↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
朝起きたら、 飼い猫が美女になっていた  作者: ベル


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

18/34

第十八話 他の男の視線

土曜日、二人は同じシャンプーを買いに出かけた。


ついでに服も見ることになり、こはくは店頭のワンピースを何枚か眺めた。


「試着しないの?」


店員に聞かれ、こはくは首を横へ振った。


帽子を外せない今は、狭い試着室で着替えるのも気を遣う。


猫耳が見えれば説明がつかない。


店を出たところで、一人の男に声をかけられた。


「すみません。急にごめんなさい。すごくきれいだなと思って」


こはくは足を止める。


男は年齢も近そうで、乱暴な様子はなかった。


「もしよかったら、お茶でもどうですか。連絡先だけでも」


直人が口を出す前に、こはくが答えた。


「あなたのこと知らないから、行かない」


「じゃあ、これから知るっていうのは?」


「今は知りたいと思ってない。だから連絡先もいらない」


男は少し困ったように笑い、「そっか。ごめんね」と離れていった。


直人は何もしていない。


それなのに、胸の中が妙にざわついていた。


「直人」


「何?」


「私、行ったほうがよかった?」


「嫌だよ」


考える前に出た。


こはくが目を瞬く。


「何が?」


「お前が知らない男と二人で行くの」


「危ないから?」


直人はどう答えるか迷って、一拍置いた。


「それもある。でも、それだけじゃない」


こはくはしばらく直人を見る。


「私が女の人の匂い嫌だったのと同じ?」


「……たぶん」


分かっているのに嫌だという感情を、今度は直人が持っている。


駅前は人が多かった。


直人は周囲を見てから言う。


「はぐれそうなら、手でもいいけど」


こはくはすぐ手を差し出した。


指が重なる。


直人のほうが余計に意識してしまい、前を見るしかなくなった。


帽子の下に猫耳があることを知っているのは、自分だけだ。


その事実に少し安心してしまった理由を、直人はまだ考えたくなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。