レベルアップで高性能、はあるある
「竜の翼」の人たちやマルセイユさんと草原で別れてしばらく。
ルネアと私は草原でクエストをしていた。初めてのクエストは薬草採取はあるあるだ。ベターすぎて感動。
「竜の翼」の人たちと一緒にいた時はフードを取っていたが、目深に付けている。自分の見た目に自信がないのかもしれない。中性的な美形で自分好みなだけにちょっと残念。
私は私でちょっと空を飛びたいのでここで離脱。受付のお姉さん曰く、「危険な魔物がいないのでクエストに集中できますよ!」なので久々に(文字通りの意味で)羽を伸ばすことにした。
主人であるルネアを置いていくことになるのでそのお詫びとしてクエストの薬草も探すつもりである。
ルネアの頭上を飛び回りながら森の方へ飛んでいくことにした。
草原のちょっと端に森ある森はすっごい穏やか。
大森林特有のさっきが全然ない、と思ったら目の前にホーン・ラビが出てきた。目が合う。
「殺るか?? 殺んのか??」と思いながら睨んでいたらそのまま背を向けて逃げてしまった。
おっかしいな……。大森林にいたホーン・ラビは目が合った瞬間「ぶっ殺す!!」な勢いで襲い掛かってきた。その割に瞬殺できるぐらいには弱いから、旅の食料として狩りまくっていた。
あまりにも拍子抜けしたので追っかけることにした。
木々をすり抜けて飛べばホーン・ラビは地面の巣穴にもぐりこんでしまった。
穴に体を突っ込んでお邪魔します。ちょっと狭い。
ホーン・ラビは穴の中でかわいそうなほどにプルプルしている。ごめんて。
まじまじと眺める。
うーん……。見たところだいぶかわいい見た目。
あれかな。ペットのウサギと野生のウサギくらい差がある。
もふもふでちっちゃい角。これはかわいい。
ずっと震えるだけで攻撃してこようとはしてこない。体を後退させて穴から出る。
飛んで丈夫な木に捕まる。
ライトディアの時もそうだったが、大森林と大森林以外の魔獣は自分の知ってるものと違いすぎる。
やっぱりあそこは魔境なんだね。どうりで王国の屈強な兵士さんがバッタバタ死ぬわけよ。
ライトディアを捕まえた時、「竜の翼」の人たちは驚いていたから、あのサイズで手ごわい部類なのだろう。私からしてみればやたら足の速い小鹿を狙ったようなものだが。
大森林以外の魔獣にこの世界の人たちがどれだけ対処できるかは知らないが、少なくとも大森林の魔獣>>>>>大森林以外の魔獣>>>人間の可能性が見えてきた。
よくよく考えたら、大森林から来たであろうキング・カープを雷魔法一撃でぶちのめしたルネアはマジで規格外なのでは???
初めて会ったときに鑑定をしただけでそれっきりだ。もう一度見てみる必要がある。
というか、鑑定もステータスもなんかいい感じになってるのでは?!
曲りなりとはいえキング・カープを倒したし。
いざチェック! 開け! 「ステータス」!
【お知らせ】
レベルアップで鑑定・ステータスの性能が上がりました
マジで性能が上がった……。
はよ画面見せてくれ!
【ステータス】
【名前】:ノレイア
【年齢】:6歳
【種族】:ハルピュイア(ユニーク個体)
【レベル】:45
【体力】:600
【攻撃力】:300
【防御力】:250
【魔力】:200
【スキル】
:鑑定
:ステータス表示
:神話の獣
:アイテムボックス
【称号】
:神話の獣
:ダークエルフのペット
めっちゃ見やすくなってる!! 感動!!
称号のところに「ダークエルフのペット」が追加されてる。ルネアのペットになったからかな。変な感じ。変態みたいだ。ハルピュイアでよかった。
以前はこざっぱりしてそっけなかった情報量が今ではこんなに! 泣きそうだわ。
……。感動してないで薬草を集めないと。もしかしたら薬草が見つからなくて困ってるかもしれない。
確か依頼の薬草はコリスの花とヨルモの若葉のはず。どんなのかはよくわからないが、とりあえず目に付いたお花に「鑑定」!
【キキの花】
痛み止めになる薬草。根に毒がある
はずれ。
痛み止めの薬草なら何か役に立つのかもしれない。とりあえず翼のかぎ爪で採取。
次々行くか。
キキの花をその場においてまた別の花を鑑定する。行ったり来たりして往復すれば、依頼の薬草とそうでない薬草が混ざった山ができた。
とりあえずこれぐらいあればいいだろう。ちょっと休憩。
さっきお邪魔したホーン・ラビの巣穴にもう一度近寄る。ホーン・ラビはまだ巣穴で震えていた。ほんとにごめん。「鑑定」!
【ホーン・ラビ】
小さい角を持つウサギ型の魔物。臆病で逃げ足が速い
肉と毛皮はそれなりの値段で売れる
大森林のホーン・ラビと全然違うね。「臆病」なんて言葉はなかった。
やっぱり大森林は魔境。これは確定。
よく生き残れたな自分。てかハルピュイア自体こんな魔境を根城にするとかイカれてる。だからド畜生行為をしても絶滅しないのだろうけど。
とりあえず大森林に帰る予定はまだないし、強くてダメなことはないからこれからも強くなれるように戦闘は積極的にするべきだろう。
今後の方針を心に誓ってると、笛の音がした。恐らくマルセイユさんからもらった笛をルネアが吹いたのだろう。薬草の山を足で抱えて飛び始めた。
・・・・・
呼ばれるままにルネアのすでに止まり、そのまま肩に乗っかる。鋭い爪を立てないように気を付けながらバランスをとる。
ハルピュイアは鳥の魔物だから鶏みたいに頭がぶれないのだ。
見た目からは人間の顔があるだけの魔物だけど、やっぱり実態は獣に近い。自分はやっぱり魔獣だな。
ルネアは私を肩にのっけたまま地面に座って薬草を分類し始めた。どうやらルネアの方でも薬草を大量に採取したらしい。
ルネアはホクホク顔である。ルネアが嬉しそうで私もうれしい。
ルネアの鑑定、してみたいな……。「鑑定」!
【ステータス】
【名前】:ルネア
【年齢】:14歳
【種族】:ダークエルフ
【レベル】:13
【体力】:38
【攻撃力】:60
【防御力】:47
【魔力】:500
【スキル】
:アイテムボックス
【適性】
:魔法使い
四種属性・派生属性魔法・闇魔法・光魔法・無属性魔法・古代魔法
:剣士
:弓使い
【称号】
:ハルピュイアの主人
<情報>
チェザニル帝国の元奴隷
……。……。……んん??
おっかしいな。なんか魔力の数値だけ壊れてない???
魔力以外の数値は軒並み二桁なのに魔力だけ三桁。
イカれてやがる。しかもレベル13??
レベル13で三桁の魔力はどう考えてもおかしい。私でもわかる。
そして変わらずな量の適性。
マジでなんで帝国の奴隷やってたの???
これだけ強いならいくらでも逃げられたんじゃ……。いやいやいや。逃げられない事情があったのかもしれない。少なくとも考えるところはそこじゃない。
この鑑定とステータス表示のスキルを使ってほかの人がルネアを見たらかなりやばいんじゃ……。
絶対守るわ。モンペになるわ。しかも14歳。これから美青年になる歳。エルフだから寿命はよくわからんが、少なくとも成人までは守る!! 絶対に!!!
・・・・・
薬草の仕分けが終わったルネアは街に戻る。
ギルドカードを見せればすんなりと街に入れた。
冒険者ギルドでルネアが依頼達成の手続きをしている間、ロビーにある本棚を眺める。
ここで本を盗んだような…? 一冊分の空きスペースがある。ギルドは内装がみんな似てるからよく覚えてないんだよなぁ。
「鑑定」すればわかるかも?
周りに人がいないか確認して…。「鑑定」!
【該当品】
ヨハネスの魔物図鑑・第六巻
なんでもわかるなコレ。便利だ。
アイテムボックスから鑑定で出た図鑑を戻しておく。
かぎ爪で表紙に傷ついているがまぁ……、大丈夫でしょ。多分。
こっそり戻して自己満に浸っていると、ちょうどルネアが報酬を受け取ったようだ。
心なしか嬉しそうである。
奴隷だとお金なんてなくて当然だったのだろう。
是非とも大切に使って欲しい。
ルネアに呼ばれてギルドを後にする。
今日の宿を教えてもらったらしい。
夕焼けの街道をのんびり歩く。
ルネアの横顔がなんだか可愛くてそのまま頭を擦り付けた。
・ノレイアのレベル
コレでもだいぶ雑魚の部類だからやっぱり大森林は魔境。レベルが3桁になってからが本番。
キング・カープを倒してレベルが5上がりシステムがアップデートされた。
・ルネアのステータス
魔力バカ。ダークエルフは母親の胎内にいた時に魔力の異常によって肌の色が変わったりステータスに変動が起こる。が、あくまで数値は誤差や個人差程度、せいぜい見た目が変わるぐらいなので、ルネアのこの数字はマジでヤバい。




