから回復させるとは、レイジ並み?

ユイはそう推察しながら、周りを見渡す。


(わからない)


しかし、これでアイリスがここに現れた理由がわかった。回復術者に治療されて駆けつけたということだ。


アイリスは立ち上がった。

先程よりも一回り大きな体になっているように見えるのは、レオナルドの錯覚ではなかった。


アイリスが右足を大きく踏込みながら振り回すような右フックをレオナルドに叩きつける。

レオナルドは両手でガードするも数メートル飛ばされた。


アイリスがニヤッと笑みを零す。

その顔を見て、ユイとレオナルドは驚愕する。


((若い!))


そう、アイリスは明らかに若返っていた。

顔も肉体も動きも老人ではなく壮年のそれだった。


先程よりも数段速く鋭いパンチを、レオナルドは先程と同じように額で受けた。

しかし結果は先程と違って、痛み分けだった。


対峙した2人はアイリスの方が余裕があるように見えた。

アイリスが仕掛ける。左ジャブ、右ストレートから、腰を回転させて右回し蹴り。

レオナルドはパンチをさがって受け、アイリスの右回し蹴りを受けながら威力を逃がすように、右にステップした。そのまま動きを止めずに反時計回りに身体を回転させて後ろ回し蹴りをアイリスの側頭部に入れた。


アイリスがふらつく。


虚空から金棒を出し右手で握って、回転蹴りの勢いを殺さずに、再びアイリスの側頭部に今度は金棒を打ち付ける。


アイリスは地面に叩きつけられるように倒れた。


倒れたアイリスはまたうっすらと光に包まれた。

レオナルドは回復中のアイリスに追撃の蹴りを加えた。

アイリスはサッカーボールのように蹴られて、飛んでいった。

その時、回復の光が途切れた。


(距離が離れたか? ということは!)


アイリスが飛んで行った方向と逆方向に回復術者がいるとユイは予測した。


(あいつか? レオナルド、もっと遠くに投げて)


レオナルドがアイリスの足を持って遠くに投げると、ユイが目をつけた鬼は慌てて、アイリスの方へ移動を開始した。


(レオナルド、あいつが回復術士だ)


「副官でねぇか」


回復術士の副官は、レオナルドに殴られる前に、アイリス回復魔法をかけた。

回復魔法は間に合ったが、自らはレオナルドのパンチを食らって倒れた。


「副官も回復術士だったか」


レオナルドが言う間に、アイリスはまた蘇った。

今度は少しスリムになって。

明らかに青年期まで若返っている。

レオナルドがよく知っている美しいアイリスである。

しかし、その強さは、レオナルドが知らないものだった。


速さ、重さ共に最高の一撃を頬に食らった。

額で受ける余裕すら無かった。


ユイにはアイリスの動きが見えているが、レオナルドがアイリスのスピードについていけない。

ユイはアイリスが仕掛けてくるタイミングでアイリスの目に刀を投げる嫌がらせをして、攻撃を鈍らせた。これでようやくレオナルドとアイリスは互角である。


ユイの視界の端に嫌なものが見えた。

先程の回復術士が、自らを回復させて戦線復帰してきた。


(これはまずい。こちらもレイジに来てもらわないと)


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