小梅と東の地の領主
神さまが引き起こした事故によって死亡した私たちは、別の世界に転生することになった。
小さな(体格の)女の子になりたいって要望を伝えたのに、一寸法師なみに(サイズの)小さな人間に転生させられてしまった。
次々と襲いかかって来る虫や小動物を撃退し、偶然に遭遇した鬼との死闘も制した。
それらの苦労の末に手にした打出の小槌は、呪いと引き換えに一時的に願いが叶うという、質の悪いレプリカだった。
鬼の集団との遭遇戦をなんとか乗り切って、現在街に潜伏中。
ユイたちの打出の小槌を探す冒険の旅はまだまだ始まったばかりだ。
イヤイヤイヤ、冒険したくないよ!絶対に転生やり直してもらうんだから!
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ユイたちは小梅1人で街に入らせた。
ここから街という境界線や塀は特になく、当然、門もないので門番もいない。この街は城塞都市ではないし、警戒状態でもない。
つまり戦争はやってなく、街を襲うモンスターもいないということだろう。
そういえばモンスターはいるのだろうか?
街は中心部に近づくにつれ、それなりに賑わっており、地球より文化のレベルは低そうだが、洗練された人々が多いように見える。
見たことは無いが、レイジは文明開花の頃の東京を連想した。
言語のお守りは小梅に持たせてる。
このお守りがあれば、小梅は街の人との会話で苦労することもないし、ユイやレイジと話すのも支障はない。
レイジは物価などを把握したかったので、小梅に店先を眺めながらゆっくり歩くように指示した。
少し状況を整理したいとレイジは思った。
ユイ、マサムネ、レイジは北の地の領主邸の敷地内に転生した。
運悪く一寸法師サイズに転生してしまったので、打出の小槌を探している。
現在の北の領主は、前の領主を嵌めてその地位を奪った。
奪われた方の家の最後の生き残りが小梅。
北の領主は神さまの怒りを買い、鬼が神罰という名の嫌がらせをしている。
その嫌がらせを請け負っていたのが南の地の鬼の里。頭はアイリスでレオナルドはそこの鬼の1人だった。
中の領主の仲介で、北の領主は神さまに生贄を捧げて、更に今後の貢物を倍にすることで許されることになった。
そして生贄になったのが小梅、鬼の里から生贄を回収に来たのがレオナ小さいルドだった。
それでユイたちと出逢った訳なんだけど、転生組にはちょっとわからない箇所がある。
それは、この世界と神さまや鬼達の関わり方。
今までの話だと、神さまって呼ばれてる存在は良く言って専制政治下の王様で、鬼は憲官。
悪く言うと縄張りを持ってるヤクザの親分と組員だ。
実際のところはどうなんだろう。
レオナルドに聞いてみよう。
次に気になっていることは、ユイだ。
いくら何でも勇猛すぎる。
もともと思い切りのいい性格だけど、ネズミ戦以降、躊躇というものが無いし、死を恐れていない感じがする。普通に考えれば、召喚獣のマサムネは死なないんだから、マサムネを盾にして戦えばいいと思うんだが。
ユイが起きたら聞いてみるか。
そう、それもだ。ユイはよく寝る。戦った後は特に長く寝る。何かあるんだろうか?
レイジはそんな考え事をしつつ、物価を把握していたら、小梅が役人に拘束されてしまった。
逮捕というわけではないが、保護って感じでもない。
有無を言わせない任意同行って感じである。
いざとなればレオナルドを召喚すればいいか。
ここだと目立つしな。
レイジはそう考えて、小梅に黙ってついて行くように言った。
小梅が連れて行かれたのは、領主の屋敷だった。
出てきたのは領主。
東の地の領主は小梅のことを知っていた。
なんでも小梅の曾祖父に当時の東の地の領主は助けられたらしい。どれだけ返しても返しきれない恩義が出来たという。
それ以来交流があったそうで、小梅の家が領主でなくなった後も援助をしていたそうだ。
小梅の父が亡くなってから、母親と小梅が領主邸に入ってしまったため、援助を届けることが出来ず、心配していた。
北の地があんなことになって、小梅の安否を探っていたところ、地元で見つかった。という流れだったようだ。
「自分の家だと思って休んで欲しい」
と領主は言った。
レイジは一安心した。
小梅をここの領主に託すことが出来ればそれが1番いい。
ユイも同じ意見だった。
まだ小梅には話してないが、ユイたちは次の打出の小槌の可能性がある場所がわかれば、小梅を置いて出て行くつもりだった。
レオナルドは今後も小梅を護衛したいと言い、お前は小梅の召喚獣なんだから当たり前だろう。と2人から突っ込まれ、嬉しそうだった。
後ほど小梅が領主にレオナルドを召喚して見せた。
領主は驚いたが、小梅を想う気持ちがお互いに通じたようで、レオナルドも一緒に滞在することとなった。
ユイたちは、レオナルドを使って情報収集したり、街の裏通りや街の外で、虫や小動物相手に訓練をしたりして過ごした。
鬼を倒せるようになっても、虫には相変わらず苦戦するのだ。
ユイたちにとっては、鬼の一撃も虫の一撃もどちらも致命傷になる可能性がある。となれば、動きの速い虫は鬼よりも危険な相手ということになる。
訓練の相手はとしてシビアなレベルということである。
そうして1週間ほど経った頃、レオナルドが朝帰りした。
小梅の護衛は領主の騎士と交代でしており、非番の時だったので問題ないのだが、持ってきた話が問題だった。
なんでも昨晩の相手は、他の国から流れてきた女で、西の地の更に西にある山を超えた先にある別の国から来たという。
女が前にいた国にいる鬼は、南の里の鬼とは別の集団で、レオナルドによく似ているという。
その後、西の地の更に西の国の話に的を絞って話を集めると、詳しい道のりなど情報が集まってきた。
ユイとレイジは西にあるという国に向かうことを決めた。




