第二十話 しぶちょーのドキドキ⭐︎アリマ大改造!
学校から帰るなり、鎖田さんから。
『綾嬢から呼び出しだ。行ってこい』
綾嬢って支部長のことだよな。
どういう関係なの?
由宇が驚いたような顔をする。
かわいいね。
相変わらず思考が読めないのは不気味だが。
「あ、亜夢はクラスメイトと出かけました。遅くなるらしいです」
『ん、了解』
由宇がショックを受けている。
よく顔に出るなぁ。
かわいいね。
■
ちょっとこの一週間で色々ありすぎたな。
整理したい。
亜夢は能力五つ持ち…
まだ何かを隠していそう。
あ、ここ右。
あとゼロヒトか。
あれ以来会ってないけど…
ランクとフェーズ?
難しいわ…
ごちん!
支部長室の扉。
いったー…
ぶつけた…
「おー!アリマか!入れ入れ!」
扉の向こうからは思考の圧がとんでもない。
「失礼します…」
ぎいいいい…
重い扉を押す。
広い部屋に大きな椅子。
その椅子のサイズに見合わない小柄な少女。
かわいい。
いい匂いする。
くらっとするほどに。
じゃなくって。
「なにをによによしておるのじゃ。はよう座れ」
「は、はい」
顔に出てた…
隣の執事さんが相変わらず異様な雰囲気を醸し出している。
「えっと…今日はなんの用事があって…?」
「うん、うぬの能力に違和感を覚えたからの」
■
「本来魂能は一つにつき一言で言い表せるのじゃ。あーん、例えばゼロヒト!あやつは『氷の生成』『熱』『冷気』。ぱっと見三つ四つ能力があるように見えるのじゃが、あれは「周囲の温度変化」でまとめ、一つの能力となっている」
「でも、複数あるのは珍しくないんじゃ…?」
「あれはそもそも出元から違うのじゃ。三つの因子があるなら三つ。どれだけ複数に見えても因子が一つなら一つの能力。能力の分化はそういう基準で測っておる」
執事に「アイス」とねだる支部長。
かわよ…
頬張りながら
「での、お主の因子の数も一つだから一個の能力のはずなんじゃよ。でもな、「思考読み」と「行動予測線」ひとくくりにできる気がせん!」
いまいちピンとこない。
というかそれの何がダメなんだ?
「あー、それの何がダメなんです?」
「あいや、だめ、ってわけじゃないのじゃが…それつまり。お前は能力の全貌がみえていないのではないか?」
ぴしゃーん!
衝撃の事実。
「どういうこと?」
悪寒。
「んー、余も説明がへたなんじゃがの。数学とかであるじゃろ、数列の法則を見出すヤツ」
さくさくさくさく。
一生懸命食べながら喋ってる…
かわいい…
「あれとおんなじだと思ったのじゃ。例えば…1と3。これだけが並んでてもどんな数列なのかはわからぬ。それが1,3,5,7,9,と並んでたら」
「奇数の数列」
「と、『一言で』表せるようになる。完全なる余の自己満じゃが、これがしたい」
沈黙。
「これはフェーズのステップアップとかとはまた別の話であって、ただ能力の理解を深めるだけじゃ。それでもそれはきっと必ずお主の進化の糧となる…と、思う」
「なるほど…?」
「余は伊達に生きておらん。似たようなことは何度もしておるゆえ、色々試してみよう」
ぱんっ。
手を打ちつける音。
「お主、モノの予測線は見えるのか?例えば車とか…」
「見えないですね。人と能魔に限ります」
「その『人と能魔のみが対象』っていうの多いんじゃよな〜。その辺も研究しないといけないの」
びゅん。
薄い鉄板。
ナイフ?
が正面から飛んでくる。
無理無理避けられない。
え、うそ死ぬ?
ナイフに押し出された空気が触れる。
ぐん。
と頭が横に逃げる。
「なんだ。避けられるではないか」
こ、この人…
怖え!
「な、なんで今…ナイフ…ナイフ?投げてきたんですか?」
さっきまで頭があった位置に刺さる鉄板。
ナイフじゃないなこれ。
「なんか、避けれそうだっから…」
亜夢に似てるぞこの人。
「今のは予測線か何かが見えたのか?」
「え、え?いや…わ、かんないす」
びゅん。
またかよ!
避けれる速度ではない。
はずなのに。
体はもう一度。
勝手に避けた。
「言語化するのじゃ。ゆっくりでいいから」
『匂い』が変わる。
実験室の匂いがした。
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