↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
降伏の儀式 捧ぐ  作者: kero


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
2/12

大天使計画

大天使計画は、着々と進んでいた。

船体はほぼ完成し、乗組員たちの訓練も最終段階に入っていた。

今日も訓練用の戦闘シミュレーターを前に、私は乗組員たちを見回した。

「ヨシ、お前ら。準備はいいか?」

「いつもは私たちとアメリカ野郎で模擬戦闘をやっていたが、今日は違う」

艦橋の空気が少しだけ引き締まる。

「今回の相手は、機械知性が再現した『フィスプ』だ」

私はニヤリと笑った。

「こっちは二隻。向こうは一隻。負けるはずがない」

そこで一度、言葉を切った。

「……いや、勝つことだけを考えるな。むしろ重要なのは、アメリカ野郎といかに協調して戦えるかだ。いいな?

「了解!」

威勢のいい返事が返ってくる。

私自身も、かなり気合が入っていた。

何しろ、今まで相手にしてきたのは同系艦同士、お互いのクセや戦い方を知るためのものだったが今回は違う。

実際に木星軌道に存在する、正体不明の恒星間航行船。

しかも、機械知性が解析したデータをもとに再現した戦闘能力を持つ。

とはいえ――

二対一だ。

さすがに負けるわけがない。

そう思っていた。

……その考えが甘かったことを知るまで、そう時間はかからなかった。


藤堂が発砲許可をだす『攻撃開始撃てッ』

「敵艦、捕捉!」

「副砲、撃て!」

レーザーが走る。

艦首軸線砲

「主砲、撃て!」

続いて二十センチ・レールガンから弾体が放たれた。

さらにミサイル。

一斉攻撃。

艦首回頭180度、けつを向けろ!

凄まじい振動がして、姿勢制御ジェットの動きがわかる複数回の大きな振動と小さな振動が小刻みに有ったと思ったら、ピタッと静けさが訪れる

(スゲー最近のシュミレータ再現性凄すぎる)

艦尾固定ヨシ、敵艦追尾ヨシ、艦尾X線レーザー発射準備ヨシ

対ショック防御

主砲発射数三、自動射撃開始

どお~ん・どお~ん・どお~ん・

と一秒感覚で振動が続く。この振動は放射線強化核爆弾を推進時と同様の手順で投げ込み、推進時と同様の手順で爆発!その際に発生したX線やガンマー線を相手に照射するという、

通常の推進時と何が違うの?

使われている核の違いがあるだけだった。

またX線レーザー衛星と違いレーザー結晶が無いために効果的な遠距離攻撃が出来ず近距離における散弾?対空火器のような扱いといってよい。

最大の問題は、発射=逆噴射だということだ。


私の艦は艦尾を敵に向け最高の防御姿勢のまま敵艦に向かう。

理由は簡単、核の連続爆発に耐える構造だぜ!人類が作り上げた最高の盾だ!

問題があるとすれば、艦尾を向けている間は加速ができないくらいか。

ただこの件は、実際にはあまり問題にならなかった、フィクションと異なり戦闘中で有っても主機関が長い光の尾を引いて戦うことはない、ここは宇宙だ、一度与えられたエネルギーは衰えることなく艦を進ませる。

この艦のジレンマがこれだ、本来前に掲げたい盾と、後方に向けておきたい推進器が同じ方向を向いているのだ、艦長の性格がもろに出る艦である、数ある艦長候補から藤堂が選ばれた原因でも有る。

(正確には藤堂の特攻を辞さない勝てばよい式の思考と奥さんの(美咲)堅実な一分の隙も無く組み立てていく勝つための方程式を組んでいく思考を評価された。因みに実生活においては正反対で理詰めで相手を説き伏せる藤堂と力こそ正義とばかりに手が出る美咲、参謀と番長と渾名がつくのも当然である)


このまま砲撃戦で終わるのかと思っていたら。


「……は?」

フィスプは、まるでこちらの攻撃を最初から知っていたかのように動いた。

ミサイルが迫る。

その瞬間、船体が不自然なほど滑らかに旋回する。

近接信管すら作動せずミサイルは空しく通り過ぎた。

「もう一度だ!」

別方向からミサイルを撃ち込む。

また躱された。

「レーザー!」

今度こそ捉えた。

そう思った瞬間、フィスプの周囲に何かが散布された。

レーザーが、その何かに触れた途端――消えた。

「……なんだ、あれ?」

私が呆気に取られている間にも、フィスプは動き続ける。

こちらが進路を変えれば、それに合わせて動く。

こちらが加速すれば加速する。

回避すれば、その回避方向まで読んでいるように追随してくる。

「おいおい……」

加速度、旋回性能すら段違いだった、

そして数分後。

結局はこちらの全ての攻撃を躱して飛んできた核ミサイルが命中して……

「大天使一番艦、撃沈判定」

「大天使二番艦、撃沈判定」

シミュレーターの無情な音声が艦橋に響いた。


完敗だった。


それも、二隻とも爆沈。

私はシートから身体を起こすと、思わず叫んだ。

「なんだよ、あれ!」

誰も答えない。

「こっちのミサイルは躱すわ、レーザーは訳の分からんもんを撒いて無効にするわ……チート過ぎるだろ!」

私はシミュレーション画面を睨みつけた。

「それに、動きも変すぎる! こっちの動きに追随しすぎじゃねえか? 機械知性、ズルし過ぎだろ!」


「艦長」

「なんだよ!」

スパーン!

後頭部に衝撃が走った。

「痛ってぇ!」

振り返ると、そこには妻――副官が立っていた。

「何をブツブツ言っているの」

「いや、だってだな……」

「考えてみなさい」

妻は腕を組み、俺を真っ直ぐに見た。

「敵は、はるか彼方からこの星系まで来る力を持っているのよ」

「……」

「私たちが今使っている技術より、何世代も先を行っている可能性だってある」

「それは……そうだが」

「機械知性が再現した設定すら、まだ甘いのかもしれないわ」

「……」

ぐうの音も出ない。


妻は、そんな俺を見て少しだけ笑った。


「でも、あなたは敵の裏をかくことなら、誰にも負けないでしょう?」

「……まあな」

「だったら、文句を言ってないで考えなさい」

そして、ポンと俺の肩を叩く。

覚えておきなさい、貴方はパーフェクトと言われた私に唯一、地をつけた男なんだから、戦闘!得意でしょ。

「頑張って」

「……はい」

艦橋の何人かが、必死に笑いをこらえているのが分かった。

まったく。

艦長として部下には偉そうにしている俺だが、嫁には勝てない。


いや――


たぶん、軍の上層部はそれを知っていて、こいつを私の副官にしたのだ。

あいつら、絶対にそうだ。


訓練は、その後も繰り返された。

一度負ければ、次は別の方法を試す。

それでも負ける。

ならば、さらに別の方法を考える。

二隻の大天使は、フィスプを相手に何度も何度もシミュレーションを繰り返した。


一方、その頃。


地球でも、戦いの準備が静かに進んでいた。

ようやく量産体制が整った各種衛星を、各国は保有する打ち上げ所から衛星軌道へ、次々と投入し始めていた。

核ミサイルを搭載した無人衛星。

レーザー砲を搭載した衛星。

自爆特攻型高機動衛星

統括指令衛星

各種観測衛星

通信衛星etc.

戦闘とはかくも大量に物量が必要なのか?宇宙という戦闘とは無縁だった処女地に戦闘を可能とするシステムを一から短時間で構築することの大変さを思い知っていた

しかも、宇宙での戦闘システムという未知の経験の為に初期故障、システムの不具合が続出した、それでも連盟加盟国はやるしかなかった、もし仮に戦いに負け制宙権を取られたなら、地表に生きる者たちの、生死与奪を握られる事になる。

何があっても負けるわけにはいかないのだ!

それらが目指すのは、

フィスプが地球へ接近した場合に備えた、いわば宇宙空間の防空網だった

その数は、日を追うごとに増えていった。





そして――。


それを見ていた者たちがいた。

フィスプが異変を認識したのは、地球から新たな人工物が打ち上げられたときだった。


一機。


続いて二機。


さらに数機。


すべて地球周回軌道へ投入されていく。


「地球側、人工物の打ち上げを継続」


「兵装は?」


「現時点では不明です」


艦長はしばらく地球を見つめていた。


「我々を警戒している可能性は?」


「高いと思われます」


「ならば、刺激するな」


それが最初の判断だった。


地球には近づかない。


余計な観測もしない。


必要な資源だけを採取し、燃料が十分になったら、この星系を離れる。


それだけでいい。


フィスプは木星軌道を維持した。


そして、いつも通り燃料の製造を続けた。


---


### 第二日


地球周回軌道に、新たな衛星が追加された。


今度は明らかに軍事目的の機体だった。


「形状から高出力レーザー兵器を搭載している可能性があります」


「……」


艦長は黙って表示を見つめた。


「こちらに向けられているのか?」


「地球周回軌道上に配置されています。直接フィスプを狙った配置ではありません」


「ならば、まだ問題ない」


そう言いながらも、艦長の表情から余裕が少しずつ消えていった。


「燃料製造の進捗は?」


「予定通りです」


「ならば続けろ」


動くことはできない。


今ここを離れれば、木星から資源を採取できなくなる。


燃料製造が止まれば、恒星間航行に必要な量を確保できない。


だから、まだ動けなかった。


---


### 第五日


衛星の数はさらに増えた。


核反応を利用した兵器を搭載した機体まで確認された。


「小型飛翔体搭載衛星を確認」


艦内に沈黙が広がる。


「地球は……本気なのか?」


誰かが呟いた。


人工知性が答える。


「地球側の意図は確定できません」


艦長は地球を見つめた。


青い惑星。


その周囲に、人工物が増えていく。


「我々は何もしていない」


「探査機を二機破壊しています」


「……あれは接近してきた」


「地球側が同じ認識を持っている保証はありません」


誰も答えなかった。


フィスプは、最初から戦争を望んでいない。


だが、地球側がどう考えているかは分からない。


---


### 第十日


地球周回軌道に配置された衛星の数が、さらに増えた。


そして今度は、軌道そのものに変化が現れた。


「衛星の一部が、これまでとは異なる軌道へ移行しています」


「目的は?」


「迎撃を想定した配置と思われます」


艦長は眉を寄せた。


「我々が動いた場合に備えているのか?」


「その可能性があります」


「……」


それでも、フィスプは動かなかった。


燃料製造を続ける。


それ以外に方法はない。


「あとどれくらいだ?」


「最低でも数十ヶ月間です」


その言葉が重く響いた。


数十ヶ月間。


その間、地球は何をする?


衛星は何機増える?


核兵器は?


レーザーは?


分からない。


---


### 第二十日


地球の軍事衛星は、さらに増えた。


今度は明確に自爆攻撃を目的とした機体まで確認された。


「自爆攻撃型兵器を確認」


「……数は?」


「増加しています」


「予測は?」


「予測不能です」


艦長は深く息を吐いた。


「我々が燃料を作り終えるまで?」


「最低でも半年間」


「その間、地球側の兵器が増え続けた場合?」


人工知性は少し間を置いて答えた。


「フィスプの生存確率は低下します」


「戦えば?」


「現在確認されている兵器の性能は、フィスプを大きく下回ります」


艦長の表情が少しだけ緩む。


だが――。


「ただし、敵兵器は増加しています」


その表情が再び消えた。


「フィスプは一隻しかありません」


「……」


その一言が、何よりも重かった。



たぶん修正が入るかもです、粗筋だけで進めているので途中でどう変わるか神のみが知ります、どうか感想をお聞かせください。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。