第一村人発見
神さまが引き起こした事故によって死亡した私たちは、別の世界に転生することになった。
小さな(体格の)女の子になりたいって要望を伝えたのに、一寸法師なみに(サイズの)小さな人間に転生させられてしまった。
絶対に転生やり直してもらうんだから!
私たちは虫や小動物に襲われながらも、命からがらある屋敷に辿り着いた。その屋敷の奥で、倒れている一人の少女を発見した。
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初めて人間に会った。第一村人というところか。
床にうつ伏せで寝ているのでよくわからないけど、見たところ少女。
予想はしていたけど、デカいね。
いや、私たちが小さいね。
彼女の手の指と私が同じくらいだわ。
寝てる姿はまるで丘だね。
虫が大きくて人類が小さい世界の可能性も期待してたけど、私たちだけが小さいということで間違いないみたい。
人類が小さいなら、仲間になるのに障害が少なかったんだけどな。小さいのが私たちだけなら、下手をすれば全てが敵になる可能性もあるんだよね。
で、目の前の大きな少女なんだけど、具合が悪そう。
呼吸が辛そうだし、汗かいてるし、ダルそう。
体温はすごく熱い。
風邪だろうか?
レイジとわたしには、小さな女の子を助けることにした。
その時、少女は薄らと目を開けて、ぼーっとレイジを見ている様だった。目に力は無い。
レイジは気づいていない様で、少女に回復魔法をかけ続けた。
山の様にデカい少女の体が回復魔法の反応で輝いた。
少女はハッキリと目を開けた。今度は目に活力がある。
よくわかんないんだけどさ、レイコたん凄いんじゃない?こんなデカい生物を直しちゃう訳?
回復魔法の才能あるとか言ってたけど、まるで聖女だよね。
どうやら少女の感想も同じだったらしい。
元気になった少女は、尊敬に満ちた視線でレイジを見ていた。
低い地を這うような唸り声が、長い間鳴り続けた。
それが少女の感謝の言葉だとレイジが分かったのは、少女が3回目の「ありがとうございます」を言った時だった。
これでハッキリした。レイジの予測は正しかった。私たちは人間よりもはるかに小さく、そして10倍ほど時間の感覚が速い。
1秒とかからない「ありがとうございます」という言葉を、少女は10秒以上かけて言っていた。
いや、逆だ。
彼女は1秒足らずで言っているはずだ。私たちが0.1秒くらいで言えるほど速いんだと思う。
戦闘ということであれば、間違いなく有利なことなのでこれでいい。けれど、コミュニケーションとして考えた場合、10倍の時間差はしんどい。
返事を持っている間に寝てしまう。私には無理だ。
レイジは少女とコミュニケーションを図っているようなので、情報収集は任せてしまおう。
私はマサムネともう少し探索してくるよ。
まだ探索していない部屋をマサムネと廻る。
人は見つからなかったけど、ネズミには遭遇した。
ネズミは大きいし、あの噛みつき攻撃は凶悪なんだけど、動きが少し遅いので苦戦することなく撃退した。そもそもマサムネは猫だし。ネズミに遅れとっちゃ困る。
あと、蠅も多かったね。
一通り廻ってみたけど手掛かりがないので、レイジたちのところへ戻った。
二人は縁側に移動していた。ここなら月明かりで少しは光がある。
少しは話を聞き出せたみたい。
少女はユイとマサムネの姿を見ると頭を下げてお礼を言って来た。
いい子だ。
少女の名前は「小梅」。両親が死んでこの屋敷の下女として働いていたそうだ。
この屋敷はこの辺一帯の領主のもので、数日前までたくさんの人数がいたらしい。
小梅は5までしか数を知らなかったので、6以上はたくさんらしい。
そういう教育環境だったんだろうな。
何日か前から、屋敷に大人たちが詰めかけて、話し合いを行っていたが、
4日前の夜、すべての人たちが屋敷を出て行って、それきり戻らなかったらしい。
小梅はだれも連れて行ってくれなかったようで、指示を待っていたら誰もいなくなってしまったそうだ。
お腹がすいたものの、炊事ができないので、生の大根を食べて飢えをしのいでいた。
それで限界が来て、へばっていたところをレイジが助けたというわけだ。
熱もあったし、風邪だったのかもしれない。
「ほかの人たちは、自主的に出て行ったってことは...なんだろうね」
「祭り、儀式、避難...。祭りや儀式なら留守番に何人か残すだろうし、五日も帰ってこないってこともないだろうな」
「じゃあ、避難? 何からの避難?」
「水害、山崩れ、たたり、山賊、敵襲、疫病...そんなものか。どれも物騒だなぁ、おい。もし本当に避難だったら、どれかがこれからここに来るんだろ? 俺たちも逃げるか」
「避難してるんだったら、やばいよね。しかし、なんで小梅ちゃんを置いてったの?」
「...なんでって、本人が言ってたように忘れられたんだろ?」
「そんなことある? よくわかんないけどさ、彼女って奴隷みたいなもんでしょ? 財産じゃないの?」
レイジは、ちょっと驚いて、それから、
「そうか。財産かもな。忘れるわけないか。じゃあ、なんで置いてったか...。この子が災厄なのか?」
「あ、そうなるのか。さっき治した病気が疫病だったとか?」
「小梅がたたられているとか?」
「それとも…生け贄とか?」
言ってから鳥肌がたった。マサムネがピリピリしてる。
「...生け贄って、何への?」
レイジも明らかにビビってる。言いながら庭を見て警戒態勢になる。
今、庭の奥の池の方から、なにかやばそうなやつが来る。
「アレじゃない?」
レイジが縁側の内側に下がり、マサムネと私が庭に出る。
小梅にはレイジが下がるように伝えた。
聞き分けのいい子だ。部屋に下がった。
前世で助けられなかったあの子を重ねてしまったいたのかもしれないけど、瞬時に守るという決意が出来た。
私は太刀を抜いて、正眼に構える。
こんなに早く会うとはね。
私が武舞台かと思った踏み石。その踏み石を踏んだ鬼の足はつま先もかかともはみ出るほどの大きい。
鬼縁側のすぐ近くまでやってきた。ここまで近くなると見上げても顔まで見えない。
さっき少し離れた状態でシルエットは見えた。頭に角があった。
鬼だね。
身長は2メートルは超えていると思う。
見た目は闇と同化してしまいそうなほど真っ黒で筋骨隆々。黒鬼って奴。
体毛は金色。黒に金なんとも悪役な配色だ。
衣服は腰巻だけ。
「レイジ?」
どうするという意味で聞く。逃げる事もできるよ?
って意味だ。
「俺は守りたい」
「そうね。一度、差し出した手を引っ込めることはしたくないね」
「うん。俺に出来ることは少ないけど、一緒に守ってくれるか?」
「当たり前じゃん」
レイジも気持ちは同じようだ。
あんな思いはもうしたくない。
一応、あの鬼に何しに来たのか聞いとくか。
誤解ということもあるかもしれないし。
レイジよろ。
レイジは意図を察して、鬼に尋ねる。
「鬼殿、こちらには何用か?」
鬼はあたりをキョロキョロと見て、首を傾げた?
聞こえたけど、わからないというところか?」
「レイジ、もっとゆっくり話さないといけないんじゃない?」
「そ、そうか。やってみる」
レイジはさっき小梅と話してた時のように、大きくゆっくり質問し直した。
鬼は私たちを発見して認識し、言葉も理解したようだ。
「何者だ?」
鬼が尋ねてきた。
「何者って…」
転生者と言っていいのか?
その辺どうなんだ?
「答えよ。お前らは何者だ?」
「えーと。私はユイ。不幸な少女だよ」
「答える気はないのか…」
あ、ゆっくり話さないといけないんだっけ?
あ、でも鬼の言葉は普通に理解できたな。
単純に答えが気に入らなかったのか?
「どこの手の者か知らんが、死ね」
ちょっ!? 短気過ぎでしょ!
鬼は虚空から金棒を出して、そのまま振り下ろしてきた。
金棒の風圧で私たちは吹っ飛んだ。




