↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
30/49

30話 襲撃

よろしくお願いいたします。

「なっ!」

突然襲いかかってきたココに、ペネロペも剣に手をかけた。

ココが自分に攻撃してきたと思ったのだ。

だが、ココはペネロペの腰を抱き寄せた。

「えっ!」

ペネロペが驚いた、その瞬間――

「キィン!」

金属同士がぶつかり合う、甲高い音が響いた。

ペネロペの背後から、見知らぬ男が短剣を振りかざして斬りかかっていた。

しかし、抜刀したココが剣で受け止める。

「チッ!」

男が跳び退く。

襲撃者は、2人だった。

もう1人の男が魔法の詠唱を終え、魔法を放つ。

「《岩弾(ロック・バレット)》!」

大量の石が、ココとペネロペめがけて飛来した。

「《魔法障壁(マジック・バリア)》!」

短剣の男が襲いかかってきた瞬間から、マティルダは魔法の準備を整えていた。

魔法障壁が展開され、無数の岩が飛来し、障壁へ激突する。

激しい音とともに、岩弾が次々と弾き飛ばされた。

短剣の男は魔法の詠唱を終えていた。

男の周囲には、3個の水塊が浮かんでいる。

「そうはさせないわ!」

体勢を立て直したペネロペが、水の精霊ウンディーネの力を借りて精霊魔法を放つ。

水塊は弾け、辺りに飛散した。

「くっ!」

ココが水魔法を使う男に斬りかかろうとした、そのとき――

「《土煙幕(アース・スモーク)》!」

土魔法を使う男が魔法を唱えると、激しい砂嵐が巻き起こった。

「ペッ、ペッ! 前が見えない……!」

ココは砂嵐に突っ込む形となり、全身砂まみれになってしまう。

やがて砂嵐が収まると、2人の男の姿は消えていた。


剣を鞘に納め、埃を払いながらココが言った。

「ペネロペさん、大丈夫ですか?」

心底心配した顔だった。

「はい……」

ペネロペはココの顔を見つめながら、頬を赤らめて返事をした。

マティルダは考え込んでいる。

「何だったんでしょう、あの男たちは……。ペネロペさん、心当たりありますか?」

ココはペネロペに質問した。

「……まあ、冒険者をやっていれば、多少なりとも……」

ペネロペは答える。

冒険者は盗賊討伐、要人の警護依頼などで、人を殺める場合も数多くある。

「連携も良かった。そして、魔法の詠唱も早かった……」

ココは、先ほどの戦闘を思い返した。

「黒の魔女様がいなかったら危なかったわね……」

ペネロペも一流の冒険者だけあって、短時間の戦闘で相手の技量を見抜いていた。

黙り込み、考えにふけるマティルダにココは気付いた。

「魔女様……?」

「……違和感があるわ。さっきの男たち……何かが混ざっている感じがするの」

マティルダは、まだ考えがまとまっていない様子だった。

「何かが混ざっている……?」

ココには、マティルダの言っていることがよく分からなかった。

「そう……今の魔法使いとは、どこか違う感じなのよ」

「今の魔法使いで俺がよく知っているのは、ペソットぐらいですね。あとはミカエラさんくらいです」

「ペソットより、ミカエラさんの方が強いですよね? あの男たちは、ミカエラさんよりも上ですか?」

ココは魔法の知識こそなかったが、ミカエラの方がペソットよりも優れていると感じていた。

「ミカエラ? あー、あの、うるさい男の仲間の女魔法使いね。今の男たちは、あの女魔法使いよりは数段上ね!」

「それに、ペソットは、戦闘ではまだ及ばないけど、それ以外の魔法なら、あの女魔法使いに負けていないわ」

マティルダは、弟子であり、時には師でもあるペソットの名誉を守るように言葉を添えた。

「ペソットだって、今は古代魔法を……」

マティルダは話を止めた。

「そうだわ! 古代魔法! 私たちの戦い方に似てたの!」

「水魔法を使う男は3個の水の塊を出していたし、あの2人は詠唱も早かった……また、詠唱時間をカバーできるように時間をずらして詠唱していたわ……」

「私たちの時代より、明らかに魔法の技量は劣るけど、あれは私たちの戦い方だったわ!」

マティルダは足早に自分の考えを説明した。

「? つまり、どういうことですか?」

ココには理解できない。

「もう、鈍いわね! つまり500年前の魔法を知っている人物がいるってこと……」

「私以外に、500年前の魔法、つまり古代魔法の知識を持つ誰かがいるのよ」

マティルダは指を顎に当て、考えながら話した。

「魔女様以外に500年前の人が生きているってことですか?」

ココは、あり得ないという表情を浮かべた。

「エルフには1000年以上生きる者もいるわ。でも、エルフは古代魔法は使わない」

ペネロペも自分の考えを言う。

「エルフは古代魔法を使わないのですか?」

「ええ、自然と共にいることを絶対としているの。プライドが高いから精霊魔法しか使わないの。閉鎖的で自尊心だけが強い種族なの。だから私は故郷を飛び出した」

ペネロペは忌々しそうに語った。

「エルフのことなんてどうでもいいわ。500年前の人間が生きている……知識だけ継承した人間がいる可能性も……」

マティルダはまた考え込んだ。

「狙われたのは、ペネロペさんなのでしょうか?」

ココは疑問に思った。

「その可能性は低いわ。わざわざ3人でいる時に襲うより、私たちと別れてから襲った方が殺す確率は高くなる。それに……」

「私の姿を見ても動じることがなかった。むしろ私の姿を確認してから襲ったと思われるわ」

マティルダが推理した結果だった。

「それじゃあ、襲われたのは俺たちってことですか?」

ココは自分を指さす。

「そうね、あの引き際の速さから、私の存在を確認しに来たってところかしら」

「何らかの理由で、私の封印が解けたことを知った人間が……」

マティルダはまたまた考え込む。

「ペネロペさん、すいません。巻き込んだようでして……」

ココが頭を下げ、謝る。

「い、いいのよ。元々人気のない所に誘ったのは、私の方だし……」

「でも、こんな短時間で、2回も死ぬところだったのは、長い人生で初めてね……アハハァ……」

ペネロペは疲れた顔をしていた。

「ブツブツ……」

マティルダはまだ考え込んでいる。

「すいません……ああなると長いので……」


ペネロペには一生忘れられない夜となった。


ありがとうございました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。