20対1
神さまが引き起こした事故によって死亡した私たちは、別の世界に転生することになった。
小さな(体格の)女の子になりたいって要望を伝えたのに、一寸法師なみに(サイズの)小さな人間に転生させられてしまった。
次々と襲いかかって来る虫や小動物を撃退し、偶然に遭遇した鬼との死闘も制した。
それらの苦労の末に手にした打出の小槌は、呪いと引き換えに一時的に願いが叶うという、質の悪いレプリカだった。
そして現在鬼20匹との死闘に突入!まだまだユイ達のデンジャラスな冒険は終わらない。
イヤイヤイヤ、冒険したくないよ!絶対に転生やり直してもらうんだから!
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先に手を出してきたのは頭領の方だが、それに対してレオナルドは容赦ない連撃を打ち込んでダウンを奪い、機先を制した形。
本来ならサッサと勝負を決めたいところだが、頭領の部下達19名がそれを邪魔してくる。
鬼達は気付いていないが、実はレオナルドには助っ人がいる。レイジが強力な防御魔法をかけているし、いつでも回復出来る構えである。
最初にレオナルドを捕まえに来た副官が、逆にレオナルドに捕まって倒された。足を持たれて、武器の代わりとして振り回されて他の者にぶつけられた。
自分と同じ体重の武器を叩きつけられる側が大ダメージなのは当然だが、顔面をヒットポイントとして振り回される副官もたまったものではない。
3人ほど叩きのめした後に、2人掛りで副官ハンマーを身を挺して受け止めて支えた。
そのタイミング狙ったかのような、勢いをつけたサイドキックは、3人まとめて吹き飛ばした。
武器がわりにされた副官は戦線を離脱したが、ダウンした5人はすぐに復帰した。
未だ18対1である。
鬼達は困惑していた。
レオナルドが頭領に反抗したことも、頭領を一瞬でノックアウトしたことも、そして今戦っているレオナルドを捕まえられないことも。
正面からレオナルドに挑むと、捕まえる前に殴り飛ばされるのだ。強いというのは知っていたが、レオナルドは身内に本気になったりなどしなことがなかったので、改めて驚いている。
レオナルドの真後ろには神さまに届ける生贄の少女が乗る背負子があり、この方向からの攻撃は鬼達も躊躇していたのだが、横や斜め後ろからレオナルドを捕まえに行くと、何故か掴めないのだ。何故か手が痛くなるのだ。指だったり、手の甲だったりするが、痛くて手を引っ込めると、その間に振り返ったレオナルドに殴り飛ばされるのだ。
初見の鬼達にはわかるはずもないが、それは高速で動くユイの仕業だった。
ユイはレオナルド後方を監視し、近づいてくる者を刺し、あるいは刀や十字手裏剣を投げていた。
召喚と送還を繰り返すことで、永遠になくならない投擲武器を持っているようなものである。
十字手裏剣も受け止めずに送還するようになって、使い勝手が向上した。
本来タフな鬼達も、蓄積するダメージに1人また1人と戦線を離脱し、15対1にまで減ってしまった。
そして鬼達にとってより深刻なのは、自分達は疲弊しているのに、レオナルドはピンピンしていることである。
これもまた、鬼達には知る由もないが、ダメージは受けた端からレイジによって回復してもらっているのだ。
鬼達はついに我慢出来ずに武器を持ち出した。
それを見たレオナルドが、相手を牽制しつつ背負子を下ろした。
小梅は背負子を持って、よっこらと、少し離れた位置に移動した。
小梅には、危ない時はレオナルドを送還して再召喚するように教えてあるし、背負子を下ろす時にマサムネを召喚して小梅にくっつけている。一緒に召喚された打出の小槌は背負子に隠させた。
ユイ達は、鬼達だって小梅を傷つけるわけにはいかないから、大丈夫だろと考えたようだ。
さて、武器を持ち出したことにより、緊張感が変わった。素手同士の時のように乱戦ではなくなったのだ。
これによりユイの活動範囲が変わった。
予測のつかない体のぶつかり合いがなくなったため、不慮の事故で死ぬ確率が減った。
ユイはこのタイミングで地上に降りて、既に移動を始めていた。
武器を持った鬼達とレオナルドの間に、高い緊張感が発生している中、構えていただけの鬼が悲痛な叫びを上げて倒れた。
驚いている隣の鬼も、数十秒遅れで同じく悲痛な叫びと共に倒れる。
股間を手で押さえて不格好地面に転がっている2人の鬼。明らかに異常なことが発生してことで、鬼達に動揺が走った。
レオナルドはその隙を見逃さず、いや、そんなことはお構い無しに、近い鬼から順に倒していく。
股間を押さえて倒れる鬼と、レオナルドの重たい一発を喰らって倒れている鬼とが、着々と増産されていった。
ものの数分で立っているのはレオナルドだけとなった。
レオナルドは最初にぶっ飛ばした頭領のところに行き、頭領を引っ叩いて起こした。
無理矢理立たせて、距離を置いて対峙し、手のひらを上に向けて指を曲げて「来いよ」のジェスチャーをする。
頭領はようやく意識がハッキリして、周囲の状況を把握し、驚愕し、同時に恐怖した。
自分を含めて20対1だったのに、レオナルドにはダメージらしいダメージが無いように見える。
(こんなに強かったのか)
頭領は意を決して、レオナルドに攻撃を仕掛けに行った。
結果は、頭領の攻撃に対してカウンターを放って、その一撃のみを以って叩き伏せたレオナルド勝利だった。
ユイがレオナルドの元に来た。
「結構強いじゃない。カッコ良かったよ」
レオナルドはユイを拾い上げてお礼を言い、肩に載せた。
「助かっただよ。姉さんが後ろ守ってくれて」
ユイ返事をしないで小さい手でレオナルドの頭を叩いた。
レオナルドは小梅の元へ小走り戻って跪いた。
小梅はレオナルドに抱きついた。
「心配しました」
「すまんだて」
2人はいい主従関係になりそうだ。
「小梅、悪いんだけど、レオナルドに鬼達を縛り上げてもらえないかな」
レイジが小梅に頼むと、小梅は快諾した。
「はい。お願いします」
「はいですだ」
レオナルドはレイジに拘束の仕方を教えてもらう。
紐が少ないので、背中に回した両手の親指を結ぶやり方にしたようだ。
拘束したら3人1組で背中合わせにくっつけて6本の親指を纏めて縛った。
頭領と副官は2人で1組だった。
その2人だけ目隠しして連れてきた。
(さて、尋問を始めますか)
ユイがレオナルド囁くと、レオナルドが頭領と副官に言った。
「尋問を始めるだよ」
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