第4話 部長
見慣れた道を少しそれたところに、『松竹梅』と書かれた看板が大きく掲げられた食堂があった。
アスカ「ただいまー、あれ?お母さんと希はまだ病院か...。」
リク「のぞみ?」
アスカ「妹!さ、上がって上がって〜。」
リク「お、お邪魔します。」
アスカ「さて、何か食べる前にリクはまず、お母さんに電話した方がいいよね?」
固定電話を指差すアスカ。
リク「あ、、もしもし。」
リク母「あーんーたー、なーにがもしもしよ!!勝手にどっか行って!!心配したんだから!!」
リク「いや、うん、ごめん。もう少ししたらすぐ帰るから、わかった、松竹梅ってとこ、うん、はい、すみません、お願いします。」
ガチャ。魂の抜けたリク。
リク「帰りたくない...。」
しゃがれた声をだした。
アスカ「洗面台そっち、とりあえず軽食できたよ。」
リク「ありがとうございます。」
アスカ•リク「いただきます。」
リク「ん!うまっ!これなんですか?」
アスカ「ただの肉じゃがだよ...。」
リク「アスカさん料理プロ級ですね。」
アスカ「ふふふ、食堂の娘だからね。」
かちゃかちゃと食器の音がなる。
アスカ「あぁーもう直球に聞くわ。リクって教室行けてないでしょ。」
リク「(ギクッ)! な、なんで、、?」
アスカ「いや、あの面談室に放課後に行く生徒って、ちょっと?問題がある生徒というかなんというか。私も呼ばれたことあるし。」
アスカ「てかリクの目ちょー死んでたし(ゲラゲラ)」
リク「(絶対笑うところじゃない)」
アスカ「だからリクにゲーム部の話したんだよ。私はあそこがみんなの息のできる場所であってほしい。」
リク「ゲーム部ってなんなんすか?部活じゃないですよね...?」
アスカ「そうだね。あれは私が教室に行けなくなったときの話...。」
私は相談室に通うようになった。元気のない私に相談室の先生はあの場所を用意してくれた。物置を片付けてゲームを置いて毎日2人で遊んだの。不登校でバレー部辞めた私のためか、いつしかそこをゲーム部なんて呼ぶようになったの。でも先生は次の年移動になった。新しい先生は私を理解してくれなかった。それでも私は部室に通った。先生との思い出の場所。私の居場所。けどゲーム部という場所を知った学校側は次々と訳あり生徒をそこに送り込むようになった。複雑だったよ...。けど私は、ここをみんなの居場所に変える決意をした。「私はここの部長になる」って。
アスカ「だから実際は部活でもなんでもないのよ。」
リク「アスカさん...。」
リク「肉じゃがめっちゃこぼしてますよ。」
アスカ「あぁあ!恥ずかし!」
アスカ「食べるの苦手なんだよ...。」
小声で呟く。リクは何かを考えていた。
リク「アスカさん。」
アスカ「ん?なに?」
リク「明日もゲーム部って空いてますか?」
アスカはパァッと明るい笑顔になった。
アスカ「もちもちのろんだよ!!」
リク「いや俺、その、入部?っていうの興味があるというか何というか...。」
アスカは微笑んだ。
アスカ「まぁ実際に入部って概念があるわけじゃないから。好きなときに来ていいからね。けど、、、、」
アスカ「リクが私の後輩になってくれたら嬉しいな。」
リク「...考えときます。」
アスカ「ふふふ。」
リクは迎えの車を待っている。それらしき車が来た。
アスカ「じゃあね!リク!」
リクは振り返ってこう言った。
「前向きに検討しますからね。アスカ先輩。」
車の中。
リク「お母さん、俺ゲーム部に通いたい。」
リク母「あら、意外と先生の話聞いてたのね。」リク「え?」
リク母「ほら今日の面談のとき言ってたじゃない。ゲーム部って場所に登校するのはいかがですかって。リクがそう言ってくれて嬉しいわ。」
リク「......マジか。」




