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魔法少女(24)の異世界転移  作者: ほすてふ
第二章 ドワーフ地下帝国

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061 孤軍

 不死帝からの勧誘。

 しかし、答えなど決まっている。


「お断りよ。私には帰るべき場所がある」


『ふむ。ふむ。それは残念だ。まあよい。年若いものは断るものだ。命を落としてからまた尋ねるとしよう』


 顎の下をさすりながら特に残念ではなさそうに、不死帝は嗤う。



『それで、そろそろ時間稼ぎは充分かな? 余に無限の時間があるとはいえ、無為な使い方はしたくないのだが』



 マジカルナックルはギクリとした内心を隠して口角を上げる。


「尋ねたいことはまだまだあるのだけど」


『其方が死んでからにしよう』


 緊張が高まっていく。

 不死帝の影がゆっくりと立ち上がる。


「影?」


『力あるものの影に宿るアンデッドよ。おもしろかろう。それ、其方の影も――』


 マジカルナックルの影もまた立ち上がってくる。


「マジカル・お日様!」


 マジカルナックルは目の前に現れた影に、お日様の光源が出る魔法で殴りつけた。


『ふむ。影に直接光を植え付ければ消えるか。なるほど』


 マジカルナックルの影アンデッドは消滅し、光源だけが宙に残った。暖かい光があたりを力強く照らす。


『だが、強い光は新たな影を生む』


 ドゴン。


 轟音と同時にマジカルナックルは後ろから強烈な衝撃を受け、正面に向けて吹き飛ばされる。


 これは――


「爆砕パンチ? こっちは控えてたのに」


 受け身を取って立ち上がる。

 瞬間的に強い衝撃が起きるために閉所の地下では使わなかった魔法だ。


 影アンデッドを見返すと、薄くなって消滅していった。


「なんで?」


『ふむ、なんと乱暴な魔力の使い方か。一発で内包魔力を使い切ったぞ』


「は?」


 怒りの感情が声にこもったかもしれない。


 だが、爆砕の魔法はそんなに魔力を使っていないはずだ。


 と、考えたところですぐに思い至る。

 轟炎竜の魔力を借りているからだ。

 炎に関わる魔法はその構成もお任せで効率も高くなる。

 特殊な形の蛇口をしているようなものなのだ。


 そのおかげでマジカルナックルは一部の魔法を使えている。


 その、魔法技術的に補われている部分を魔力で補うとすれば、莫大な魔力を消費するのだろう。

 ホースを伸ばせば届く場所にバケツリレーで水を運んでいるようなものだ。


『まあよい。ほら、もっと出るぞ』


「マジカル・お日様」


 マジカルナックルは光源を自分のドレスにペタペタと設置した。


 すると影は近寄ってこれなくなる。


『ふむ。これは正面から使うには向いておらぬか』


 光の塊となったマジカルナックルだが、不死帝は余裕を崩さない。

 影のアンデッドは遊びだったとでもいうのか。


『しかし、まだかね? まとめて片付けようかと思ったが、順番に始末するほうがよさそうかな?』


 まさしく遊びだったらしい。

 だが、時間稼ぎもバレバレで、それでも敵が動かないのは、不死帝側にも何かあるのではないか。


「やれるものなら」


『ふむ。まあよい。お前たち。相手をしてやれ』


 不死帝は動かない。


 しかし、ずっと遠巻きにしていたアンデッドたち、そしてゴーレムたちが動き出した。


 岩が投擲され、矢が放たれ、色とりどりの金属ゴーレムたちが前に出てくる。

 青く光を反射する金属、赤、銀、金など、おそらくはなにかしらの合金だったり希少な金属だったりするのだろう。

 金や銀に見えるものも、ただの金属ではないかもしれない。


 とはいえ。


「マジカル・奪取」


 ゴーレムはもはや問題ない。


 降り注ぐ投射物をはじきながら接近し、魔力を奪い尽くして無力化していく。

 強化版の魔力奪取魔法はてきめんに効果がある。

 そして無力化したゴーレムを盾にして飛び道具を防ぎながら合間を縫うように駆けまわる。


『よく動くものだ。よし、やれ』


 続いて、毒を持った骨ゴーレムたちが近寄ってくる。

 さらに火の玉の魔法が、骨ゴーレムを巻き込む形で炸裂した。


「くっ」


 毒の煙が立ち込める。


 毒ガスを無力化する浄化の魔法を、マジカルナックルは使えない。


 空気を汚されることはマジカルナックルにとっての弱点と言えた。

 多くの生物にとってそうであるように。


「ガスマスクでもあれば……」


 エルエルヴィは風で吹き飛ばしていた。

 しかし今度は囲まれている。風を起こしたとしてもかき混ぜるだけになってしまいそうだ。マジカルナックルも風を起こせないわけではないが、微細なコントロールはまだできない。思い切り空気を打撃して気流を生み出す程度だ。


 そうなれば個人的な防備があればと思ってしまう。

 ガスと言えばガスマスクだ。

 フィルターを通して遮断できれば……。


「遮断か。マジカル・根っこ」


 マジカルナックルは左手で地面を叩く。

 根っこが地面を覆っていく。


 そして。


 毒の発生源の周辺を掘りぬいてさかさまにひっくり返した。


 地面に埋めたのだ。


『原始的な対処だが、適切と言えるか。だがすでに毒は撒かれているぞ』


 確かに先ほどから目と鼻が痛い。喉の奥、肺も悲鳴を上げている。

 そして白のドレスがじわじわと破れている。


 だが、すぐに修復されていく。

 痛いのさえ我慢すれば、問題ない。


 マジカルナックルはできるだけ吸い込まないよう呼吸を抑えながら、ゴーレムを無力化していった。

 射撃してくる敵にも石を投げ返して反撃する。


 そしてついに。


「聖なる光よ」


「風よ」


「神よ。この地を聖域とし給え」


 応援が駆け付けた。

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