腐っても勇者と賢者
アスラの住まう魔界領土から大きく離れた北にシルベア帝国が存在する。
住まうのは人、人の文化は発展しかなりの勢力を手に入れていた。
魔力を保有する人間もこの世界に置いては珍しくなく、それぞれが固有のスキルなどを生かし国で生計を立てる。
国中では魔王とヴァンパイアクイーンの間に子供が生まれたと言う話で持ち切りであった。
冒険者ギルド、アイムヘイルムにももちろんその情報は広まっており冒険者たちは魔王の子ひいては未知数となる最強種の誕生に討伐の準備を整えていた。
帝国には皇帝に使える一人の勇者が居る。
名はファル・ルイアスフィル
ファルは今まで数々の魔物討伐を成功させてきた
ただ魔王とはお互い全力であっても互角、それは何十年も続いている。
むしろおかしな話では有るがメギとは親友とでも言えるだろうか
そんな魔王に息子が出来たと言う。
情報はメギ本人から来たものだ、そしてやたら息子自慢を定期的にファルに送って来るのだ。
メギのやつ、易々とそう重大情報を勇者と言われ皇帝に使える俺に送るとは
何処までも舐め切っているがファル以外でメギをどうこうする事が出来る奴が居ないのも事実。
ファルは魔法に置いても剣術に置いても人間離れし勇者のスキルと称号を保有したのち不老不死の力を手に入れた絶対強者であり人と言うよりは神にちかいと崇められている。
背も高く整った顔立ちに勇者と言う名にふさわしい金色の髪とあいろの瞳を持っていた。
皇帝の住まう城でファルも暮らしており、城へ向かって街を歩く
女性たちの黄色い声が響き渡る
「ファル様〜!」
「勇者様!!!」
「何てカッコいいのっ!ファル様〜!」
きゃぁきゃぁと騒ぐ所に向かって笑顔を向け手を振れば気絶する女を冷めた心でファルは見つめる。
早く城でゆっくり休みたいな〜
メギとまた遊びたいなぁ・・・
勇者になってからと言う物の欲しいものは何でも手に入り
妻になりたいと言う女はいくらでもいた。
絶世の美女等と言う言葉も有るが多少の差では同じに見える。
好みでないと言えばそうだろうし、正直運命などあきらめていた
勇者と言えば姫と結婚するなんて誰が決めたんだ?
この世界の姫、見た目は美しいと言われているが中身は恐ろしい。
皇帝の娘との縁談も上がったが俺も相手も拒否した。
俺も望んでいなかったし、あの女もそんな物必要ないといった形。
事実そうだ、どんな女に言い寄られようと全く興味が無い
戦いが全て。
「あ〜あ、今度は氷の龍でも討伐しに行こうかな〜?」
ぼやいてみる。
すると隣からじいさんが語りかける。
「御主はまた、突拍子も無い事を・・・」
「ははは!まぁまぁ!じょうだんだって!半分!これからまた皇帝様からなんか話有るみたいだし〜?」
軽く流してみるとあきれたようにため息をついた。
このお爺さん、大魔法使いでありこの世界きっての大賢者様。
俺が小さい頃からの友で有り今は来んな萎れたじいさんでは有るが魔力や知識は健在。
同い年って言うと誰も信じないだろうが
名はグラニフ・ビュート
グラニフも俺と同じくして賢者という称号とスキルを手に入れ、俺は不老不死で年を取らなくなったがこの男もまた人としてはあり得ない魔族と同等の寿命を持っている、只見た目が爺さんなのはいつでも魔法で姿を若返らせられる所断固として爺の姿でなんかこだわりでもあるのか?
メギにセレメアと言う超絶美人の奥さんが付き添っているのと同等で
ファルにはグラニフがついていると言う事だ、この差?ひどくない?
何で俺には爺さんなの?
「皇帝様もおそらくメギの息子とやらについてだろう?」
むぅ
「何をむくれておるのじゃ?子供じゃあるまいし!」
ボゴッ
「痛いな〜〜!杖で殴るな!」
今凄い音しただろうが!?痛いよおおおっ!
「全く痛そうな顔しとらんのに何を言うとるのか・・・」
「だってさ、あんな奇麗で強い奥さんと子供作っちゃうなんてさ〜?どんな化け物誕生するか分かったもんじゃないよ?噂通りだよ?とんでもないに決まってるよ〜〜!破滅破滅〜〜!」
「ま〜た適当なこと抜かしおって、どうせ命ぜられたら殺しに行くんじゃろ?」
「物騒な事言わないでよ?話は聞いてるけどさ〜実際見た事無いし?」
「後で皇帝様の前でお披露目じゃからその時見たら良い」
「えっ?それ初耳なんだけど?」
「今言ったからのう?」
この糞爺。
日の光を浴びながら城へのんびり向うは勇者と大賢者であった。
キャラクター紹介
名前はファル・ルイアスフィル
金髪に青い瞳に笑顔振りまく勇者様、瞳のそこは笑っていないのを相棒は知っている。
メギと同等の力の持ち主。
名前はグラニフ・ビュート
長髪で白髪に低身長の爺、ファルと同年齢で叡智の大賢者で昔から苦労性。