黒鬼レオナルド
神さまが引き起こした事故によって死亡した私たちは、別の世界に転生することになった。
小さな(体格の)女の子になりたいって要望を伝えたのに、一寸法師なみに(サイズの)小さな人間に転生させられてしまった。
次々と襲いかかって来る虫や小動物を撃退し、偶然に遭遇した鬼との死闘も制した。あれ?楽しんでる?
イヤイヤイヤ、絶対に転生やり直してもらうんだから!
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オイはいつもとおんなしように、夕方に起きて、広場に行っただ。
したら、頭領がお使いに行って来いって言っただ。
「北の領主の屋敷に行って生贄の娘を連れて帰ってこい」だと。
面倒だから嫌だて言ったら、殴られただ。
アイリスの前で殴られただ。
アイリスに笑われただ。
ほんにアイリスは可愛い鬼っこだなな。
白銀の髪、ピンクの肌、真っ赤な瞳、金色の角、完璧だて。
頭領がすぐに行けと何度もうるさいので、北の領主の屋敷に向かっただ。
酒ぐらい呑んだっていいだろうに、うるさい鬼だ。
里を出たはいいが、言葉の御守りを忘れて戻っただ。
頭領に見つかって、「まだ居たのか」と、また殴られただ。
アイリスはまた笑ってただ。可愛かっただ。
北の領主の屋敷は遠いだ。
中の領主が1番近い。次が東の領主、西の領主だ。
四つの方角があるの知ってるか?
オラはしってるど。
東、西、北、中だ。おまいも覚えとけ。
北の領主の屋敷は遠いから、通り道の中の領主の屋敷で休んでいくことにしただ。
ここに来ると、風呂に入らせてくれて、人間の女を抱かせてくれるだ。だから好きだ。
アイリスが1番可愛いが、頭領が邪魔してやれないからな。アイリスの欠点は親父が頭領だってことだ。
中の領主の屋敷に、北の領主がいただ。遊びに来たわけでなく、「ヒナン」で来てるんだと。
北の領主はいろいろと愚痴って来た。
おいは早く女を抱きたかったが、女の準備を待ってる間くらいならいいかと、聞いてやった。
なんでも御供物をケチって、神さまを怒らせてしまったんだと。だから、鬼が度々やって来て暴れて、畑も港もグチャグチャで困ったんだと。
やったのは多分オイの仲間だな。
でも、御供物を今までの倍にするのと、生贄に少女をやることで許してくれることになったんだて。
神さま優しくてよかっただな。
北の領主も泣いてたで。
オイに今回の御用向きは何だて聞くから、オイは北の領主の屋敷の生贄を頭領に連れて行くお使いの途中だて言うたら、早よ行ってくれとうるさく言い出したで。
オラはこの屋敷で何日か休んでいく言うて、そろそろ女を抱きたいから往ねと言うてるのに、早よ早ようるさいので一発殴ったら死んでもうた。
2日ほど女を抱いて、8人目の女がへばっただ。
したら、中の領主が「そろそろ行かないと頭領に怒られますよ」って言うから、何のことか尋ねたら、「北の領主の屋敷にお使いがおありでしょう」と教えてくれた。
アイツ頭いいだ。いっつも助けてくれる。
北の領主の息子たちがよろしくお願いしますて言うから、何のことか知らんが、任せとけって言うて、北に向かっただ。
前に中の領主が言ってたんだも、オイの体には2人の魂があるんだて。
なんおことかさっぱりわからないけども。
北へ向かう途中で夜遅くなったので、村に泊まることにしただ。
そこの長に娘っ子抱かせろ言ったら、村の長はそれは出来ねえけど、牛を焼いて御馳走するからどうだって言ってきたで、牛を丸ごと焼いてもらって、たらふく食った。
だども食ったら、やっぱりやりたくなったで、うるさい長ぶっ殺した。でも、娘っ子は居ねくなってた。
長の嫁が何卒わたしで我慢してくれ言うので、オバハンだけど我慢した。したら、スゲーのなんのって、今までで1番凄かったで。
もう一晩言うたら、「私は構いませんけど、お使いの途中じゃありませんか」て教えてくれた。コイツもいいヤツだ。帰りに寄ると約束した。
ようやく北の屋敷に着いたら、5日も過ぎてた。なんでこんなに遅くなったか反省させねばな。
反省って大事なんだぞ。知ってるか。反省しないヤツは同じ失敗を繰り返すんぞ。頭領が言ってたで。
だから失敗した悪かったヤツ反省さすんだと。
反省しろよ反省。
反省して前と変わることが成長ぞ。
成長しろよ成長。
オイはもう一つの魂に言い聞かせた。
話したこともないけどな。
縁側の奥に生贄はいた。
コイツを連れて帰ればいいんだな。
「鬼殿、こちらには何用か?」
なんか声がしただ。あたりを見渡したが誰もおらなんだ。
一体何だ?
「レイジ、もっとゆっくり話さないといけないんじゃない?」
「そ、そうか。やってみる」
「鬼殿、こちらには何用か?」
2人いるだか?
どこだ?
!
見つけた。虫みたいだな? コイツが喋ったんか
「何だ? お前ら」
聞いただが、答えてくれねえだ。
「だから、お前らは何だて?」
「えーと。私はユイ。不幸な少女だよ」
「そんなこと聞いてねぇだ。もう死ね」
頭に来たで、金棒で潰してやろうと思っただ。
だども、あんまりにも腹がたったで、覚えてないんだども、もしかして、オイが負けたみたいだ。
今まで、失神してただ。
起こされて、目を開けたら、目の前にちっさい娘っ子がこっち覗き込んでただ。
痛え。ちんこが痛えだ。
娘っ子は…いや娘って歳でもねぇか。見た目は娘っ子だが、魂は年増だ。本当に何だコイツ。
痛え、眼玉に回し蹴り入れられた。
初めての体験だ。けど痛え。
「なんか、失礼なこと考えてたでしょ」
こわ。この姉さん、怖えだ。頭領より怖えだ。
「全く、念願の初の取り調べに水差してくれちゃって」
「?」
「こっちの話。では、尋問を始めます」
なんだジンモンって?
「私の声は聞こえてる? 言葉はわかる?」
「分かるだ」
「…『聞こえておるぞ』って、どこの王族よ。なんでこの状況でそんな偉そうな言葉遣いなの?」
「あ、「言語の御守り」を「威厳ある喋り方」にしたままだった」
事情を説明した。
「要するにこの道具で異なる生物とも話ができるわけね。で、あなたの言葉を翻訳する時、相手には偉そうに聞こえるようにしてたと」
「そうだて」
「じゃあ改めて。この状況は、あなたがいきなり私たちを殺しに来たので、私たちが反撃した結果ね。つまり自業自得です」
うん。
「あちこち痛いだろうけど、治してないし、抵抗したら殺すから。因みに今、文字通りあなたの金玉握っているのでそのつもりでね。証明はしとくか。マサムネ!」
女が誰かを呼ぶと金玉に激痛が走っただ。
いやこれは激痛なんても…ん…じゃ…
「…じょうぶ? ちょっ大丈夫?」
痛みで気絶してたみたいだ。
「気づいた? ちなみに今なにしたかっていうと、片方の金玉が半分くらい切れ目が入ってるんだけどね、そこにうちの猫が爪入れてるの。で、私の合図でその爪を少し食い込ませたってわけ」
なんでそんなむごいこと思いつくだ? 悪魔かこの女?
恐ろしいだ。
あ、恐怖でなんか漏れた。
「にゃあぁぁ」
猫が股間で鳴いてる。
小便かかってるようならごめんなさい。
「あれ? 失禁しちゃった? そんなに怯えなくて大丈夫よ。ちゃんと質問に答えてくれたら、痛くしないから安心してね」
頷くしかないだ、怖っ。ほんとに怖っ。
「あなた、ここに何しに来たの?」
「生け贄の娘っ子を連れて帰りに来ただ」
女はオイのまつげを引っ張りながら言った。
「答える前に、まず、返事してみようか? できる?」
「はい! できますだ」
この姉さんには逆らったらいけん。
「あなた、ここに何しに来たの?」
「はい。オイは生け贄の娘っ子を連れて帰るために来ましただ」
「どこに連れて帰るの?」
「はい、オイたちの里です」
「連れて帰ってどうするの?」
「はい、棟梁に渡すまでがオイの仕事です」
「ふーん」
「棟梁ってなに?」
「はい、オイたち鬼の里のリーダーですだ」
女はそのあともこんな調子でいろいろ聞いてきたので全て素直に答えただ。
質問は結構たくさんあっただ。
「…つまり、ここ、北の地の領主が神さまへのお供え物をケチったので、あなたの仲間の鬼が暴れてたと」
「はい。そうですだ」
「で、お供え物を倍にする約束と生け贄で神さまは許すことにしたと」
「はい、そう聞いていますだ」
「その生け贄の回収を神さまが棟梁に依頼して、棟梁はあなたに命じたと」
「はい。多分そうですだ」
「で、途中寄り道して、北の領主を殺したり、女を抱いたりしながら、五日かけてここまで来たと」
「はい、そうですだ」
「あなたくそね。どう思う?」
「はい、くそですだ」
「話を聞く限り、神さまってのも大概ね」
「はい、そう思います」
「神さまはそんなに偉いの?」
「はい。神さまは偉いですだ」
「なんで?」
「なんでもですだ」
「あなたは私たちに横柄な態度だったね。あれは普通なの? 鬼は偉いの?」
「鬼は神さまの使いなので、神さま以外には気を使わないですだ」
神さまってのはそんなにはっきりと人類に介入しているのか? この世界では普通なんだろうか?
「ところであなた、鬼の里で、打出の小槌を見たことある」
「はい、見たことありますだ」
「頭領が持ってるの?」
「いいえ、アイリスが持ってるですだ」
「アイリス?」
「頭領の娘ですだ」
「どこかに仕舞ってあるの?」
「いつも持ってますだ」
「へー」
姉さんの顔がグッと本気になっただ。
「あなた、ここで死ぬか、私の奴隷になるか選びなさい」
「え?」
「あら、お返事とお行儀を忘れるほどびっくりしたの?」
「はい、あ、あ、あの、し、死にたくはないのですが、奴隷とは、一体、その、どんな扱いなんでしょうか?」
「説明面倒ね、死ぬよりはマシだと思うよ。もし
死んだ方がマシなくらい嫌なら死ねばいいと思うわ」
「奴隷になります。いえ、してください」
「あなた名前は?」
「はい、レオナルドです」




