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初仕事は薬草採取、はあるある

お久しぶりです…。


ビトリック王国…もといハルバスに入った私たちは、冒険者ギルドに向けて歩みを進めていた。

この町は屋台の文化が盛んであるようで、食べ物は当然のこと、ハンドメイド作品を売る店が多かった。

それに合わせて呼び込みや値切りの交渉、クレームをつける声など様々な声が聞こえた。まさに繫華街。


ルネアは相変わらず荷台で顔色を悪くしている。いっそのこと吐いてしまった方がいいのでは?と思わずにはいられないほどにグロッキーだ。


この町はこの領主の屋敷を拠点にして方々に広がるような形になっている。冒険者ギルド、商人ギルド、役職などの主要機関はこの屋敷に並ぶように建てられており、領主がこの町の発展に力を入れていることがうかがい知れた。

いま私たちが冒険者ギルドに向かうためにおるいている通りは十字に広がる大通りの中でも領主の屋敷の正面に位置する、つまりはこの町の顔ともいえる通りというわけだ。

「毎日がお祭り騒ぎのような賑やかさだ」と「竜の翼」の人たちが口をそろえていた。

装備をそろえるにしても、貿易拠点であるこの町では貴重な素材が格安で手に入ることもあるので拠点にする冒険所も多いそうだ。


ルネアは西の方に行って魔法を極めたいと考えているようだから、この町はあまり長居しないかもなぁと思っていたら冒険者ギルドについたようだ。



・・・・・



「じゃあ、俺らは依頼達成のための手続きしてるから、ルネアも登録手続きしておけよ!」

「あ、ありがとうございます…」



顔色の悪いルネアはフラフラと窓口の方へ足を向ける。

私はその後ろをチョコチョコとついていく。旅立つ前は襲撃(という名の害悪行為)の度に冒険者ギルドにダイナミックお邪魔しますをかましていたし、時間に限りがあったから図鑑を持ち去るくらいのことしかできなかった。ちなみにその図鑑は借りパくをしたままなので、機会があったらちゃんと戻したい…と考えてはいる。機会があったらね!!


入り口付近でお酒を飲んだりご飯を食べている人たちはいかにも戦い慣れしていて、線の細いルネアは明らかな場違い感がある。

絡まれたら騒ぐから安心してほしい。


意味のない決意を心に誓ったところでルネアは窓口についたようだ。

褐色の肌で顔色が分かりにくいものの、明らかな体調不良にギルドのお姉さんがギョッとした。



「大丈夫ですか? 休みます?」

「いえ、平気、です…。しばらくしたら…ハァ…なれると思うので…」

「街に来たエルフにはよくあることですよ。気にしないでください」



優しく微笑むお姉さんが心に染み渡る。

ルネアに合わせてゆっくりと手続きをしていく。



「これで冒険者登録は完了です! 冒険者デビューおめでとうございます! 詳しいことは口頭で説明した通りですが、ルネアさんは文字が読めるようですので紙も渡しておきますね!」

「どうも……」



無事に冒険者となったルネア。やっぱり規則はあるらしい。


・冒険者のランクは下から、「G級」「F級」「E級」「D級」「C級」「B級」「A級」「S級」「SS級」「SSS級」。その例外的な立ち位置に「仮登録」がある

・任務を請け負い、そのポイントを貯めることによる昇級、C級以上への昇級は試験が必要

・どんな人物であろうと最初は必ずG級から始まる

・自分の階級の一個上の階級の任務まで請け負うことが可能


この場合はルネアはF級の任務まで受けられる、ということだ。


・冒険者同士での殺傷は御法度。発覚次第資格剥奪

・何をしてもいいが、全て自己責任!


色々書いてあるが要するに「ポイントを貯めて昇格」「喧嘩すんな」「自己責任だからよろしく」、といことだろう。

変に規則で縛るくらいなら自分達のコミュニティで規則を作ってもらった方がいい、と言うことだろう。緩くていいね。



「一番最初の任務は、草原での薬草採取がおすすめですよ!」



そういって受付のお姉さんが持ってきてくれた紙には「薬草採取の依頼」となっていた。お姉さん曰く「子供でもできる簡単なクエストかつ、冒険者としての身の振り方を考えるのにも最適です!」とのこと。

ルネアの体調も考えたらいきなり討伐!はまず無理。これから始めよう。ルネアもそうするようだ。


場所は街から出たところにある草原。

魔物は出るものの、ホーンラビやスライム程度の雑魚しか出ない。

草原街道程ではないにしろ、広大な草原なだけに薬草採取はかなり体力と時間を使うので、しょっちゅう依頼が来るそうだ。

草原でゆっくり過ごして体調を回復して欲しい。



・・・・・



「じゃあなルネア」

「皆さんもありがとうございました」

「体が大切なんだから無茶だけはするなよ」


ルネアが冒険者としてこの街で(ある程度とはいえ)過ごすことになる、ということは「竜の翼」の人たちやマルセイユさんと別れを告げるということだ。

街道で出会った身分不詳かつ希少なダークエルフを、ここまでトラブルなく連れてこられたのは奇跡に等しい。

冒険者は一期一会の職業だけど、生きていればそのうち会えるよ、そう思いながらルネアに頭を押し付けた。



「街道であったのも何かの縁です。ささやかですが選別です」



マルセイユさんは懐からナイフと小さな笛を取り出した。サバイバルナイフぐらいの大きさで使い勝手が良さそうだ。



「ルネアさんのナイフはかなり傷ついていましたのでよろしければ。後これは魔物にしか聞こえないといわれる笛です」

「いいんですか? 品物では?」

「いえいえ。私も希少な存在を目にすることができて光栄です。ハルピュイアも間近で見ると綺麗ですねぇ…。大切にしてあげてください」

「もちろんです。それに僕も皆んなが優しい人で嬉しいです」



選別を受け取ったルネアは嬉しそうだ。

草原近辺まで一緒に行き、そこで別れた。彼らはさらに西へ行くそうだ。

手を振って見送るルネアは年相応の少年の顔をしていた。その表情を見れてちょっと嬉しい。



・・・・・



小さくなるまで眺めた後、ルネアは草原の中へ歩き始めた。

草原の中心部ぐらいのところでルネアは依頼の紙を取り出す。私もそれを除く。


『薬草採取の依頼』

・ヨルモの若葉 ×30枚

・コリスの花  ×5本1組を4つ


葉っぱを30枚と花を20本か。あらかじめ図鑑で見ていたから空を飛ぶついでで探そう。鑑定スキルもあるし。



「よし。探そうか。ノレイアは…あぁ空飛びたいのか。笛を鳴らしたら戻ってくるんだよ」



合点了解!

私は空を飛んで羽を伸ばす。草を探すついでに手頃な獲物がいないか見渡し始めた。






・ギルドのランク

本編で書いた通り。討伐の依頼は基本的にD級からになるが、魔石や肉目当てで魔物を狩ることもできる。当然自己責任。


・仮登録

階級とその階級を持つ冒険者の人数は図にするとピラミッド型になる。が、仮登録の冒険者はそのピラミッドから外れた存在。ギルドの支社がないところで行われる。SSS級は指折りで数えられるほどだが、一番下はいろんな人がいる。ちょっとした小遣い稼ぎで登録し薬草採取だけをする子供や、家業としている魔物の狩猟のために登録してる人もいる。

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