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RaPPitManS  作者: 一橋赤蘭
第一章
22/24

第二十二話 緊急招集

 土曜日の昼頃。

ちょっとNASを見て回りたい。

鎖田さんも仕事に出たし。

亜夢もいないから。

まだ一週間しか経ってないんだよね。


「よう馬」


1番聞きたくない声が、背中から聞こえた。



 反射で足が動く。

逃げようとする。

肩を掴まれる。


「顔も見ずに逃げるなんて、失礼じゃねぇのか?馬ァ…」


ぎこちなく振り返る。

ざんぎり。

空色の髪。

精悍な顔つきに。

ギザギザの歯。

ゼロヒトだ〜…


「そりゃあ誰だって逃げるでしょ」

「なんでさ」

「あんな『強烈な印象』残しておいてよく言えるよね」

「酷いなぁ。俺様はお前のこと、認めてるんだぜ?」


バシバシバシと背中を叩く。

何が「認めた」だよ。


「で、お前は何してるんだ?」

「関係ないだろ」


逃げ逃げ逃げ。

肩を掴む手の力が強くなる。

冷たい冷たい。


「俺様が案内してやるよ」

「いらねーよ!」

「そう冷たいこと言うなってぇ…え?仮にも俺を負かしたんだから…もっと威張れよ」


耳元で囁かれる。

普通にキモいな。



 コイツ意外とまともだぞ?

ちゃんと施設の説明するし。

他の隊員からの人望も厚そうだ。

多分、亜夢が絡まないこの状態が彼の素なんだろう。


「…おい、聞いてるのか?せっかく俺様が話してやってるんだ聞け」


…。

そういえば。


「お前もバディがいるんだよな?」

「ああ、いるぞ。妹だ」

「妹?妹がいたのか」

「違う違う。亜夢の妹」


執念ェ…


「…やっぱり顔ってこと…?」


亜夢と由宇は瓜二つな見た目をしてるからな。


「いや、関係ないぞ。ただ亜夢とお近づきになれると思っただけだ」

「わあキモい」

「ははは、失礼だなお前」


んー、相変わらず思考が亜夢で染まってやがる。

ここまで言動と思考がかけ離れている奴も珍しいよな。


「なんでそんなに亜夢に執着するんだ?恋?」

「いや?そんなんじゃないね。そもそも俺様はゲイじゃない」

「じゃあ由宇ちゃんと?」

「ハッ。誰があんなペラガキと?俺様はもっとこう…でかい奴が好みだ」


ミナト課長とかいいよな…

とかなんとかほざいてやがる。


「熟女好みかよ」

「凍らすぞテメェ」

「というかペラガキってなんだよ」

「あんなマナ板論外なんだよ」


ひどいいいよう。

ちらっと後ろを見る。

亜夢によく似た銀髪。

少し身長は小さめ。

長いまつ毛。

吊り目がちの瞳。

妹ちゃん…

キレてる。

めっちゃキレてる。

読めるとか読めないとかじゃない。

わっかりやすくキレてる。


「だーれーがーマナ板じゃクソゼロヒトー!」


ゼロヒトが振り返る。

コークスクリューブロー。


「ほんとサイテー」

「前が見えねえ」



「ほんっっと最悪なんですけど!なに⁉︎なんで私がいないとこでディスられなきゃならないわけ?」


無い胸を逸らし由宇が言う。


「無い胸逸らしても無いままだぞ?」

「しね!」

「やれやれ…なんでそんなこと言うかねぇ…」

「お兄ちゃんからの連絡は?」

「え?なんで?」


由宇が不思議そうに言う。

亜夢は今日、クラスメイトたちと出かけているらしい。

ショッピングモールに行くとか言ってたっけ?


「お兄ちゃんって距離離れるとすごい頻度で電話しだすんだよ。寂しいのかな?」

「ふーん…電話しないってことは…あ、もしかして」


嫌な予感を覚え、由宇を連れ部屋に戻る。

ゼロヒトは置いていく。

今のテーブルには電話がなりっぱなしのアムのスマホがあった。

電話に出る。


『よ゛がっ゛だ〜〜!』

「バカじゃねーのお前、俺のスマホに連絡すればよかったじゃん」

『確かに』


ハァ…


「スマホそっち持って行こうか?」

『あー…大丈夫…』

「そう…そっちはどうなんだ?」

『プラモ買ってもらった!』

「…ヨカッタネ」

『なにその呆れたような』

「お友達を困らせないであげてね…」


電話を切った。


「ホントお兄ちゃんバカね」

「これでこそ俺様のアム」


いつのまにか玄関口にいるゼロヒト。


「なんでアナタはそんなに自慢げなんですかね…」


ちゃっかり「俺様の」とか言ってるし。


「ねぇW.H.I.T.Y.?お兄ちゃんと同期できてる?」

『マスターのアクセサリーとの同期75%です。電波が悪いですね』

「なにその機能」

『ネットワーク経由でマスターのアクセサリーと同期しています』


アクセサリー…

って、あれか。

変身の時に握るやつ。


『魂能による産物であれ、実際の物質であることは違わないためプラグでも繋げばイケます』


あれUSB刺さるんだ…


「お兄ちゃんすぐ迷子になるから」

「今日は友達といるって言うから大丈夫なんじゃない?」


さっきからスンスンスンスン匂いを嗅ぐ音がうるさい


「ゼロヒトお前さぁ…人の毛布嗅ぐとか恥ずかしくないの?」

「なんでだ?」

「キッショ」

「俺だって泣くんだぞ?」


と、相変わらずのゼロヒトと会話を交わしていたその時、耳をつんざくようなけたたましい警報が鳴り響く。

《全戦闘隊員に告ぐ!東京都月谷市◯◯町△-×-◻︎にて警報級大型能魔が出現!警戒レベルは6!周辺住民の避難と早急な討伐を求む!繰り返す!東京都月谷市◯◯町△-×-◻︎にて警報級大型能魔が出現!警戒レベルは6!周辺住民の避難と早急な討伐を求む!》

ゼロヒトさんの再登場。

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