第十四話 冴えない男のAwakening!
『お前ら降りろ、迎え撃つ』
ボロ屋の隣のガレージ、ここもナズーに繋がってるのか…
に車を止め、玄関口で待機する。
「きたよ…」
棒人間の師匠から糸
…鎖?
が出る。
捕縛。
そこにいたのは鎖でぐるぐるまきにされ暴れるゼロヒト。
(亜夢亜夢亜夢亜夢亜夢亜夢…)
『お前は何をやってるんだバカ』
■
「これがゼロヒト…キモイやつ」
「あひいっ♡」
…なるほど。
『で、なんでこんなこと…お前は接触禁止だろ』
「うるさいぞ鎖!亜夢の威を借る鎖の癖をして!何をえらそーに!」
「四天王にそんな口できるのあんただけだよ」
このおっさんが四天王?
無言で師匠さんが鎖をキツく締める。
「痛い痛い!グアァァァァ!HA⭐︎NA⭐︎SE!」
大人しくなったか?
「そもそも!なぁぜ何処の馬の骨とも知らんような雑魚が亜夢とバディなんだ!」
あぁ。
そういうことか。
「私の決定なんだから口を出さないでくれないかな」
少し離れたところから文句を垂れる亜夢。
「いいや俺は認めないね!亜夢の真のバディはいつも俺だ!」
ぽっと出の凡人がいきなり亜夢という人気者のバディとなった。
そりゃ認めない人も出るに決まっている。
「おい馬ァ!俺と勝負だァ!」
「ちょっと勝手に決めんな!」
『横暴がすぎるぞ』
だったら。
実力で。
亜夢の隣としてふさわしいと。
証明するしかない。
「わかった。やってやるよ」
「え⁉︎アリマくん⁉︎こんなやつ無視していいのに…」
師匠さんが亜夢を止める。
『本人がやると言ってるんだ。やらせてやれ…』
ゼロヒトの思考は相変わらず亜夢一色。
認めさせる。
■
「鬼ごっこだ」
ゼロヒトが提示したのは「鬼ごっこ」。
なんで…?
「お前が俺に勝てるはずがない!だからハンデだ。ナズー本部内を30分間俺から逃げ切れば勝ちだ」
「ゼロヒトが有利すぎんじゃん」
「いや、これでいい」
相手が有利な盤面で勝つ。
「それ以外のルールはなし。俺が10秒数える間に隠れな」
「意地が悪いわ…」
■■■
10秒でできるだけ遠くに逃げる。
時間稼ぎと隠れるため。
そのまま30分間やり過ごす。
それが有間の結論。
正解ではあった。
しかし。
「見つけた」
「うそだろ…」
ゼロヒトは一枚上手だ。
ゼロヒトの能力は「温度改竄」。
自分が触れている物の温度を改竄できる。
プラスマイナスの制限もない。
改竄した温度は空間中で伝導し大きな影響をもたらす。
それだけ調節に長けた彼は周囲の温度の正確な把握も可能である。
壁越しだろうがなんだろうがゼロヒトには見えるのだ。
間一髪で逃げる。
追う。
逃げる。
追う。
逃げる。
少しずつ距離を離す。
「ねぇ…アリマくん速くない?」
少し離れたところから見る3人。
『速いな。さっきラピッドマンとほとんど並んで走ってたなそういや』
「え、もしかしてフィジギフくんなのアリマくんって」
『どうだろうなー』
「ねぇそれなんかわかってるやつじゃんおしえてよおしえてよ」
兄妹。
そっくりである。
■■■
なんとか離せた。
でも…まずいぞ。
さっきと同じならこのまま冷気で機動力を殺される。
俺はあまり速くない。
このままじゃ追いつかれる。
幸い予測線が見えている。
何か…何かないか…!
■■■
現在は夜中。
周りに人気はない。
冷気が有間の動きを鈍らせ有間の「一動作あたりの思考時間」が相対的に伸びた。
全くの偶然。
本人すら知らない。
『覚醒』の条件が揃った。
■■■
ゼロヒトの手が伸びる。
こちらに向かって。
無理だ。
あーあ。
なんでカッコつけちゃったんだろう。
勝てるはずがなかったのに。
予測線が自分の頭を貫く。
刹那。
「なんだこれは…?」
自分の体から伸びる予測線。
こんなの見たことがない。
体がその線に引っ張られる。
このルートじゃあ捕まる!!
動け体…っ!
体がレールから外れた。
いや、別のレールに乗ったというべきか。
もう一つの「捕まらない」予測線を俺は。
『選んだ?』
変則的な動き。
体が想定のしない動きに悲鳴をあげる。
いけるぞ。
■■■
これなら有間がどう動こうと捕まえられる。
ゼロヒトのそれは正しかった。
現実は違う。
「人としてあり得ない方向」に曲がったのだ。
本来人間は「殴る」という動作を殴り切るまで簡単にはやめられない。
「別の方向に手を振る」なら尚更無理だ。
有間は「予測線を乗り換える」ことで「行動のキャンセル」を実現した。
それは体にとっても想定外ではあったが。
■■■
今のはなんだ⁉︎
混乱。
俺の知らない能力。
自分でも何をしたのかわからない。
筋肉も。
神経も。
混乱している。
痛い。
避けられたがこれじゃあ30分逃げ切れないぞ⁉︎
「それ以外のルールはなし」
もう一回くらいならできるか?
ゼロヒトを。
行動不能にする。
メツァメロメツァメロ
覚醒回楽しいね




