21話 共闘
よろしくお願いいたします。
ココを見つめる女性に、ベントーラは近づいて声をかけた。
「これでいいかな、ペネロペ嬢?」
「ええ……」
ペネロペと呼ばれた女性は頷いた。
金髪に透き通るような白い肌、華奢な体つき。そして、それらに見合う美貌の持ち主だった。
だが、最も目を引くのは尖った耳だった。彼女はエルフ族なのだ。
「彼みたいなのがタイプなのかい?」
ベントーラがいたずらっぽく尋ねる。
「……全然タイプではないわ。でも、精霊たちがざわめくの」
「ふーん……。手を握った感じでは、なかなか強そうだと思うが、あの程度なら、この王都にはゴロゴロいるよ」
「……そういう強さじゃないの。私にも、うまく説明できない……」
「まあ、向こうの返事を待とうじゃないか」
ベントーラは笑った。
一方、《夢見る羊》では——。
「聞こえていたと思うけど、どう思う?」
ココが困った顔で皆の意見を聞く。
「なんか、めんどくさそうな奴だな……」
トーニは、明らかに嫌そうな顔をした。
「ですが、共闘しないと依頼を受けられません」
ペソットは冷静に判断して答える。
「報酬の金貨100枚は、半分ずつになるの?」
ジーナは金額を心配した。
「そこは、これからの交渉次第だな……」
ココが答える。
こういう場では、アーシャは基本的に口を挟まない。
「あのうるさいのと組まないと、依頼を受けられないのよね?」
姿を消しているマティルダが、小声で話しかけてきた。
「そうなんですが……」
ココが答える。
「なら、決まりじゃない」
「でも、一緒に行動すると、魔女様の存在がバレてしまう可能性も……」
「そこが問題? 大丈夫よ! うまくやるわ!」
マティルダは自信満々に言った。
《よ夢見る羊》のメンバー全員が、
(それが一番心配なんだよな……)
と、心の中で思った。
「では、共闘の申し出を受けようと思います」
ココが言うと、全員が頷いた。
ココはベントーラのもとへ歩み寄る。
「決まったかい?」
ベントーラが尋ねる。
「はい。共闘の申し出をお受けします」
ココは頭を下げた。
「良い判断だ! こちらこそ、よろしく頼むよ!」
ベントーラは受付嬢のカトリーナのもとへ向かった。
「カトリーナ嬢! 決まりだ! この依頼を《紅蓮の牙》と《眠る牛》で受ける!」
ベントーラは勢いよく依頼書をカウンターに叩きつけた。
カトリーナは冷静に対応した。
「《紅蓮の牙》と《夢見る羊》ですね。計12人で問題ありません」
「ですが、先ほどギルドの信用についてお話ししましたが、命を最優先にしてください。依頼の達成が難しいと判断したら、早めに撤退をお願いします。《紅蓮の牙》がいるので大丈夫だと思いますが、油断は禁物です」
「ハハハ! カトリーナ嬢は心配性だな。分かっているよ!」
ベントーラは豪快に笑った。
「では、あちらで打ち合わせをして、メンバーの紹介をしよう!」
「お願いします」
「なんか、主導権を向こうに握られてないか?」
トーニが心配そうに呟く。
一行は、ギルド内に設置されたテーブルへ移動した。
「では、こちらから《紅蓮の牙》のメンバーを紹介しよう!」
ベントーラが胸を張る。
「戦士のベルゴミ、槍使いのモニカ、レンジャーのネグロ、魔法使いのミカエラ、神官のモリエーロ、精霊使いのペネロペ。そして、剣士兼リーダーの俺、ベントーラだ!」
紹介されたメンバーは、それぞれ頭を下げた。
「さあ! 《夢の国のネズミ》のメンバーを紹介してくれ!」
「アイツ、絶対にわざとだろ……」
トーニは苦い顔をした。
「《夢見る羊》です。剣士のトーニ、神官のアーシャ、魔法使いのペソット、レンジャーのジーナ、剣士兼リーダーのココです。よろしくお願いいたします」
ココは頭を下げた。
「トーマとアーシャ嬢と、ペなんとかとジーナ嬢とチョコだね! よろしく!」
ベントーラは、女性にだけ握手を求めた。
「ココ、俺、アイツ嫌いなんだけど……」
トーニが小声で訴える。
「ベントーラさん、少しいいかしら?」
ジーナが積極的に話しかけた。
「なんだい、ジーナ嬢? 呼び捨てで構わないよ」
「……そう。報酬の取り分の話なんだけど」
「なんだい、いきなり無粋な話だね」
「大事なことよ」
「ハハ! そうだね……。本来なら、実力が上の我々が6割から7割は欲しいところだ。だが、最初に依頼を受けようとしたのは君たちだ。半々でどうだろう?」
「その条件でいいわ」
「だが、明らかに我々の足を引っ張るようなら、8割、いや9割はもらうよ。いいかな、ジーナ嬢?」
「……いいわ。でも、逆の場合もありということでいいわよね、ベントーラ?」
「……ハハハ! 嫌いじゃないね、その性格! もちろん、オーケーだよ!」
(お金のことになると、ジーナはすごいな……)
ココは心の中で感心した。
その後、細かな打ち合わせを行った。
明日は準備期間とし、出発は明後日の早朝と決まった。
ありがとうございました。




