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総督の遺言  作者: 西季幽司
エピローグ
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34/34

夫の意思②

 仲崎幸太郎が秋貞杏里の首を絞め、殺害しようとした時、「冥途の土産に教えてやろう」と中村拓真を殺害し、瓢箪池の底に埋めたことを自白した。仲崎の告白通り、池の底から中村拓真の白骨化した遺体が見つかったことから、仲崎の犯行は明らかといえた。だが、杏里の伝聞証拠以外、これといって証拠が見つからなかった。それに加害者である仲崎幸太郎は既に死亡している。結局、殺人事件としての起訴は見送られてしまった。

 仲崎真理の保険金殺人、加藤寅雄と梅沢トキの事故死について、仲崎幸太郎の関与が濃厚であると考えられたが、証拠不十分で、こちらも起訴が見送られた。

 仲崎幸太郎の犯罪は闇の中に葬られた形となった。

 野川孤高は捜査に対し、強烈な不満を表したが、決定は覆らなかった。

「祓川さん。どうしているのかな?」一課で隣の席に座る高島が佐伯に呟いた。

 証拠固めの捜査が行われていたが、一時期の忙しさは過ぎ去って、最近は揃って席にいることが増えた。

「さあ、あの人のことです。何処かでまた、一人で捜査をしているんじゃありませんか」佐伯が答える。

「はは。そうだな。その方があの人らしい」高島が笑う。

 秋貞杏里が逮捕されてから程なく、祓川は異動となった。

 是非、祓川の力を借りたい事件が発生したと、異動先の署から要望があったと、表向き、言われていた。だが、組織人として行動ができない祓川を持て余し、疎ましく思い、放出したというのが真相だろう。

 警視庁の幹部からの受けも良くないらしい。

 もし、祓川がいれば、仲崎幸太郎の犯罪を立証すべく、今でも捜査を続けていたかもしれない。

 あの人のことだ。何処に行っても大丈夫だ。

 何処で働くかなど関係ない。事件さえあれば、祓川には十分なはずだ。

 そのことを高島に伝えると、「はは。そうだな」と笑っていた。

「さて、今度はどんな人が来るんですかね?」

 相棒が変わることになる。佐伯はそれが気になっていた。

「さあ? 新人なら良いな」

「ですね」

 祓川の忠告通り、新しい相棒とはうまくやりたかった。

 祓川を主人公とした長編推理小説の第二弾となる。所轄をたらい回しになっているという設定なので、都内と舞台とした小説の場合、主人公にし易い。群馬県警所属にしてしまった柊や大分県警所属の嶽などは、群馬県や大分県を舞台とした小説でないと登場させることができない。

 作中、山口県を舞台にした箇所があり、「生首の神饌」に登場した山口県警の生長、浅井コンビが再登場している。

 祓川の場合、毎回、違う相棒とコンビを組むことになる。この為、息の合ったほのぼのとした会話ができない。書いていて一番、頭を悩ませるのが、トリックや伏線ではなく、笑える会話だったりする。面白いジョークを考えるのに、筆が止まることが多い。

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