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朝起きたら、 飼い猫が美女になっていた  作者: ベル


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第八話 スーパーと鮮魚売り場

スーパーへ入った途端、こはくは立ち止まった。


「いっぱいある」


野菜や果物、肉、惣菜が並び、棚ごとに匂いが違うらしい。


こはくは顔を動かすたびに視線まで忙しくなる。


「勝手に離れるなよ」


「分かってる」


返事をした直後、鮮魚売り場を見つけた。


こはくの足が止まった。


「魚」


「やっぱりそこか」


刺身のパックへ顔を寄せる。


「これ食べたい」


「今日の夕飯?」


「今」


「店の中では食べない」


「買ったら?」


「家まで待つ」


こはくは値段を見る。


「高い?」


「ちょっと」


隣のパックを見る。


「こっちは?」


「それならいい」


「じゃあこれ」


以前なら好きなものを与えるだけだった。


今は値段を見て、自分で選ぶ。


野菜売り場では桃を手に取った。


「いい匂い」


「潰すなよ」


「食べる?」


「買うならな」


こはくがしばらく考え、カゴへ一つ入れた。


レジへ向かう途中、小さな子どもがこはくを見て「猫みたい」と母親へ言った。


帽子から耳が出たわけではない。


鮮魚売り場で魚を追うように目を動かしていたのを見ていたらしい。


こはくが意味を確かめるように直人を見る。


「猫みたいって」


「そういう動きしたからだろ」


「だめ?」


「別に。人に迷惑かけてないなら、全部直す必要はないよ」


こはくは考えたあと、頷いた。


帰宅すると、玄関で靴を脱ぐ。


昨日まで左右すら分からなかった靴を、こはくは自分で揃えた。


直人は何も言わなかった。


こはくも褒められるのを待たず、買ってきた刺身の袋を持ち上げる。


「食べる」


「手洗ってから」


「人間、それ多い」


「慣れろ」


不満を言いながらも、こはくは洗面所へ向かった。

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