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小梅に迫る危機

神さまが引き起こした事故によって死亡した私たちは、別の世界に転生することになった。

小さな(体格の)女の子になりたいって要望を伝えたのに、一寸法師なみに(サイズの)小さな人間に転生させられてしまった。

次々と襲いかかって来る虫や小動物を撃退し、鬼も撃退し、苦労の末に手にした打出の小槌は、呪いと引き換えに一時的に願いが叶うという、質の悪いレプリカだった。ぴえん。

生贄にされた少女を救って東の領主に託したのに、彼女に迫る危機を見つけてしまった。

駆けつけるにも小さ過ぎて一苦労だ。

絶対に転生やり直してもらうんだから!


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


バーから身なりのいい2人組を拉致したアイリスは、2人を馬車に放り込んで、自分も乗った。

向い合わせに座って、話しかける。


「亡くなった北の領主の御子息のお二人ですな?」


「そ、そうだ」

「う、うむ」


2人は精一杯の虚勢を張るが、どう見てもアイリスの迫力に押されている。


「はじめまして。鬼の里の長、アイリスです」


2人も自己紹介をしたが、アイリスは聞いていなかったた。

「まずは、生贄の少女がまだ神さまのもとに届けられていないことについて、お詫びします。

それと、お父上をうちの鬼が誤って殺したとか?そちらも併せてお詫び致します」


アイリスは落ち度を詫び、2人は少し心の平静と優位取り戻した。

前領主である父親を殺したことについて、とても扱いが軽いが、死んだ方が都合が良かったのであろ?というアイリスの皮肉であり、事実そうである故に、この2人も謝罪してもらうべき事と思っていないので、アイリスを失礼とも感じていない。


問題は神さまに生贄が届いておらず、現在進行形で領地が荒れていっていることである。


「それで、お二人の情報網によると、生贄の少女は東の領主邸にいるとか?」


「お、ああ。そうだ。そこ匿われておる」


「なんでもそれを神さまに直接お知らせしたとか?」


アイリスがジロリと2人を見る。


「そうだ。お前たちが役立たずなのでな」


「私たちが役立たずかどうかは神さまがお決めになる事で、あなた方が決めることではないですね。私たちは神さまの部下であって、あなた方の部下ではない」


「「…」」


「それと、お父上から聞いているか知りませんが、神さまは、「鬼の里に生贄を届けろ」と前領主に言ったんですよ?」


「え?」


「神さまに対して言えば、届ける義務があるのは、北の領主の一族の皆さんです。動ける者がいないと頼られたので、有料でお手伝いする者を紹介したんです」


「そんなの聞いてない」


「それを詫びもせず、神さまに向かって、お前の部下は役立たずだの、東に生贄がいるから取りに行けなどという手紙を出したのですね?」


「違う」


「なにが違うんですか?」


「そんなつもりじゃない」


「どういう教育を受けて来たのか知りませんがね。ご自分の順位を高く置き過ぎですね。神さまと対等に取引を考えている時点でおかしい。死にたいんですか? いや、一族もろともに滅びたいんですか?」


「え、あ、あ?」

「…そ、そうだ。お前、金は出す。前回のように依頼する。東から生贄を回収して鬼の里へ届けてくれ。あ、いや、その前回の依頼がまだ終わってないだろう? まず、それを終わらせろよ」

「そ、そうだ。まだ終わってないだろう?」


無様に狼狽え、優位な点を見つけたら、考えもなしに上から目線で物を言い始める、節操の無いことこの上ない2人に、アイリスは本当に可愛そうなモノを見る目と、こいつらが堕ちていく姿を笑う口許が、同時に顔に現れて、収集がつかなくなった。


「何がおかしい」


「ちょっとお待ち下さい」


アイリスはそう言って、御者台にいる頭領呼んで、用事を言いつけ、自分は後続に馬車に移動してしまった。

2人の馬鹿がいる馬車には頭領が入っていった。


「長はどうした?」

「話の途中で失礼だろう」


食ってかかって来た。


「…面倒だで。殺してもいいだか?」


頭領は馭者台に残っている。副官に言った。


「ダメですよ。代わってあげますから、殺さないで下さい」


その言葉を聞いて、頭領はさっさと馭者を代わった。代わりに副官が入って行く。途端のぎゃあぎゃあと喚き出す2人。副官はため息を一つついて回答する。


「前の仕事が終わっていない件でしたっけ?」


「そうだ」


「終わってますよ」


「な?」

「馬鹿を言うな」


「二重三重に終わってますね。それとあなた方人間と鬼が対等だと思わないで頂きたい」


「…」

「依頼された仕事も満足に出来ないくせに偉そうなことを言うな!」

「そ、そうだ!」


「なんの力も無いクズとの約束をまもる必要ってあると思います? まあいいでしょう。生贄を回収するって話、そもそもどういう依頼かお話しますね」


「「…」」


「『成否は問わない。責任は全て北の領主持ち。費用も全て北の領主持ち』です」


「そんな条件があってたまるか」


「ありますよ? だって私たちだってこんな仕事は断ったんですから。ここまで条件を譲歩して来たからまあやってやるかって話で」


「そんなこと」


「聞いてないですか? 後継者に見栄を張って嘘を教えるとはアホなお父様だったんですね」


「…」


「だいたい生贄を屋敷に置き去りって、死んでたらどうするんですか? 衰弱してたら? そんなのそっちで責任持ってもらわないとね」


「…」


「そもそもその生贄どうやって選んだんですか? 一族で最も幼い者ですよ? あの子、一族の子じゃないでしょ?」


「…いや、一族だぞ」


「置き去りに出来るような子は一族じゃないですよ。生贄って言っても半分は今後逆らわない為の人質の意味ですからね?」


「う…」


「それと、まあ、これは後にしましょう。とりあえず、大人しく待っていて下さい」


2人の馬鹿が大人しくなったので、副官は馭者を頭領と交代した。

頭領は後続の馬車に移動した。


後続の馬車では打ち合わせをしていたが、頭領が戻った後、2、3の確認をして、解散。それぞれの仕事に別れることになった。


頭領は、打ち合わせをしていた後続の馬車と数人の鬼を率いて、中の領地に戻って行く。

副官はこのまま2馬鹿を乗せて東へ。

アイリスは残りの鬼を引き連れて馬で東の領地に先行するようだ。副官の馬車を追い抜いていく。


「アイリスさま、お気をつけて」


アイリスは軽く手を上げ、馬を走らせた。

そのアイリスの服に1匹の虫がくっついている。否、虫では無い。ユイである。

そしてユイの懐にいる小さな虫。こっちは打出の小槌の副作用で1ミリ以下になっているレイジだ。

レイジが聞いた打ち合わせ内容をユイに話した。


北の領主の息子どもが、神さまにアホな手紙を送った。

そのせいで神さまは激怒するだろう。

鬼は、北の領主の一族と小梅とレオナルドをまとめて、神さまに捧げて許しを乞うつもりだ。


「まずいじゃない」


「ああ、まずい」


「小梅とレオナルドは救出しよう。」


ユイはそう言い、レイジは頷いた。


「ここで鬼をヤッた方がよくない?」


「全滅はだめだぞ」


「なんでよ?」


「俺たちが駆けつけられなくなるだろ。神さまは直接、東の領主邸に来ちゃうんじゃないか? それに別動隊がいるからな。一人は残さないとな。アイリスだけ残せば?」


「アイリスは強そうだから、アイリス残したくないな。最後に残ったやつを脅そう」


「道を知ってるやつ残せよ」


「ん」


夜の闇を切り裂いて進む人馬の集団、その中から一人の鬼が落馬した。アイリスである。

落馬したアイリスは、止まった他の鬼に言った。


「私はあとから行く。お前たちは先に行け。行って生け贄とレオナルドを確保しろ」




読んでいただいてありがとうございます。

新しいお話を追加するとグッとアクセスが上がっておりまして、結構読んでもらえてるんだぁ。

とニヤニヤしとります。

次話もよろしくお願いいたします。

よければ、公開ブックマーク登録と評価をよろしくお願いいたします。

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