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魔法少女(24)の異世界転移  作者: ほすてふ
第二章 ドワーフ地下帝国

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059 業火

『クカカ。瘴気の中をよく動くものよ。聖女でもあるまい。一体何者かと問いたくなるわ』


「何者か?」


 五体の骨の騎士を受け、弾き、殴り飛ばし、捌く。

 その合間にクカカの骸骨が強烈な一撃を差し込んでくる。


 骨の騎士を超えるパワーがあり、骨の騎士たちはこいつの一撃をマジカルナックルに叩きこむための布石として動いてくる。

 戦術のレベルが高い。

 対人よりも非人型の化け物の方が慣れているマジカルナックルは、連携のとれた人型の敵に追い込まれつつあった。

 速度で明らかに上回っていても。

 狩人たちに追い込まれる野生の獣の気分であった。


 逆転の一手が必要だ。


「愛よ、勇気よ、燃え上がれ(萌え上がれ)! 魔法少女マジカルナックル! 覚えてくれなくても結構よ!」


 マジカルナックルは五手先まで組み上げられていた連携連続攻撃の初撃を避けずに移動を止めた。

 両の拳を合わせると、薬指の指輪状の二つの魔力がぶつかり合う。


 新緑の魔力と轟炎竜の魔力。


 初撃がマジカルナックルの胸に突き刺さるのと、マジカルナックルの全身が燃え上がるのは同時。

 白の魔法少女ドレス、その貫かれ胸の部分がはじけ飛んだ。


 そして骨の騎士の剣が、突き刺さった内側から炎が噴き出す。純白の輝きを放つ白炎だ。

 炎は剣を伝い瞬く間に骨の騎士を包み込む。

 そしてマジカルナックルも。

 魔法少女ドレスを燃料とするように、白炎のドレスへと塗り替わっていく。


「マジカル・業火絢爛」


 以前マジカル波として放射した浄化の炎。

 それをもとに、魔法少女ドレスを触媒にして構成した対アンデッド特化の攻防一体魔法。


 生命の力と浄化の炎、そしてマジカルジュエルが、愛と勇気から生み出す無限の魔力。

 三つの力の相乗効果はもはや触ることも許さない。


 止まらなかった追撃で、さらに二体が炎上。

 マジカルナックルへ攻撃が届く前に刃が燃え尽き、本体まで届いて焼却される。


『魔法少女、だと? クカカ』


 クカカの骸骨が二体の骨の騎士と共に、攻撃を中断して距離を取る。


「形勢逆転。手早く終わらせよう」


 どれだけこの魔法を維持できるかわからない。


 マジカルナックルはまず、クケケの骸骨へ向かって跳んだ。


 業火絢爛。この魔法には弱点がある。

 ひとつは、制御に思考のリソースのほとんどが割かれること。他の魔法を併用するのが難しい。


 次に、これは魔法ではなくマジカルナックルの弱点だが、相変わらず遠距離攻撃が出来ないことだ。


 そして、アンデッド以外には害がないことだ。アンデッドだけを燃やす魔法。そのような性質にしたのは地下という制限の中で使うため。通常の炎としてのふるまいもしないし、物理的な打撃力も生まない。

 これに気づかれると普通に魔法攻撃されてしまう。


 最後に、魔法少女ドレスを触媒にしたことで、防御面の保険がないこと。

 今のマジカルナックルはノーガードに等しい。


『クケケ。腐食の霧よ』


 クケケの骸骨が魔法を発動させた。激しく移動しながら戦っていたために、魔法発動の機を逸し続けていた。

 それでも味方に無害でマジカルナックルだけに効果があり、しばらく滞留する魔法の霧を放つ目前だったのだ。


 マジカルナックルが霧に飛び込むと全身をおぞましい痛みが包み込む。

 しかしそれを無視してクケケの骸骨までたどり着き、抱擁した。


『ク……ケ……』


 マジカルナックルを包む白炎によって焼却されていく骸骨。


「グッ……効果は充分なようね」


 マジカルナックルの腐食した部分が燃え盛り、すぐに元通りに再生する。


 溢れる生命の力が、一撃死するか魔法の維持を止めなければ、肉体を再生させるのだ。

 勇気の歌の効果がなければ怖気づくくらいの痛みを伴ったが、死なない限り、死なない。

 生命力による高速再生。一時的かつ疑似的な不死。まるでアンデッドのようで、その逆の性質を持つアンデッドの天敵となった。


『クカカ。化け物め。遠距離攻撃だ!』


 クカカの骸骨が接近戦を不利と見たのか、周囲に命じる。


 それが一番嫌な行動だが、覚悟はしていた。


「そっちが近づきたくないなら、こっちは近づくしかないよね!」


 矢が、石が、雷の矢が、氷のつぶてが、炎の玉が、四方八方からマジカルナックルを狙って降り注ぐ。


 しかし、狙っているがゆえに、そのほとんどはマジカルナックルに当たらない。

 当たりそうなものは、唯一の物理防護手段、白炎をも纏った盾が弾いてくれる。手に持っていた装備が白ドレス形態に組み込まれたからか、触媒とならず残って働いてくれている。


 とはいえ、元が小型の盾だけあって抜けてくるものもあった。


 体を傾け、被弾面積を小さくするという最も基本的な対策をしつつ、それでもダメな物は喰らいながら敵に肉薄する。


『ちい!』


 クカカの骸骨からクカカがとれた。

 代わりに岩を掴んで殴りかかってくる。


 なるほどそれは厄介だ。


 なので無視して全身アンデッドの骨の騎士に接近し、殴り、掴んだ。

 あとはクカカの骸骨だ。


 それだけ倒せればあとは格落ちする個体ばかり。

 聖女が居れば問題なく対処できるはずだ。


 だからここでやり切っても構わない。いや、そんなつもりもないけれど!


 両手に人間を撲殺するのに充分すぎる大きさの岩をもって振り回してくるクカカの骸骨。


「今更それでどうにかなると思ってる?」


『できることは何でもするものだ』


「それはそう」


 フェイントを入れて回りこむ。


 パワー重視だったクカカの骸骨は、速さで数段上回るマジカルナックルを、一対一で止められない。


 無防備な背骨を掴む。


「マジカル・業火絢爛・浄火消却!」


 纏っていた白炎を一気に押し付ける。


『ク……カカ……』


 白く燃え上がるクカカの骸骨。


 炎が移っていくにつれ、マジカルナックルは通常形態へと戻っていく。

 指輪と化した二つの魔力はそのままに、新緑と轟炎の意匠の衣装。




「終わった?」


 三体の強敵が消え、次にすべきことを考えながらあたりを確認しようと動きながらつぶやいたそのとき。


『終わっておらぬぞ』『ククク』『クカカ』『クケケ』


 圧倒的な瘴気がマジカルナックルを押しつぶした。

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