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屋敷発見

神さまが引き起こした事故によって死亡した私たちは、別の世界に転生することになった。

小さな(体格の)女の子になりたいって要望を伝えたはずなのに、一寸法師なみに(サイズの)小さな人間に転生させられてしまった。虫に襲われているし、スズメの糞で溺れそうになるし、ネズミに食られそうになるしで、踏んだり蹴ったりだ。

半日でおどろくほど汚れた身体を池で洗っていたら、鯉に食べられた。信じられない。

絶対に転生やり直してもらうんだから!


------------------------------------------


レイジが泣いている。

私に仕返しされて、死にかけたからだけどね。

鯉に食われるって体験は、普通しないよね。


神さまから念話で


《レイジさんをパーティーリーダーにしてください》


と言われた。

レイジがパーティーリーダーなら、検収前の私が虫を殺しても、因果不明にならないらしい。


でも、それやったら、今後問題が増えないから、私の転生のやり直ししないで放置する気でしょ?


《なかなか鋭い推理ですが、これ以上に生物を殺した実績を増やすと色々やりにくくなりますよ》


そっちか。ちょっと説得力あんなぁ。


《既に、今回のネズミと錦鯉はかなり問題になってますしね。魚類や哺乳類は虫とは違って、普通は誤って踏み潰されたりしないんで》


ああ、ごめんなさい


《じゃあ、リーダー交代して下さいね》


レイジが立ち直ったら交代しておくね。


《ユイさんはもう大丈夫なんですか?》


レイジをいじめて落ち着いたわ。


《あんまり友人になりたくない性格してますね》


あなたがそれを言う? マサムネ絡みで騙しておいてよく言うよね。


《なんのことだかわかりませんね。ではリーダーの交代よろしくお願いします。またご連絡しますね。ネズミの件と錦鯉の件の処理がありますので、これで》


はいはい。


日が暮れて、ずいぶんいろんなことがあったけれど、まだ夜は始まったばかりのような空だ。

よく考えると、転生してからまだ半日くらいしか経っていない。

レイジの仮説は正しいのかもしれない。きっと、この身体の体感時間は人間の数倍に濃縮されている。体感的にはもう数日は活動している気分だね。

と言うことは、朝まではまだまだ時間があるということかな。


さて、人里を目指して行動しようとしてたけれど、始めから屋敷の敷地内だったなんてね。なんてこった。


でも、ものは考えようだよね。

この近くに人が住んでいることが分かったんだからラッキーだね。探索しよう。


レイジとマサムネと一緒に、池のほとりを時計回りに歩く。

しばらくすると、池に流れ込んでいる水路に行き当たった。この水路を上流に辿っていけば、川があるんだろうか。


水路は飛び越えた。

体重が軽いので、ジャンプで飛べる距離が飛躍的に伸びた。楽勝だった。

レイジの計算によると私の体重は0.3グラムくらいらしい。1円玉より軽いとかすごいな。


池を半周しようかという時、天下一武闘会の武舞台みたいなものが出て来た。

広くて、平らな石。これ踏み石じゃない?


まわりを探索すると石は一定間隔で何枚も連なっていた。つまり踏み石で間違いない。

ということはこの踏み石を辿っていけば屋敷があるのかも。今は真っ暗で見えないけど。


今気づいた。灯が無いんだ。

だから屋敷の敷地内と思わなかったのか。

電気はまだ無い世界なんだろうか?

でもこんな立派な池があるんなら、篝火あっても良さそうなものだけどな。


よし、行こう!

レイジいつまでもメソメソしてんじゃないよ


踏み石を手掛かりに進むと、立派な松があって、その先に屋敷が出てきた。

手掛かりがある捜索は楽だね。


屋敷は純和風。かなり大きい。いや私たちが小さいからじゃなくて、前世の記憶と照らし合わせてみて、とても立派な作りの屋敷だと思う。

豪族とか地主の本家とか、そういう類の屋敷っぽい。


ただ、真っ暗だし、人の気配みたいなものがない。

寝静まっているのか、無人なのか。


この暗さで、私たちの大きさなら、まず捕まらないだろうと思う。不法侵入するゾ。


まずは縁側に登る。

フリークライミングの要領だ。0.3グラムだから楽にいける。しかし、垂直に壁や柱を登るとか、まるっきり虫だな、私たち。


引き戸だ。襖かな?

襖と柱の隙間を抜けていくしかない。

抜けられそうだけど、隙間にいる時に、人間が引き戸を締め直したら、プチっと潰れる。


怖いな。


なるべく隙間にいる時間が短くなるように、1人ずつサッと抜ける。

パーティーの効果だろうか?

このくらいの行動はアイコンタクトだけで難なくいける。

それに足音もほとんどしないので、隠密行動は苦労しないみたいだ。


得意になって次々と屋敷を探索して行く。

だけど、誰もいない。寝ている人もいない。


うーん?でも廃墟ってかんじじゃないんだよね。

埃も無いし。私たちが埃見逃す筈ないしね。

仕方ないもう少し探索しよう。


しばらくの間、探索を続けた。


レイジが呼んでる気がする。

どこだ?

あ、いた。

ソッチ?

来いって?

了解。


レイジに連れられて行った先は台所だった。

というか土間なんだけど。

で、ここの様子から分かるのは、炊事をしたのは結構前だろうってこと。少なくとも今日も昨日も炊事はしていないだろう。

そして最後の炊事の後、何かがあったこと。

食器は食べ終ったあと、洗われずに積み重ねて放置されている。

ご飯粒や野菜カスの乾燥具合から、数日前のものだと思う。


炊く前の生米はあった。

ご飯炊いて食べたい。


レイジと目を合わせて、意思疎通を図る。


うん、わかったよ。もう少し探索しよう。

あとでご飯炊いてよ。約束だよ?

それにしても、なんかあったね、ココ。


マサムネが止まった。

なんか聞こえなかった?


レイジも気づいたみたい。

1番最初に気づいたマサムネが先頭を歩く。

土間の横にある小さな部屋の中に入る。


食材の保管庫だろうか?

細い通路の両サイドに天井まで棚が並んでいる。


通路の1番奥になにかがいた。

それは10歳くらいの女の子だった。

酷く衰弱しているように見える。



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