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9.異なる展開

ちょっと短いです……

 あれからひと月ほどで退院した。

 松葉杖を使えば歩ける程度には回復していたのだが、それでも学校に行く気になれなかった。

 一度だけ、担任が家まで来たのだが、彼女も今度ばかりは俺に掛ける言葉が見つからない様子で、お袋と少しだけ話をして帰っていった。

 陰鬱と部屋に閉じ篭って。気がつけば涙が流れている状況だったが、それでも俺は、まだ正気を保っていたのだと思う。


 二学期が終わり、クリスマスイブになって。俺は、もう一人死ぬ運命にあるかもしれないクラスメイトを思い出していた。

 ただ、確証が持てなくて。俺は、尚康ではなく、神林さんをマークしていた。

 以前、彼女の素性を調べたときに、彼女の家も判っていた。だから、家の近くで待って。彼女が出かけるのを尾行した。

 今度は学校近くの公園前で、彼女は誰かを待つ様に一人佇んでいて。俺は、少し離れたところから様子を見ていた。

 やがて、道路の向こう側に、待ち合わせの相手らしき男が現れた。彼女に向かって手を振るそいつは、尚康ではなく、多田だった。

 そして。

 横断歩道の手前で信号待ちをしている多田の姿が、──ダークグリーンの車体に塗りつぶされた。唐突に、歩道にダンプカーが突っ込んだのだ。多田がアレを避けれたとも思えず。俺は多田の生死を確認することなく、神林さんに近付いた。

 神林さんは、俺の姿を見て。

 両手で顔を覆って俯いた。

 「どうやっても……私に関わろうとする人が……最後には死んでしまうの……」

 嗚咽を漏らす神林さんに、俺は何も言えず、ただ呆然とその姿を眺めていたのだった。

 やがて。

 神林さんの姿が見えなくなって。

 俺は再び気を失った。


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